開業後の記事

事業所が今から抑えておくべき、30年度報酬改定の概要

30年度報酬改定が公表されました。今後の事業運営のご参考になれば幸いです。

加算のまとめ

30年度における各障害福祉サービスの加算はこちらをご参考ください(サービス随時追加予定)

・放課後等デイサービス、児童発達支援

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資料は平成30年度障害福祉サービス等報酬改定の概要より取得できます。

30年 報酬改定構造(pdf)

30年 主な改定内容(pdf)

30年 報酬改定概要(pdf)

最もお問い合わせの多い「放課後等デイサービス」から記述していきます。

★は特に事前に把握しておいて頂きたい規定を指します。

30年2月時点の内容につき、パブリックコメントによる変更の可能性がある点をあらかじめご容赦ください。

30年度法改正の概要

障害福祉サービスの共通事項

1.福祉専門職員等配置加算の見直し

「公認心理士」が有資格者の要件として、新たに追加されます。

  • 単位の変更:なし
  • 福祉専門職員等配置加算Ⅰ:15単位/日

⇒常勤スタッフのうち、社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士または公認心理士が35%以上いる場合に算定。

  • 福祉専門職員等配置加算Ⅱ:10単位/日

⇒常勤スタッフのうち、社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士または公認心理士が25%以上いる場合に算定。

※就労移行支援においては、作業療法士も有資格者として追加。

解説

平成30年度に第1回の試験がある「公認心理士」が加算対象に加わります。

ここで詳細を説明するのは記事の本旨とずれるので、外部リンクを貼っておきます。

公認心理士の受講資格について(厚生労働省)

 

★減算の見直し(重要)

  1. サービス提供職員欠如 ⇒ 減算のち3ヶ月目から50%減算開始
  2. サビ管・児発管欠如 ⇒ 減算のち5ヶ月目から50%減算開始
  3. 個別支援計画未作成減算 ⇒ 開始2ヶ月目まで30%減算。3ヶ月目からは50%減算

解説

人欠減算について、現在の3割減算は継続です。

上乗せで上記規定が追加になります。

個別支援計画未作成が初月の時点から従前の-5%⇒-30%になったため、サビ管等が欠如した場合の損失が大きくなります。

(例:給付額×サビ管・児発管欠如0.5×計画未作成0.5。請求額100万円の場合25万円の支給まで下がる)

計画書未作成減算については、自治体によって取扱いが異なるケースがあります。

(全利用者同時に減算対象となる地域と、更新を控えた利用者のみ対象となる地域など)

 

食事提供加算

30単位/日

収入が一定以下の利用者に対して、事業所が食事を提供した場合

廃止予定だったものがパブリックコメント等による検討の結果、継続となりました。

 

送迎加算

  1. 就労継続支援A型 ⇒ 利用者による自力通所が前提であることに留意
  2. 放課後デイサービス ⇒ 児童の自力通学を妨げないよう配慮することを通知に明記する
  3. 生活介護、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援については以下のとおり
  • 送迎加算Ⅰ 27単位 ⇒ 21単位

⇒1回の送迎につき平均10人以上が利用 and 週3回以上の送迎

  • 送迎加算Ⅱ 13単位 ⇒ 10単位

⇒1回の送迎につき平均10人以上が利用 or 週3回以上の送迎

解説

生活介護、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援については、送迎加算額が変更となりました。

放課後等デイについては結局据え置きのようです。

 

★身体拘束廃止未実施減算(新設)

  • 単位:-5単位/日
  • 要件:身体拘束等に係る記録をしていない場合、基本報酬を減算する。

解説

手続きの詳細は不明。身体拘束記録書の整備がされていない場合に減算、などが考えられます。

 

地域区分(見直し)

概要p.133「別紙5地域区分見直し」をご参考ください

 

★放課後等デイサービス・児童発達支援について(重要)

基本報酬が改定されます。

一見すると報酬額が上がっているように見受けられますが、「児童発達支援管理責任者選任加算」が基本報酬に組み込まれているため(205単位)、実質的な基本報酬額は減少になります。

 

放課後等デイサービスの基本単価について

以下の規定が加わることにより、基本報酬が4段階で設定されます。

  1. 指標該当の有無(「食事・排泄・入浴および移動のうち3つ以上の日常動作について全介助が必要な児童」もしくは「一定の指標に該当する児童が利用者に占める割合」)に基づいて基本報酬を区分1と区分2に分ける
  2. 平日の利用のみ「3時間(サービス提供時間)未満」か否かで、基本報酬を区分1と区分2に分ける

概要そのままでは理解しづらかったため「平日/休日、指標該当の有無、サービス提供時間」ごとに基本報酬を整理してみました。

報酬の高い順に記載します。

※休日は3時間規定なし(もともと開所時間による減算があるため)

 

平日①指標規定該当、かつサービス提供時間3時間以上の事業所

放課後等デイサービス平日 区分1-1
 定員数
10名 473 656
11~20名 355 440
21名~ 276 331

 

平日②指標規定該当、かつサービス提供時間3時間未満の事業所

放課後等デイサービス平日 区分1-2(3時間未満)
定員数
10名 473 645
11~20名 355 431
21名~ 276 324

 

平日③指標規定非該当、かつサービス提供時間3時間以上の事業所

放課後等デイサービス平日 区分2-1
 定員数
10名 473 609
11~20名 355 405
21名~ 276 304

 

平日④指標規定非該当、かつ平日サービス提供時間3時間未満の事業所

放課後等デイサービス平日 区分2-2(3時間未満)
 定員数
10名 473 596
11~20名 355 396
21名~ 276 297

 

休日①指標規定該当かつ学校休業日の事業所

放課後等デイサービス学校休業日 区分1
 定員数
10名 611 787
11~20名 447 529
21名~ 359 410

 

休日②指標規定非該当かつ学校休業日の事業所

放課後等デイサービス学校休業日 区分2
 定員数
10名 611 726
11~20名 447 483
21名~ 359 374

 

現時点で確認が必要なこと

  • 「サービス提供時間3時間」とは、各児童ごとの実際の受け入れ時間を指すのか、事業所としての受け入れ体制を整えるだけで良いのか?
  • 区分1とする場合の手続きと、算定所用期間について

どのように本基本報酬を導入したらいいのか、不明な点が多いです(30年2月時点)。

解説

何も手続きをしない場合だと、区分2(指標非該当)が基本報酬となりそうです。

そのうえで平日3時間未満のサービス提供時間の場合、基本報酬が最も低く算定されます。

詳細が分かり次第すみやかに追記します。

参考:区分(指標該当)に関する記述(算定概要p.111)

食事、排せつ、入浴及び移動のうち3以上の日常生活動作について全介助を必要とする障害児又は別表に掲げる項目の欄の区分に応じ、その項目が見られる頻度等をそれぞれ同表の0点の欄から2点の欄までに当てはめて算出した点数の合計が13点以上である障害児の数が障害児全体の数の50%以上であること。

評価項目について、報酬概要p.111より抜粋しました。

本採点項目により区分1と区分2に児童が分類されます。

チェックシートを作成しました。

事業運営のご参考に活用ください(平成30年2月時点)。

・放課後等デイ:指標該当チェックシート

「児童が適切な療育を受けることで採点項目が下がった場合、基本報酬が下がってしまう」という放課後等デイサービスの制度趣旨と矛盾した構造になると考えられるため、次期改定では改善結果を加算により評価するのではないか?と考えられます。

 

児童発達支援

主に小学校就学前の障害児を支援する場合、①障害児全体の70%以上の場合と、②それ以外の場合で区分を分ける(概要p.61)

児童発達支援①
10名 620 827
11~20名 453 557
21名~ 364 433

 

児童発達支援②
10名 620 703
11~20名 453 465
21名~ 364 360

解説

②は学籍のない子ども(不登校児等)の受け入れが想定されます。

小学校入学前の未就学児の受け入れが中心の事業所は①での基本報酬算定となります。

 

看護職員加配加算(新設)

詳細は報酬概要p.122~をご参照ください。

 

送迎加算について(拡充)

看護職員加配加算算定、かつ送迎時に添乗員1名以上配置して送迎を行った場合、54単位に上乗せ37単位/片道追加

同一敷地内の送迎については、加算の70%を算定する。

解説

一般的な放課後等デイ・児童発達支援については大きな影響は無さそうです。

 

医療連携加算(拡充)

単位

  • 医療連携体制加算Ⅴ:1000単位/日
  • 医療連携体制加算Ⅵ:500単位

医療機関との連携にり、外部の看護職員が児童の看護をした場合の規定について、加算の区分が新設される

※看護師加配加算算定している事業所は、本加算の算定不可

 

★指導員加配加算の見直し(重要)

通常の指導員加配加算の額が半減します。

その代わりに、児童指導員等の加配が2名分まで算定可能となります(「改定内容p.8(2.加算の充実)」参照)。

例:児童指導員加配加算 155単位/日×職員2名=310単位/日

詳細を別途まとめました。

・児童指導員等加配加算ⅠとⅡについて

児童指導員等加配
定員数/新旧
10名 195 155
11~20名 130 103
21名~ 78 62

 

(その他)指導員加配
定員数/新旧
10名 183 91
11~20名 122 61
21名~ 73 36

 

★新設:専門職(理学療法士等)加配加算

専門職(理学療法士等)加配
定員数/新
10名 209
11~20名 139
21名~ 84

解説

保育士を基準+1名以上配置した場合は、新設の作業療法士等加配で算定できます。

保育士資格保有者の需要が上がりそうです。

理学療法士等
⇒作業療法士、言語聴覚士、保育士若しくは別に厚生労働大臣が定める基準に適合する専門職員

 

特別支援加算(見直し)

  • 単位:25単位 ⇒ 50単位

要件

理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、心理指導担当職員、(新)看護職員、または視覚障害者の生活訓練を専門とする技術者の養成を行う研修を修了したものを配置して機能訓練または心理指導を行った場合

解説

対象資格者による管理のもと特別支援計画およびそのためのアセスメント、モニタリングをすることで算定できる加算です。

下線部分が、新しく規定として加わります。

 

★強度行動障害児支援加算(新設)

  • 単位155単位

要件

強度行動障害支援者養成研修(基礎研修)を修了した職員を配置し、対象児童に支援を行うことを評価する

解説

児童に対する実際の支援が必要になる or 研修修了職員の配置のみで可 現時点では2通りの解釈ができます。

 

地域生活支援拠点等(概要p.17)に参考となる記述が見られたので、追記します。

研修修了者が、専用の計画書を作り、実際に支援した場合に算定する構造となりそうです。

実践研修修了者の作成した支援計画シート等に基づき、強度行動障害
支援者養成研修(基礎研修)修了者が、強度行動障害を有する者に対し
て個別の支援を行った場合に加算する。なお、当該基礎研修修了者1人
の配置につき利用者5人まで加算できることとする。

 

事業所内相談支援加算(見直し)

  • 単位・35単位(据え置き)

変更点

児童がサービス提供時間帯に相談援助を行う場合も加算の算定ができるようになる。

解説

ただし相談支援を行うスタッフは、支援に必要な頭数から除外されます。

事業運営の観点から見ると、相談支援に充分な技能のある無資格者などで対応することが望ましそうです。

 

★関係機関連携加算(見直し)

  • 単位:200単位(据え置き)

要件

障害児が通う保育所や学校等と連携して個別支援計画書の作成を行った場合、月に1度を限度として、加算算定する。

解説

従来は年に1回が限度だったものが、月に1度算定できるようになりました。

加算額も大きいですので、取得を目指したい加算です。

報酬減のあおりを受ける各事業所がこぞって本加算を算定しようとした場合、学校等の対応が追い付かなくなる可能性が考えられます。

 

保育・教育等以降支援加算(新設)

  • 単位:500単位/1回のみ

要件

障害児が通所事業所を退所して保育所等に通うことになった場合に加算を算定。詳細は不明

 

欠席時対応加算(見直し)

  • 94単位(据え置き)

要件

重症身心障がい児を受け入れている放デイ・児童発達支援(センター含む)は1ヶ月に8回まで欠席時加算を算定できる

参考:計算式

1ヶ月の利用者数/(定員数×当月の営業日)<0.8となる場合

重心児受け入れ事業所のみ対象となる 規定です。

 

★自己評価等未公表減算(重要)

  • 単位15%減算

解説

もとより義務付けされていた自己点検をしないことで、減算規定が新設されます。

平成31年4月時点から適用開始。30年度中に対策すれば、減算は回避できそうです。

 

まとめ

現時点で分かることをまとめました。

基本報酬改定の部分が、各障害福祉事業共通で抑えなければならないポイントです。

算定できる加算は算定して、減算を抑えるべきポイントはきちんと抑える、これまで以上に運営基準を理解した事業運営が求められるようになります。

適宜情報は追加していきますので、よろしくお願いします。

 

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POSTED COMMENT

  1. yuri より:

    いつも拝見させて頂いております。分かり易くまとめていただき感謝です。特別支援加算の下線部に看護師も入りますね。

    • 吉川彰太郎 より:

      ご指摘ありがとうございます。微修正させていただきました。
      今後ともよろしくお願いいたします!

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