制度解説

【重要】放デイの30年改正案を受けて、経営層が今のうちから抑えておくべきこと

平成30年報酬改定案について、放デイ事業所様が特に把握しておくべきこと、及びそこから推測される事項についてまとめてみました。

報酬改定資料は、以下から閲覧することができます。

・平成30年 報酬改定検討チームその他検討事項について

平成30年2月6日、厚生労働省より報酬改定案が公開されました。

以下よりご確認ください。

30年放課後等デイサービス報酬改定の概要

 

児童発達支援の申請条件が見直される(p.6)

放デイ、多機能型事業所様はスキップしてください。

支援の質の確保を図るため、放課後等デイ同様に人員配置基準及び運営基準を見直す

放デイ・児童多機能型事業所の場合は、既に29年新基準に対応した基準が導入されています。

今後は児童発達支援事業単独でも、許可基準の厳格化や、30年改正が対象となります。

現存の多機能型、放デイの事業所様には直接的な影響は無さそうです。

 

放デイ・児童発達支援の基本報酬見直し(p.6)

30年法改正のハイライトになりそうなので、色々考えてみました。

いずれも、採用されれば売上ダウンに直結しかねない事項です。

主なトピックは以下のとおりです。

  • 基本報酬が変わるかもしれない(利用者の状態を勘案した指標に基づき基本報酬を区分する)

  • 平日でも短時間利用減算が導入されるかもしれない(授業終了後に提供する場合における適切な報酬のあり方について、支援時間等を踏まえつつ検討する)

  • 児童発達支援の基本報酬が見直されるかもしれない(児童発達支援において、未就学児を支援する場合、学齢期児を支援する場合に応じ、基本報酬を区分する)

基本報酬の規定が大きく変わるかもしれない

基本報酬が「利用定員数」と「利用者の状態」(「障害支援区分1~6」「知的障害区分A,B,C判定」など)に応じて算定されるかもしれません

障害支援区分は市町村が行う認定調査+医師の意見書によって決定されます。

報酬単価はどれくらいになりそうか。

すでに障害の程度で報酬が区分けされている、生活介護とグループホーム(共同生活援助)の場合を見てみましょう。

・20名以下の生活介護事業所の場合(29年時点)

基本報酬 区分6 区分5 区分4 区分3 区分2以下
20名以下 1,278 959 680 610 559

 

・20名以下のグループホームの場合(29年時点)

基本報酬 区分6 区分5 区分4 区分3 区分2 区分1以下
20名以下 668 552 471 385 295 212

比較した場合、グループホームのほうが、生活介護よりも現実的な数字に思えます。

 

(参考)放デイ・児童発達支援の現在の基本報酬

  • 10名放デイ 平日:473単位 休日611単位
  • 10名児童発達支援 平日休日問わず620単位

30年改正では10名定員の事業所の実態に沿った形になるかもしれません。

ただ、支援区分判定は「身体障害のほうが、知的や精神よりも判定が重く出やすい」という傾向があるため有効性には疑問符がつきます。

また、区分を判定するためには聞き取り80項目+医師の聞き取り24項目による総合的な判断がなされるため、実現したら市町村の審査会がパンクしてしまうのではないか?と勝手な心配をしています。

そうなったら事業所への通所開始日にも影響が出そうです(報酬の算定にも影響が出ますよね)。

知的障がいに限れば、療育手帳のA、B、C判定による報酬区分とすることで、ここまでの手間にはならないかもしれないです。

どちらかの選択制となれば、柔軟性が出そうですね。

 

サービス提供時間の長さによって、報酬が減算されるかもしれない

サービス提供時間によって、報酬が変わる可能性があります。

もし実現するなら以下のパターンになるのでは?と予想しています。

  1. 児童発達支援や休日型減算(4時間未満30%、6時間未満15%の減算)
  2. 就労継続支援A型減算(利用者の平均利用時間による報酬減算)

A型は、サービス提供時間によって以下のように報酬額の減算がかかっています。

ご参考までに。

平均利用時間 算定
1時間未満 基本報酬の30%
2時間未満 基本報酬の40%
3時間未満 基本報酬の50%
4時間未満 基本報酬の75%
5時間未満 基本報酬の90%

就労継続支援A型の場合「基本報酬をとるためには、5時間は最低でも滞在してください」という形式になっています。

放デイの場合は、学校や学年によって終業時間が異なるため、もう少し緩めな措置になるのでは?と予想しています。

(5時間ではなく、4時間未満、3時間未満スタートなど)

ただ、ここで気を付けたいのは、送迎はサービス提供時間に含まれないため、もしA型減算がとられた場合、送迎メインの事業所は、かなり大きなダメージを受けるかもれない、ということです。

また、支援時間「等」と記載されているので、資格者の有無や提供サービス内容なども報酬設定や加算の根拠になると予想しています。

支援内容を大きく見直す必要が出てくるかもしれません。

 

児童発達支援の基本報酬が、児童の年齢によって大きく変わるかもしれない

保育園入園前と保育園入園後、もしくは通園の有無で基本報酬が分かれるかもしれません。

  • 10名放デイ 平日:473単位 休日611単位
  • 10名児童発達支援 平日休日問わず620単位

これまでは上記のような報酬形式をとっていたため、多機能型でかつ児童発達支援の対象児童が多い事業所にとっては売上ダウンに直結する可能性があります。

 

加算・減算の見直し(p.6)

指導員加配加算等の見直し

後述する「公認心理士」が算定要件に入ってくるかもしれません。
その他単価自体の見直しなども予想されます

自己評価結果未公表減算の導入(p.6)

自己評価についてはガイドラインにも明記されているため、本減算は「やっぱりか」というのが率直な感想です。

ホームページやブログのない事業所もあるかと思うので、アンケートおよび集計結果を添付書類として、各自治体に届け出を提出することで。各自治体HPから各事業所の評価結果を閲覧できるようになる、とかがありえそうです。

どのみち現時点でも行わなければならないことなうえ、保護者も関わる作業になるため、やはり今のうちからアンケートは行っておいたほうがよさそうです。

事業運営の参考にもなります。

個人的には「等の見直し」という思わせぶりな記述が気になってます。

 

人員欠如減算、個別支援計画未作成減算の厳格化(p.16)

サービス提供職員欠如減算等の見直し
・ サービス提供職員欠如減算、サービス管理責任者(児童発達支援管理責任者)欠如減算について
は、減算が適用された一定期間後に5割減算を適用する。
・ 個別支援計画未作成減算については、減算が適用される月から2月目までを3割減算とし、3月
目からは5割減算を適用する。

個別支援計画未作成の場合、請求可能金額の減少幅が5%から3割と、大幅に増加します。

また、サビ管・児発管不在時や人員欠如の場合、一定期間経過後には5割減算を受けることになります。

内容としてはかなり重要性が高いため、別途記事を作成しました。

・平成30年度の人員欠如減算とその対策について

【追記】個別支援計画未作成減算、地域によって適用対象範囲が異なる可能性があります。

・個別支援計画未作成減算の適用範囲について

 

送迎加算の見直し(p.16)

障害の程度や公共交通機関の状況等を勘案したうえで、自主的な通所が可能と考えられる場合については、送迎加算の対象外とする。

送迎対象の有無の判定が凄く難しそうです。

また、ここでも「障害の程度」が出てくるので、やはり障害支援区分による基本報酬の算定が出てくることを予感させられます。

自主的な通所はどこまでのレベルなのでしょうか。考えられるのは

  • 本人が自転車・徒歩などで自力通所できる
  • 保護者が送迎できるけどあえてしない
  • 学校と事業所の最寄に公共交通機関がある

などによる分類です。

特別支援学校とかで見られる、バス通学の児童と保護者送迎の児童が混在するイメージなのでしょうか。

「なんだかんだ言いつつ、これまでどおり、事業所の負担で送迎加算対象外の児童そうでない児童を一緒に送り迎えをする」

こんなシーンが容易に想像できます。

 

福祉専門職員等配置加算の対象資格の拡大(p.17)

公認心理士を配置している場合について、新たに評価する

公認心理士…29年9月施行。端的にいえば「公認心理カウンセラー」です。

  1. 4年制大学 + 大学院 or 実務経験 ルート
  2. 実務経験ルート

とちらかのルートで国家試験を受けることで資格が得られるようです。

短期的に即影響があるかというと、そんなことは無さそうです。

 

処遇改善加算Ⅳ、Ⅴの廃止(その他検討事項について)

  • Ⅳ:キャリアパスⅠorⅡor職場環境要件のどれかを満たす
  • Ⅴ:いずれも満たさないが、届出を提出する

によって算定できた処遇改善加算が廃止に向かってます。

もともと導入している事業所も少ないので、影響はそこまで大きくないと思われます。

弊所に依頼頂けば取得している処遇改善加算ⅠやⅡについては、30年について変更は無さそうです。

 

まとめ:改正案について思うこと

放課後等デイサービスの基本報酬について

「障害の程度による基本報酬の決定 × サービス利用時間等による減算処置」 

で給付金額が決定されることになるかもしれません。

減算による給付金額の低下を、加算の見直しによってカバーすることになりそうです。

「問い合わせがあれば、どんな子でもお預かりをします」という「誰でもお預かり戦略」に対して、国がストップをかけにきたように感じます。

また、一定以上の売上を維持するために「どの層の児童支援に力を入れるのか、各事業所ごとに方針を明確にする段階に入ったんですよ」という厚労省からのメッセージのようにも思えます。

新しい制度が導入されて不安に思うことも多いかもしれませんが、やるべきことをやっていくしかありません。

弊所も新制度を受けて、これからどのように事業所様をサポートしていくべきか、考えます。

「事業所のあり方を考えるいい機会」だと捉えて、前向きに頑張りましょう。

ABOUT ME
吉川彰太郎
障害福祉施設の開業、運営コンサルティングに特化した行政書士です。 障害児者やその家族の人生を支えるべく、事業所がより質の高いサービスを提供できるよう様々な情報発信を行います。

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