制度解説

平成30年度放デイの報酬改定資料を要約してみました

身構えすぎても仕方ないですが、現時点でどんなことが検討されているかは抑えておくべきだと判断し、資料を要約してみました。

加算のまとめ

30年度における各障害福祉サービスの加算はこちらをご参考ください(サービス随時追加予定)

・放課後等デイサービス、児童発達支援

障害児通所支援の報酬改定について

平成30年2月6日、厚生労働省より報酬改定案が公開されました。

以下よりご確認ください。

30年放課後等デイサービス報酬改定の概要

放課後等デイサービスの現状

H28年度放課後等デイサービスの総費用額は1940億円となっており、障害児支援全体のうち8.5%を占める。

新制度が始まった平成24年度4月以降、大幅な増加を続けている。

障害児通所支援に係る報酬・基準について(厚生労働省)

(障害福祉サービス等報酬改定検討チーム第10回資料3より引用)

主な論点

報酬改定にかかる論点は以下の5つに分かれます。

  1. 児童発達支援事業所の基準見直し
  2. サービスの向上と適切な評価(基本報酬・加算の見直し)
  3. 保育所等との連携、移行支援の評価方法
  4. 障害児及び保護者への相談援助の強化
  5. その他

 

論点1:児童発達支援事業所の基準も厳格化する

現状の課題

障害者総合支援法の見直しに関する報告書(平成27年12月14日)において、以下のように記載されています。

  1. 障害児のニーズに的確に対応するために「放課後等デイサービスガイドライン」の活用を徹底する
  2. 発達支援等の子どもに関する支援の専門的な知識・経験を有する者の配置を求める
  3. 制度面、運用面の見直しを行うべきである
  4. 児童発達支援はガイドラインを設けたばかりで、自己点検の義務付けも行われていない
私見

児童発達支援についても、29年度の放デイ新基準が適用されることになりそうです。

29年度4月改定では、児童発達支援は据え置き措置となっていました。

ただし、児童発達支援についても基準改定を行う旨が記載されていたため、妥当な改定だと考えます。

※1…人員基準として児童指導員、保育士、障がい福祉サービス経験者の配置(1名以上常勤)

※2…現行でも放課後等デイサービスと児童発達支援を行っている「多機能型事業所」の場合、児童発達支援も、新基準での運用が求められています。

 

論点2-1.サービスの向上と適切な評価(基本報酬)

放課後等デイサービスおよび児童発達支援の基本報酬部分に関する検討事項です。

放課後等デイサービスの現状
  1. 重度障害児の受け入れ拒否の現状がある(軽度発達障害児に絞って受け入れる事業所の存在)
  2. 支援内容に関する評価に差が設けられていない
  3. 放デイの平日支援について、ごくわずかの受け入れ時間でも減算にならない
  4. 関係団体からのヒアリングによっては、支援の必要やサービス提供時間に応じた報酬設定をするべきという意見が上がった
基本報酬に関する論点
  1. 人員配置体制や利用者の障害区分によって、基本報酬を分けるべきではないか?
  2. 平日の放デイについて、サービス提供時間に応じた基本報酬性にするべきではないか?
  3. 児童発達支援についても、学齢期に応じた報酬制にするべきではないか?
  4. 強度行動障害児の支援を行った際の評価を行うべきでないか?
私見

サービス提供時間によって基本報酬の増減がありそうです。

また、これまで支援が薄かった強度行動障害児の支援に関する評価が行われるのは、保護者としてはありがたいことではないでしょうか。

事業所としてターゲットを絞り込むのは理にかなった戦略ですが、重度障害児の受け入れができる事業所が少ないことはどうかという問題がありました。

なお、「専門療育型」と「預かり型」といったサービス内容による報酬区分に関する記述は見られませんでした。

 

論点2-2.サービスの向上と適切な評価(加算)

放課後等デイサービスおよび児童発達支援の加算に関する検討事項です。

加算に関する現状について
  1. 児童指導員等加配と、指導員(無資格者)加配加算の単価の差が120円程度の差しかない
  2. 児童発達支援センター、重症身心障がい児の通所事業所は指導員加配加算が算定できない
加算に関する論点
  1. 指導員加配加算の単価を見直すべきでないか?
  2. 指導員加配加算の算定に必要な人数を見直すべきでないか?
  3. 児童発達支援センターや重症身心障がい児の通所支援事業所でも加算対応するべきでないか?
  4. 特別支援加算の単価の見直し、歩行訓練士なども算定対象とするべきでないか?

※特別支援加算…25単位/日。ot、pt、stなどを配置した際に算定可能

 

私見

児童指導員加配加算の算定要件や報酬単価の見直しが行われそうです。

指導員加配加算は全体のうち約44~48%が算定しており、障害児通所支援における中心的な加算となります。

児童指導員や保育士等を手厚く配置する事業所の単価増、無資格者指導員については報酬減となる可能性があります。

弊所に問い合わせの多い、一般的な事業所についてはこの件に関する大きな影響は無さそうです。

ただし、福祉事業の収益構造的に見ても加算は重要な役割を担うため、加算改定については今後も注視していきたいです。

(障害福祉サービス等報酬改定検討チーム第10回資料3より引用)

論点3.保育所等との連携、移行支援の評価方法

現状
  1. 保育所や学童などでも障害児の受け入れが進んでおり、教育、子育て、障がい福祉の「横の連携」が一層重要となっている。
  2. 児童発達支援事業所から保育園や幼稚園への移行支援がうまく進んでいない
補足
  1. 関係機関連携加算1…200単位/年1回。保育所、学校と連携して個別支援計画を作成
  2. 関係機関連携加算2…200単位/年1回。就学先、就職先と連絡調整及び相談援助を行う

 

一般施策への移行支援に関する論点
  1. 関係機関連携加算の算定回数を増やしてはどうか?
  2. 障害児が保育園等に移行できた場合の評価をすべきでないか?

 

私見

関係機関連携加算等、「ヨコの繋がり」を作るための加算の報酬増加が起こりそうです。

関係機関連携加算については、算定している事業所の数が少ない現状にあります。

(そもそも加算の存在を知らない、年に1度しか算定できないうえ、所定の事務手続きが要求されるため、ないがしろにされるなど)

加算要件に関する改善があった場合は、是非とも取得を目指してほしいです。

障害児者の療育に必須な地域間連携を強化するためにも重要な役割を果たす加算です。

 

論点4.障害児および保護者への相談援助の強化

現状
  1. 平成27年度報酬改定において、事業所内相談支援加算が創設された
  2. しかし算定要件としてサービス提供時間帯の相談援助が認められず、使い勝手が悪かった
補足(相談援助系の加算について)
  1. 家庭連携加算…187/200単位。障害児宅を訪問して、相談援助を行った場合(月2回)
  2. 訪問支援特別加算…187/200単位。障害児が5日間連続して通所しなかったとき、居宅を訪問して相談援助を行った場合(月2回)
相談援助の強化に関する論点

障害児および保護者への相談援助の強化のために、加算の算定要件の見直しを行うべきでないか?

私見

事業所内相談支援加算の算定要件、相談援助に関する報酬額の見直しが行われそうです。

現在の単価は35単位/月1回です。

相談援助が30分に満たない場合やサービス提供時間帯の援助は加算対象外でした。

算定率も、児童発達支援4.7%、放デイに至っては1.9%の事業所しか算定していません。

児童のアセスメントを行う際に保護者に事業所に来てもらうことで、質の高い個別支援計画書を作成するとともに、本加算を算定するなどすれば売上の積み上げが期待できると考えます。

 

 

論点5.その他-欠席時対応加算について

現状
  1. 障害児については欠席が多い傾向にある(特にインフルエンザの時期など)
  2. 特に重症児については欠席率が非常に高いため、欠席時対応加算の見直しを行うべきでないか?
論点

重症身心障がい児など、体調が不安定な障害児の場合など、欠席率が高い場合は算定可能回数を見直すべきでないか?

(障害福祉サービス等報酬改定検討チーム第10回資料3より引用)

私見

重症児受け入れ事業所における、児童の欠席に対するフォローが入りそうです。

重症児を受け入れをしようと頑張っている事業所が利用者の欠席により事業収益を大きく左右される現状はどうかと思っていました。

欠席時対応加算によって一定以上のフォローによって少しでも安定運営が可能となれば、重症児の支援をする事業所も増えるのではないでしょうか。

看護師等を配置しなければならない点は依然参入障壁となっていますが、重症児の支援というサービスの目的上やむを得なません。

 

論点5.その他-自己評価について

現状
  1. 放課後等デイサービスについては、平成29年4月より自己評価および質の改善、公表が義務付けられた
  2. 児童発達支援においては義務付けを検討中
  3. 自己評価を行わない事業所は減算するべきという意見もある
  4. 平成30年4月からは情報公表制度が開始される予定

 

補足

たまに自己評価に関する質問を頂きます。

簡単に言えば「事業所が県へ情報を提供して、利用者がそれを閲覧できるようにする」ようになります。

(障害福祉サービス等報酬改定検討チーム第10回資料3より引用)

論点

自己評価結果等を公表していない事業所は、一定期間経過後減算することを検討してはどうか?

私見

自己評価を行わない事業所に対する減算が発生するかもしれません。

もし減算措置が行われる場合、個別支援計画未作成減算のように、あって5%減算くらいに着地すると予想しています。

まとめ

論点を見れば分かりますが、巷で言われるような大幅な放デイの基本報酬の減少は考えにくいです。

ただし、サービス提供時間の多少によって区分けされることはありえそうです。

個別療育ではなく、障害児の自立に向けた、集団での機能訓練を促進する流れとなるのではないでしょうか。

今回は割愛していますが、保育所等訪問支援の加算算定要件が緩和される可能性があることや、居宅訪問型児童発達支援という新サービスがスタートすることなどから、より早い段階からの障害児療育が1つのテーマとして上がっているようです。

 

以上、社会保障審議会の報酬改定検討チームの資料をもとに考察してみました。

平成30年度改正について、よほど本資料の内容を無視したような改定にはならないものと考えていますが、実際どうなんでしょうか。

続報があり次第、追加記事をアップします。

ABOUT ME
吉川彰太郎
名古屋を日本一の福祉事業エリアにするべく活動する行政書士です。複数の放デイで2年半管理者・指導員として事業の立ち上げや管理、支援業務全般に関わっていました。 現在は障害者福祉関連の事業者様の運営、経営支援を中心に活動しています。 ICT活用による業務効率化、法制度を活用した事業展開について考えることが好きです。 【取り扱い業務】障害福祉の指定申請/届出/実地指導/農地・土地開発/その他事業許可の取得等
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