指定申請

自力申請する前に抑えておきたいリスクとポイント

行政書士の仕事は「書類作成・提出代行」であり、平たく言えば「頑張れば本人でもできそうな書類の作成」です。

指定申請における、実務的に困難な点は以下の記事をご参考ください

・難易度の高かった申請事例

 

物件探しにおけるポイントはこちら

・物件に関する許可条件確認手順

収集書類・作成する書類の枚数で言えば20~30種類程度と、行政書士業務の中では比較的、1回の申請で要求される書類は多い業務になります。

事業者様と関わる期間は短くて2ヶ月、長いと半年からそれ以上になります。

 

許可取得における業界的な特徴としては、自治体によっては行政書士による指定申請の完全代行が禁止されているという点が挙げられます。

この場合は経営者もしくは管理者様とともに指定申請に臨むことになります。

制度を理解しないまま開業した事業所様による給付金の不正請求、大規模な改善指導の例が後を絶たないため、制度を理解しないまま参入する法人を予め排除することが狙いです。

ゆえに障害福祉業界においては、役所に出す書類について完全代行できるという、行政書士の本来メリットが1つ薄まります。

 

この業界における行政書士相場としては、お値打ちな行政書士事務所でアルバイト1名分、弊所のようなところだと管理職員1~数名分×月数、事業所やFC会社等によってはそれ以上の人件費や相当分の費用が発生します。

開業当初は可能な限り費用を抑えたいことと存じます。

今回は自力で指定申請を行う場合に注意したいポイントについて記述します。

 

自力申請をする場合に陥りがちな5つの失敗例

ケース1.制度に基づかない事業設計を行ってしまった

許可基準や報酬体系のことを理解せずに指定申請しても、根気強く役所に足を運べば(どれだけの月数がかかるかは分かりませんが)許可はとれるかもしれません。

報酬体系をうまく理解していなかった場合には基本単価のみの、半ば力技で事業運営することになります。

就労系・居住系でしばしば聞く話ですが「儲かるから…」と言われて開業したものの報酬体系のことが分かっていなかったため、改めて状況を整理すると現状のままでは100%稼働でも収支とんとんだった…ということもあります。

また、許可はとれても制度のことが分からない場合は、実地指導に対する過度な不安が、スタッフのストレスにも繋がります。

【ポイント】

  • 最低限の制度・許可基準を理解したうえで指定申請にあたる
  • 報酬体系を理解して収支予算書を作る(外部に丸投げにして、収支の理解を放棄しない)

 

ケース2.担当官との協議が難航した挙げ句、計画が頓挫した

指定申請の際に不可抗力で他席から聞こえてくることがありますが、自力申請の場合、担当官も威圧的な対応をとることがあります。

いくら「最近は行政も書類の書き方を丁寧に教えてくれるようになってきた」といえども、あまりにも不勉強な人だと思われると、露骨にキツイ態度を取られます。

制度を分からない方が開業した結果、基準違反・不正請求でで閉鎖されては許可を出した役所としても責任追及される恐れがあるからです。

また、どの部門も比較的少人数で多くの事業所の申請を受けているため、事業者1人1人に懇切丁寧に対応している時間もありません。

ゆえに最初からキツい対応をして、不勉強な人、意思の低い人には申請を諦めてもらおう…という動機が役所側に働くこともあります。

弊所も「窓口でボロクソに言われて開業したい気持ちが失せた」「ハンドブックを読み込んでから出直してこい」と冷たくあしらわれた、「スタッフが泣かされて帰ってきた」という話を聞いたこともあります。

指定申請においては正確な地名・地番、一言一句間違いのないように記載をするなどのルールがありますので、行政書類の作成に慣れていない場合、この点も難航するポイントになります。

【ポイント】

  • あらかじめ各自治体の指定の手引きに目をとおしたうえで協議に臨む
  • 担当官が不快に感じるような態度はとらない

 

ケース3.関係事業者との協議がまとまらず、開業が大幅に遅れた

物件を契約する前に、建築基準法や都市計画法、消防法に適合しているか確認します。

自力申請の場合はこれらを自社で行うことになりますが、どこに何をどう聞けばいいか、というところから始まります。

民間事業者との連携においては、建築士・設計事務所様が障害福祉事業を専門とすることは稀なため、どこに何をどのように聞いたらいいか、またいつまでに内装工事まで完了したらいいか、また申請予定の障害福祉事業は建築基準法上のどのような類型の事業にあたるのか?などの判断をしかねることが多いです。

事業者様主体で、これらのことを伝えられればいいのですが、そうでなかった場合は、物件の設備基準を満たせず希望する物件で開業できなくなるリスクがあります。

市街化調整区域内で事業を開業する場合は事業計画の作成が求められるため、やはり最低限の制度知識は理解しておきたいです。

その他には、地域・提供事業によっては総量規制の対象となっており、当該地域で開業できないことが後から発覚した…という相談を受けたこともあります。

【ポイント】

  • 各事業者は福祉制度のことを理解していることは稀なため、事業者様が音頭を取る
  • 指定基準に基づいた納期・設備を逆算したうえで、各事業者と連携を図る

 

ケース4.開業準備に全然時間を割けなかった

担当官によっては書類のチェックにおいて見るべき点が異なっていたり、見落としている点があったりします。

そのうえ指定のたびに担当者が変わることもあり「前回と今回で言っていることが違う」「これまで指摘されなかった点が今更指摘された」ということもよくあります。

1つの書類の修正で済めばまだマシですが、ものによっては半分以上の書類を修正しなければならないこともあります。

書類が不足していたり、作成するたびに記入ミスがあると何度も何度も役所に足を運ぶことになります。

傾向として指定窓口は常に込み合っているため、開業月を1ヶ月遅らされることもあります。

一部の書類はまた作り直しになります。

指定申請に時間をかけすぎてしまうと、利用者様に対する支援の質の深め方を考えたり、関係事業所へのご挨拶まわりに行くなどの時間がとれなくなってしまいます。

【ポイント】

  • 申請書類の作成に時間をかけすぎない
  • 事業の中身の検討や改善・地域のニーズ調査に時間をかけること

 

ケース5.経験者を頼ろうとしたらアテが外れた

ご縁があれば、事業立ち上げ経験・実地指導、管理業務経験のあるベテランスタッフを雇用出来ることもあります。

知識や経験に偏りがあるケースもあるため「うちは業界経験者を雇ったから大丈夫」という場合でも、いざふたを開けてみると大きく当てが外れるケースも少なくありません。

現場経験が深いスタッフだからといって、事業立ち上げの中心人物として許可基準や報酬体系、制度基準を経験してきたとは限らないためです。

だからこそ可能な限り経営者・役員レベルの方がきちんと制度を理解・勉強したうえで、事業運営に臨むことを推奨します。

実地指導に入られた際に書面が整備されておらず、報酬体系の理解も不十分だと見なされると、間違いなく監査員のチェックの目も厳しくなります。

【ポイント】

  • 事業立ち上げはあくまで、事業者様主体で実行する
  • 立ち上げ経験者だからといって、全てを託すような発想は持たないこと

 

事業許可の取得をアウトソーシングする

支援員上がりのスタッフで起業する、代表自らが現場を切り盛りしているなど、自社内で適任者が立てられない場合は指定申請書類の作成をアウトソーシングすることも検討にいれてください。

依頼のタイミングで最適なのは、事業立ち上げを検討する段階です。

例えばご自身の働き・提供価値を時給換算して、アウトソーシングするべきかご自身で頑張るかをご検討ください。

 

以下の記事では、指定申請において困難だった事例を紹介しております。

・難易度の高かった申請事例

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