内部統制

対象利用者はどこまで絞っていいのか?という問題

この記事の対象:放課後等デイサービス事業者

得られる効果:根拠条文を理解したうえで、提供するサービスの方針を考えられるようになる

前提:放課後等デイサービス事業者は、サービスの提供を拒んではいけない

原則、障害種別に関わらない受け入れが基本です。

ただし専門性への配慮として、特に必要な場合、障害種別による利用者の特定が可能となります。

参考(障害者「自立」支援法)指定事務の取扱

  1. 障害種別にかかわらず、利用者を受け入れることが基本。⇒ 「障害者自立支援法」においては、3障害(身体、知的、精神。障害児を含む。以下同じ。)の垣根のない一本化した指定を行うこととしている。
  2. 例外:障害の特定可能 ⇒ 一方で、障害特性に応じたサービスの専門性の確保にも十分な配慮が必要であることから、サービスの専門性を確保するため特に必要がある場合においては、障害種別を特定して事業を実施することも可能とする。

・指定事務の取扱い(厚生労働省)

 

補足:放デイの基準にも同じような規定が定めてある

児童発達支援における、以下の条文が放デイにも使い回されています(児童福祉法)。

基準省令第14条「提供拒否の禁止」

指定児童発達支援事業者は、正当な理由がなく、当該指定児童発達支援の提供を拒んではならない

 

事業者は、原則として利用申し込みに対して応じなければならない。

特に障害の程度や所得の多寡を理由にサービスの提供を拒否することを禁止とするものである。

「障害のレベルが重たい子だから」ということや「所得の低い家庭だから」ということで利用申込を拒んではいけない、ということが読み取れます。

利用を拒否しても良いケースとは

利用を拒める正当な理由として挙げられているケースは、解釈通知で補足されています。

  1. 利用定員を超える利用申し込みがあった場合
  2. 入院治療の必要がある場合
  3. 主たる対象とする障害の種類が異なる場合
  4. 障害児に対して、適切な児童発達支援を提供することが困難な場合 

以上4つです。

1は読んだそのままです。定員超過するレベルの事業所なら、利用を拒むことはやむを得ません。

入院しなければいけない児童であれば、治療に専念するべきです。

ここで着目したいのが3と4です。

3は主たる障害の種類を特定していた場合、特定している以外の障害児の利用を拒めます。

4についてはいわゆる「ケースバイケース」です。

「等」ということで他のケースがあり得ることも想定されています。

つまり、主たる障害を特定していなかったとしても、ケースバイケースによって処理していきます。

  • 車いす利用者を受け入れるための設備環境が整っていない
  • 重症心身症児、強度高度障害につきスタッフに受け入れをするだけのスキルがない

※通常の放デイでも重心児を預かることはできます。リスクは極めて高いですが。

 

きっちり運営する方法

1つ目は「主たる障害の区分を特定すること」です。

新規開業時は特定する理由書、既存事業所の場合は運営規程や重要事項説明書の変更、変更届の提出によって特定します。。

ただし、この方法でどこまで区切れるかというと、上記した身体、知的、精神による区分までです。

精神障がい専門とすれば対象は「自閉症、ADHD、LD」などに限定されます。

知的障がい専門とすれば対象は「知的障がい」です(知能指数による、軽度、中度、重度等の区分)。

「自閉症専門」や「ADHD専門」と謳うことはできません。

 

「自閉症やアスペルガー児等は、精神か知的、どちらに区分されるのか?」

という質問が飛んできそうなので先に説明すると「知的障がいの有無」によって分類します。

もっとも、スペクトラムや高機能性など、厳密な分類が難しいケースもあるのでこれで100%判定が可能となる訳ではありません。

 

2つ目は「きちんと説明すること」です。

主たる障害を「特定しない」の場合でも。指定申請時や、保護者から利用問い合わせがあった際に「なぜ受け入れ対象者を選ぶのか?」理由をしっかり説明できるようにすることです。

しっかり説明できれば、保護者や行政も納得されます。

この辺りはアルバイトの求人が性別による差別を禁止しているにも関わらず、実質女性限定の広告を出しているような構図に似ているかもしれません。

ただ、ここまで徹底して利用者の区別を行っている事業所は少数派だと感じています(だからこそ差別化戦略として極めて有効ですが)。

 

もし本件が理由で実地指導になるとすれば

「所得を理由として」or「重度の子はお断り」として提供を拒んでいるらしいというリークが入る ⇒ 実地指導が入る

という流れですが、今のところこのような例を聞いたことがありません。

(重度の子はお断り、というのは残念ながらよく聞く話です)

 

その他の例として、通常校の児童しか受け入れない、特別支援学校お断りの事業所を知っていますが実地指導でも特に処分を受けていません。

最初は保護者や相談所からの批判がありましたが、事業所の方針、考えが浸透してからはそれも落ち着いたようです(多少は)。

もちろん今は特別支援学校の子向けの放デイなども作っておられるようです。

本件について、一度障害福祉課に質問したこともありますが「実際にそういう事業所が出てきた際に直接相談しに来てください」で終わりました。

もっとも、多様性を磨くという観点からは本記事冒頭に書いた「垣根のない一体的な支援」も大事かとは思います。

ただし、支援の質を高めるには「対象を限定した療育の質の向上」が不可欠なため、きちんとした理由があるなら行政が否定することはないでしょう。

 

まとめ

全く無知なまま事前相談に行くと一蹴されてしまうので、最低限本記事の内容は頭に入れたうえで出向くことをお薦め致します。

  • 原則 収入の多寡や障害の重さによる受け入れ拒否は禁止
  • 例外 主たる対象を特定している、もしくは明確な事業所コンセプトがある場合(要事前協議)は受け入れ可

確実に嫌な顔をされるため、事前相談時には「ネットに書いてあった」ではなく「こういう根拠に基づいて、こういうサービスを提供したいから、障害区分を特定したいけど大丈夫か?」という聞き方で担当官に質問してください。

あなたの事業所が素晴らしいサービスを提供できる事業所となることを願っています。

ABOUT ME
吉川彰太郎
名古屋を日本一の福祉事業エリアにするべく活動する行政書士です。複数の放デイで2年半管理者・指導員として事業の立ち上げや管理、支援業務全般に関わっていました。 現在は障害者福祉関連の事業者様の運営、経営支援を中心に活動しています。 ICT活用による業務効率化、法制度を活用した事業展開について考えることが好きです。 【取り扱い業務】障害福祉の指定申請/届出/実地指導/農地・土地開発/その他事業許可の取得等
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