就労継続支援A型

【就労A・B】就労移行支援体制加算の運用ポイント

報酬改定によって、基本報酬ごとに単価が変わるようになりました。

はじめに

今回は就労継続支援A型における、就労移行支援体制加算の算定ポイントについて解説しました。

運用ルールが複雑ですが、一般就職のち、6カ月以上働いている利用者様を輩出できている事業所様については、ぜひ導入を検討していただきたい加算になります。

就労移行支援体制加算

6カ月以上一般就労できた利用者がいた場合、翌年度1年間において報酬額の上乗せ(加算)が発生します。

就職実績については、毎年ごとにリセットされます。

一人ひとりの基本報酬にたいして発生する加算であるため、一般就職体制の整っている事業所様にとっては、かなり重要な収益源になります。

 

見込み入金額の計算

【公式】

就労継続支援A型事業所を卒業して、6カ月以上企業で勤務できている利用者の数×単位数×地域単価

によって計算できます。

 

【例】前年度実績において継続勤務者を2名輩出できた場合のシミュレート

基礎情報

  • 定員20名
  • スタッフ体制7.5:1
  • 前年度実績における6カ月以上勤務者:2名
  • 地域単価10円

 

【計算】

6カ月以上勤務者2名×42単位×10円 = 840円/日

20名×20日稼働の場合 延べ利用回数 = 400回

400回×840円 = 336,000円/月

336,000円/月が、加算額として入金される見込みとなります。

 

留意点:利用者の継続勤務月について

翌年度から加算を取得する場合には、前年度以内において6カ月以上の勤務実績が必要です。

たとえば2020年4月から加算をとるためには、2019年9月末までに一般就職先をみつけて10月1日から働き始める必要があります。

  1. 2020年3月
  2. 2020年2月
  3. 2020年1月
  4. 2019年12月
  5. 2019年11月
  6. 2019年10月(勤務開始)

計6カ月

 

【注意!】

新年度をまたいで6カ月勤務した場合は、翌々年度の4月から本加算が算定されます

  1. 2020年5月
  2. 2020年4月 ⇒ 新年度をまたいでいる!
  3. 2020年3月
  4. 2020年2月
  5. 2020年1月
  6. 2019年12月(勤務開始)

計6カ月 ⇒ 2020年4月からではなく、2021年4月からの算定となる

 

 

 

制度の詳細

就労継続支援A型をうけたあとに就労し、6カ月以上就労継続している者がいる場合、基本報酬区分や定員規模に応じた加算額に、6カ月以上勤務者の数をかけた数だけ、報酬が加算される

※前年度の実績にもとづいて、1年間加算されます

図:就労移行支援体制加算の単位数

区分/定員 ~20人 21人~40人 41人~60人 61人~80人 81人~
7.5:1 42/日 18/日 10/日 7/日 6/日
10:1 39/日 17/日 9/日 7/日 5/日

 

よくある質問

自治体によって見解が分かれる可能性がある点に、ご留意ください

利用者が自力で就職活動を行った結果就職した場合でも、算定できるのか?

算定できます

 

正社員じゃなければだめか?

非正規社員や短時間アルバイトでも対象になります

 

なにをもって、6カ月以上働いたことの証明になるのか

できれば在職証明書を発行してもらいましょう。

もし難しい場合はその他給与明細や出勤記録等、状況に応じてあらかじめ行政の指示を仰ぐことが望ましいです。

 

A社で3カ月、B社で3カ月=計6カ月の場合は対象になるか?

対象外です。

1社で6カ月以上の継続勤務が条件になります。

 

午前=就労A型での勤務、午後=一般企業での就労(パート・アルバイト)などは?

あまり想定されていませんが、対象になるものと解釈されています。

 

就職したことの証明はどうしたらいいのか?クローズドの場合は書類提出を求めにくいのでは?

オープン、クローズド関係なく、内定や雇用が決まったときに交付される、内定通知書や雇用契約書など、何かしらの書類を利用者様からコピーでいただいておくのみでも十分、という取り扱いがなされています。

 

加算をとるために最低限必要な就職者数は?

1名から算定できます。

 

この加算は、1日あたりのすべての利用者に適用されるのか?

はい。

すべての利用者に適用されるため、事業運営の観点からみると、かなり重要な加算になります。

復職者は一般就労実績として認められるのか?

※企業に勤めている人が、鬱やなんらかの障害によって、就労継続支援A型を利用しているケースを指します

以下の条件をいずれも満たすなら、認められます。

(障害福祉課や相談支援所との連携が不可欠です)

  1. その休職者を雇用する企業や、地域の就労支援機関、医療機関などによる復職支援(リワーク)の実施が見込めない、もしくは困難であること
  2. 本人が復職を希望し、企業、主治医の判断のもと復職すること適当であると判断すること
  3. 就労系サービスを利用することによって、確実に復職につながることができると市町村が判断すること

(平成30年度障害福祉サービス等報酬改定QandA,4月25日事務連絡)

企業で6カ月以上勤務した場合に、継続支援する制度はあるのか?

就労定着支援という、障害福祉サービスがあります。

あたらしく許可を取得することで始められるサービスです。

6カ月以上働いたもののすでに離職してしまった利用者についても算定できるのか?

算定できます。

(参考:平成30年度障害福祉サービス等報酬改定に関するQandA)

就職後6ヶ月以内に他会社へ転職した場合は

離職後、1ヶ月以内に転職支援の結果、別会社に就職できた結果6ヶ月に到達した利用者は、就職実績として含むことができます。

 

 

運用のポイント

経営的観点からみると一刻も早く一般就労を実現することで、翌年度から報酬算定できるかもしれません。

ただし、本人の気持ちを顧みず無理に一般就労を進めた結果、二次障害が発生したり、短期離職につながってしまっては元も子もありません。

あくまで利用者本人の気持ちによりそって「結果的に一般就職して、継続勤務できた」場合に算定するのが理想だと考えます。

 

参考資料

 

 

行政書士ヨシカワ事務所メルマガ支部

無料でご利用いただけるメールマガジンで

主に事業運営に関するお役立ち情報や特別クーポン配信などに使用しております。

配信コンテンツは表向きには保管していないため、

早めに登録したほうが、より多くのお知らせを受け取ることができます

 

 

【再開】お問い合わせはこちら

業務のご相談や個別具体的な質疑応答等は

以下のページからお受けしております。

 

 

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)