お問合せの多かった建築基準法、消防法における障害福祉サービスの位置づけについて解説しました。
これらは、物件選定において抑えておきたい前提知識です。
法律絡みの話が多いですが、消防署や建築指導課など、障害福祉課以外との協議が円滑に進みやすくなりますので、あらかじめ抑えておきましょう。
各障害福祉サービスの法的位置づけ
障害児にかかるサービスは「児童福祉法」、障がい者(18歳以上)にかかるサービスは「障がい者総合支援法」に定められています。
事業所の立ち上げにおける、あらゆる協議の前提となります。
障害児通所支援
放課後等デイサービス、児童発達支援などは児童福祉法に分類されます。
種類 | 児童福祉法 |
児童発達支援センター | 第7条第1項 |
児童発達支援センター以外のもの | 第6条の2の2第2項 |
放課後等デイサービス | 第6条の2の2第4項 |
保育所等訪問支援 | 第6条の2の2第6項 |
障害福祉サービス
共同生活援助(グループホーム)、就労継続支援などは障害者総合支援法に分類されます。
種類 | 障害者総合支援法 |
生活介護 | 第5条7項 |
短期入所 | 第5条8項 |
自立訓練 | 第5条12項 |
就労移行支援 | 第5条13項 |
就労継続支援 | 第5条14項 |
共同生活援助 | 第5条15項 |
建築基準法における障害福祉サービスの位置づけ
障害福祉サービスを開業するためには、候補物件が建築基準法を適切に満たしている必要があります。
抑えておきたい前提知識
平成30年の法改正によって、使用面積200㎡未満の物件は建築確認申請が不要となりました。
(ただし、建築基準法の基準を適切に満たしていることが前提)
「使用面積」は、エリアによって
- 使用面積
- 有効面積
- 延べ面積(不使用なスペースも含む)
など解釈が異なることもあります。
必ず事前に建築部局と協議のうえ問題ないことを確認してから物件を契約してください。
次に、児童福祉施設等と建築基準法の関係についてみていきます。
児童福祉施設等は「建築基準法施行令115-3-1」
「建築基準法施行令115条の3第1号」に分類されます。
以下のような、18歳を超えた障害者の支援事業も含まれます。
- 生活介護
- 自立訓練
- 就労移行支援
- 就労継続支援
児童福祉施設、助産所、身体障害者社会参加支援施設(補装具製作施設及び視聴覚障害者情報提、供施設を除く。)、保護施設(医療保護施設を除く。)、婦人保護施設、老人福祉施設、有料老人ホーム、母子保健施設、障害者支援施設、地域活動支援センター、福祉ホーム又は障害福祉サービス事業(生活介護、自立訓練、就労移行支援又は就労継続支援を行う事業に限る。)の用に供する施設
補足:放課後等デイサービス、共同生活援助も「児童福祉施設等」
なお、札幌市の手引きなどには、放課後等デイサービスも児童福祉事業等と定められています。
熊本市の手引きにおいては、共同生活援助も児童福祉事業等と定められています。
消防法上の障害福祉サービスの位置づけ
障害福祉サービスを開業するためには、建築基準法だけでなく消防法においても適切な消防設備を兼ね備えている必要があります。
消防法の規定は複雑なので、消防局予防課などにあらかじめ必要な備品を確認しておきましょう。
以下の根拠法令を伝えると、協議がスムーズに進みます。
消防法施行令別表第一 | 障害福祉サービス | |
6項ハ | 4 | ・児童発達支援 ・放課後等デイサービス |
5 | ・生活介護 ・短期入所 ・自立訓練 ・就労移行支援 ・就労継続支援 ・共同生活援助 |
障害福祉サービスにおける建築基準法、消防法のまとめ
障害福祉サービスの立ち上げにおいては建築基準法、消防法の基本的なポイントを押さえておく必要があります。
行政官の確認をとりながら物件が許可基準を満たしているかの確認ができるようになりますので、是非抑えてください。
各障害福祉サービスのビジネスモデルは以下のカテゴリーからご確認ください。
参考資料
さいたま市「事業所の指定申請及び運営等に関する手引き(https://www.city.saitama.jp/002/003/004/003/007/p018259_d/fil/ji-shitei-tebiki.pdf#search=’%E6%94%BE%E8%AA%B2%E5%BE%8C%E7%AD%89%E3%83%87%E3%82%A4%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%93%E3%82%B9+%E5%BB%BA%E7%AF%89%E5%9F%BA%E6%BA%96%E6%B3%95′)