児発管、サビ管を雇用するときに注意したいポイントについてまとめました。
サビ管、児発管は個別支援計画に関するアセスメントや計画書作成の最終決定を担う重要なポジションです。
採用した候補者が要件を満たしていなかった場合、申請書類を受けつけてもらえず、事業の開始時期が大幅に遅れるなどのトラブルが起こるかもしれません。
施設家賃や人件費も、開業が遅れた分だけ無駄になってしまいます。
サビ管・児発管の雇用に関する注意点
雇用時に起こり得る5つの落とし穴
- 実務経験年数が足りていても日数が足りていなかった
- 業種・仕事内容が実務経験と認められなかった
- 他のとこでは大丈夫と聞いた実務経験が管轄の自治体では実務経験と認められなかった
- 過去の勤務先が潰れてしまった
- 開業前に辞められた
「履歴書を見る限りオッケーそうだと思った。」
「面接者が自信満々で「児発管の資格をもってます!」と応えたため、それを真に受けてしまった。」
「開業前に児発管に飛ばれた」
まれにこのような相談を受けることがあります。
児発管となるには、申請時に実務経験証明書を添付して、記載内容をもとに担当官が要件の適否を判断をします。
ここではサビ管、児発管の雇用に関するトラブルをご紹介します。
①実務経験年数が足りていても日数が足りていなかった
履歴書では、勤務年数は確認することができますが日数までは確認できません。面接者に対して週に何回ペースで働いていたのかを確認してもうろ覚えであることも多く、いざ過去の勤務先から実務経験証明書を発行してもらったらギリギリ日数が足りなかった、というケースがあります。
②業種・仕事内容が実務経験と認められなかった
実務経験証明書の記載例でよくあるのは「訪問入浴」や「病院での看護助手」といった、表記不足トラブルです。
細かい話ですが、障害者総合支援法上のサービス名称で記入しなければなりません。
グループホームであれば「共同生活援助」と正確に記載することを要求されます。
業務内容としてよくあるのは「高齢者に対する“看護”を行った」といった表記などです。
業種・業務内容 、いずれかが行政の求める記載方法でなかった場合、実務経験として認められない恐れがあります。
③他のとこでは大丈夫と聞いた実務経験が管轄の自治体では実務経験と認められなかった
開業予定の地域を管轄する自治体によって解釈が分かれることもあります。
勤めていた先が障がい者支援施設であっても、業種・業務内容によっては実務経験として認められなかったケースもあるようです。
※追記
この手の相談は、たいてい経験書を発行する事業所の記載ミスによることが多いです。
④過去の勤務先が潰れてしまった
期間・職務内容ともに要件を満たしており、いざ実務経験証明書を取得しようとしても、肝心の事業所が潰れているケースもあります。
こうした場合は、自己証明という方法や閉鎖事項証明書を取得するなどして、行政と交渉しながらなんとかしていくことになりますが、難易度は高いです。
事業所が潰れていても、法人もしくは経営者等と連絡がつけばまだなんとかなるかもしれません。
⑤保管期間を経過した
個人情報に関係する書類は、5年間の保存義務があります。
逆をいえば、5年を過ぎた場合は処分されてしまい、勤務記録を確認できなくなる恐れがあります。
つまり、事業者側も実務経験証明書発行の義務がなくなります。
発行されなければ困りますので、年金手帳や給与明細などから、勤務日数を数えて事業所に発行するようかけあってみてください。
⑥開業直前で資格者に飛ばれた
求人広告経由で資格者を雇用した場合にしばしば受ける相談です。
頑張って代わりになる人を探して、駄目だった場合は速やかに行政に連絡して指示を仰ぎます。
このような事態を防ぐためにも広告費の安すぎる求人媒体で管理者を募集するのは、あまりオススメできません。
- 質の高い求職者向けの求人広告を出す
- エージェントによるマッチングサービスを活用してみる
- 信頼できる身内に頼んでみる
特に児発管、サビ管は施設の中心人物になるため、ある程度費用や手間をかけても良いかもしれません。
児発管候補者が必要な条件を満たしていなかった場合の解決手段
- 他の候補者を探す
- 行政の担当者に相談・交渉をしてみる
- 実務経験として算定できる仕事がないか思い出してみる
- 経営者団体に所属して、日頃から関係を築く
指定申請の段階で実務経験を満たしていないことが判明した場合、かなり大変です。
結論「なんとかするしかない」ですが、それでも考えられる限り解決策を示します。
①他の候補者を探す
知人であったり、他スタッフが条件を満たしていないか確認します。
心当たりがなかったとしても、採用したスタッフに事情を説明して探してもらうこともできます。
介護・福祉業界で長く勤めていたスタッフであれば、条件を満たす経験者を知っている可能性もあります。
②実務経験証明書の内容を、もう1度チェックしてみる
日数・経験ともに所定の条件をクリアしているにも関わらず、実務経験証明書を発行した事業所に記載ミスがあるかもしれません。
こうした場合は、以前の事業所へ実務経験証明書の書き直し・再発行をしてもらいましょう。
やろうと思えば年金手帳や、過去の給与明細を遡って勤務日数や年数を確認することもできます。
③実務経験として算定できる仕事がないか改めて確認してみる
職歴が長いスタッフであれば、少しだけ勤めて事業所があるかもしれません。
いざこざによって退職した事業所のことを隠している可能性もあります。
お願いして、実務経験証明書を取得してもらいましょう。
どうしても連絡したくない事情があれば、経営者や行政書士などを代理人として、発行依頼をかけましょう。
実務経験に関するトラブルを未然に防ぐための対策
- サビ管、児発管要件を理解する
- 実務経験証明書の発行・取得までを採用プロセスとする
- 行政所定の経歴書を記載してもらう or 履歴書から大まかに判断する
児発管候補者の“アテ”が外れてしまった場合、採用にかけた費用・時間がムダになってしまい、場合によっては開業時期を遅らせなければならない可能性も出てきます。
こうした事態を回避するためにとるべき方法を考えてみました。
①児童発達支援管理責任者の実務経験に関する要件を理解する
愛知県庁障害福祉課のpdfを引用します。
http://www.kaigo-wel.city.nagoya.jp/view/wel/docs/2016060100015/files/zihatukannyoukenn.pdf
内容を大まかに説明すると、下記のようなパターンに分かれます。詳細は必ずご自身の開業予定地域の自治体が公開している資料をもとにご確認ください。
- 相談支援事業従事者 ⇒ 5年900日以上
- 資格者+実務経験 ⇒ 5年900日以上
- 無資格者+実務経験 ⇒ 10年1800日以上
- 国家資格者+実務経験 ⇒ 5年900日以上(うち3年540日以上介護業務に従事)
②実務経験証明書の発行・取得までを採用プロセスとする
- 実務経験証明書が揃った時点で面接を開始する。持ってきてもらった実務経験証明書が要件に合っているか行政に判断してもらったのちに採用する。
- 面接を行い、後日実務経験証明書の取得をお願いする。実務経験証明書が要件に合っているか行政に判断してもらったのちに採用する
本採用をする前に、上記のようなプロセスを踏みましょう。
実務経験証明書を集めて行政に確認してもらい、大丈夫なことが分かった時点で採用の合否を決める方法です。
面接と実務経験証明書発行作業により1~2週間ほど要しますが、一番確実です。
③履歴書から大まかに判断する
- 働いていた年数
- 月あたりの勤務日数
- 職務内容
面接時にこれらの情報をヒアリングして、要件を満たしそうかアタリをつける方法です。
ざっくりと判断したいときにオススメな手法です。
まとめ
障害福祉事業においてきわめて重要な役職であるサビ管、児発管に関する注意事項でした。
事業所を立ち上げる際の様々なスケジュールと並行して、これらの作業を行わなければなりません。
不安な点があればお気軽にお問い合わせください。
実務経験証明書の取得については、以下の記事もご参考ください。