内部統制

正しい法律の守りかたと確認手順

法令遵守のもと、末永く事業運営をするために。

自分自身の実務知識向上(と一応集客)を目的として更新している当サイトですが、このところ多くのクライアント様から「調べものをしているとヨシカワさんのサイトがよく出てきます」と言われるようになりました。

ウェブマーケティング的に言えば冬の期間を完全に乗り越えたのだなと嬉しく思う反面、私の中では発信したい情報の100分の1も伝えられていないという自覚がありますので、少し焦ります。

それくらい、福祉事業には知っておかなければならないルールが多くあります。

障害福祉事業は公費で収益をあげるビジネスモデルであるため、厳格なルールのもと運営されなければなりません。

中央集権的に「障がい者総合支援法」が定められつつも、実務においては「行政裁量」として地方行政の実情に照らした解釈でルールが運用されており、その行政内部においては定期的に人事異動が行われているため、尋ね方いかんによっては担当官レベルで言うことが異なることすらあります。

端的に言えば「地域や人によって、言うことがまるで違う業界である」ということです。

誤った運営をすれば容赦なく「給付金を返せ」と言われるので、現場実務と並行して情報収集を行うことが重要になります。

そこで今回は、弊所のブログ更新スピードを超えて、自分たちの身を自分たちで守るための、法令遵守の基礎をお伝えします。

運営基準で分からない事項があった際は、この手順で確認することを推奨します。

 

実地指導対策の核となる法令遵守手段

1.障がい者総合支援法事業者ハンドブック(基準および解釈通知)

加算の算定条件や許可基準に関する一般原則レベルであれば、基準・解釈通知を読めばほぼ解決できます。

行政官も本書をもとに運営基準を確認するため、「ここに書かれていないなら、運営ルールとして求めない」という回答を受けることも多くあります。

毎年度ごとに発売されますので、事業者様はお近くの書店で必ず購入してください。

 

2.関係告示、通達、QandA(事業所ハンドブック後半ページ)

日々の事業運営レベルのことについては本項に記載されます。

「1.」だけでは見落としがちな注意点が記載されていることも多いため、新しく算定したい加算があるときは必ず目をとおしてください。

運用基準の中でも特に重要度の高い事項も記載されています。

 

3.直近3年分の集団指導資料

ハンドブックには書かれないローカルルールを抑えるために、最低でも直近3年分の集団指導資料には目を通してください。

「自治体名(県、中核市など) + 障害福祉課 or 監査指導室 + 集団指導」でインターネット検索をすれば、該当するページがヒットするはずです。

該当しない場合は、県庁や他中核市の資料を参考にしてください。

全部のページを通読する必要はありません。自社事業に関係する事項のみ拾い上げればそれで充分です。

こうした努力をせずに実地指導で指摘を受けたとしても、まず言い逃れはできません。

 

4.加算届、変更届の書式

障害福祉課のページから書式を取得できます。

加算の詳細な算定条件や記載例、提出の必要な書類一覧を確認できます。

書式下部には「備考」が記載されていますので、必ず目をとおしてください。

指定申請書類についても同様です。

 

5.障害福祉課

ここまで調べても分からないことであれば、担当地域の障害福祉課等に確認します。

問い合わせ内容を記録するためにも、メール照会を基本としてください。

(一部の自治体はメール照会必須)

見落とされる可能性を見据えて、一応の期日を設けておきその間に返信がなかった場合に電話問い合わせをします。

(数や内容、事情に応じて3日~1週間くらいなど)

やむを得ない場合にのみ電話をかけます。

なお、内容によっては問い合わせ先が異なるため、合わせて紹介いたします。

  • 実地指導、事業運営に関する事項 ⇒ 監査指導室
  • 許可基準・加算要件に関する事項 ⇒ 障害福祉課(許可担当)
  • 通所受給者証の発行、給付金の振込について ⇒ 利用者の住居地障害福祉課
  • 給付金の請求・システムに関すること ⇒ 各県国保連

 

6.調べても答えの出ない問題は

質問内容によっては行政でも答えが出させないことも多くあります。

この場合は、これまでに分かった情報を総動員して貴社なりの見解のもと事業運営を行ってください。

実地指導で指摘されるリスクを見据えて「どのような基準に基づいて、なぜそのような判断をしたのか」を説明できるようにしておけば、軽微な違反であっても改善指示で済むケースもあります。

立場上、行政は書面でしか物事を判断しないため、運営の記録として書類を残しておくことが重要です。

 

参考:記録としておくべき書類

サービス記録表、利用予約表、日報、判断の参考とした通達、他県資料、ハンドブックの該当ページ、その他判断の基準となった資料 など

 

その他:インターネットの抱える限界とは

発信している側がいうのもなんですが、あまりあてになりません。

時間のムダに終わることが多いので、インターネットの検索用途は絞り込むことをお薦めします。

各媒体ごとの特徴を説明します

  • 行政書士 ⇒ たいていは省令を貼り付けただけのサイトばかり。実務レベルで解説しているサイトは少ない。あったとしても情報の量・速度・精度※に限界がある(弊所はこのポジション)
  • 掲示板 ⇒ 真偽不明。未解決なままことも多い。
  • 検索で出てくる行政のページ ⇒ 許可基準や要件は参考になるが、古い通達が引っかかることもある。
  • 他県、他自治体の情報 ⇒ 参考にはなるが、ローカルルールには非対応。

※精度…行政官の回答が基準となるため

弊所の場合は、許可基準などの一般論や最新の集団指導資料の取得、その他仮説を立てる際の過去のQA資料を取得するためにのみ使っています。

「誰かが記載した具体的な回答」を得るために使用することは、ほぼありません。

 

弊所への相談について

ここまで全ての手順を踏んだうえでの問い合わせ内容であれば、無料で対応するには難しい内容かと存じます。

また、ここまでの手順を踏まずしてお問い合わせをするのであれば「時間をお金で買う」というビジネスとしての価値提供の側面が強くなります。

いずれの場合も有料とはなりますが「スポットコンサルティング」として弊所の活用をご検討ください。

 

まとめ

おそらくここまで全てを読まれた方は「めんどくさそうだな」と感じたかもしれません。

断言します。面倒くさいし手間もかかります。

しかし「給付金」という国民の税金で収益を立てる事業であるため、これくらいのことは行って当然だと思っています。

 

時には行政官による誤った指導により不利益を受けることもあります。

そうしたときでも言われた内容が正しいかどうかを判別したうえで、分からないことや腑に落ちないことがあった際には根拠条文や資料をもとに担当官と話し合いできるくらいのレベルにまで、全ての事業者様がなって頂きたいと私は本気で思っています。

本記事により1つでも多く、適正な事業運営のもと利用者様とそのご家族を支援する事業者様が増えれば幸いです。

ABOUT ME
吉川彰太郎
障害福祉施設の開業、運営コンサルティングに特化した行政書士です。 障害児者やその家族の人生を支えるべく、事業所がより質の高いサービスを提供できるよう様々な情報発信を行います。

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