AIを使うことで、制度を調べたり、通知を要約したり、書類や研修資料の案を作ったりすることが、以前より身近になりました。
内容を理解し、自社で作成できる書類については、AIを活用しながら事業者自身で対応する方法もあります。
当事務所としても、AIを使わず、あらゆる業務を専門家へ任せることが最善だとは考えていません。
自社で調べられることや作成できるものは、自社で対応する。判断が難しい場面や、事業への影響が大きい場面で、外部専門家を活用する。
今後は、このような使い分けが一般的になっていくと考えています。
それでは、AIに聞けば制度上の答えを得られる時代に、事業者が外部専門家を置く意味は、どこにあるのでしょうか。
目次
AIに質問する前に、整理しておきたいことがあります
たとえば、AIに「この加算は取得できますか」と質問すると、加算の要件や必要な届出について説明してくれます。
しかし、実際の経営では、要件を満たしているかどうかに加えて、次のような点も考えることになります。
・現在の職員配置で安定して維持できるか
・年間でどの程度の増収が見込まれるか
・記録や管理の負担がどの程度増えるか
・ほかの加算や人員基準に影響しないか
・今後も継続して算定できる体制があるか
制度上は取得できる加算でも、その法人が今、取得することが適切かどうかは、別に検討する必要があります。
また、AIから自社の状況に合った回答を得るには、前提となる事実を正確に伝えることが大切です。
たとえば、勤務表上の配置と実際の勤務状況が異なっていることがあります。
常勤、専従、兼務などの考え方について、事業所と行政で認識が異なることもあります。指定権者やサービス種別によって、確認すべき内容が変わる場合もあります。
前提となる事実の整理が不十分なままでは、AIから得た回答を、実際の運営へそのまま当てはめにくくなります。
まず自社の状況を整理し、そのうえで適切な問いを立てることが重要です。
専門家の役割は、答えることから、判断を支えることへ
これからの専門家には、制度に書かれた内容をま説明することに加えて、事業者が判断できる状態をつくる役割が求められると考えます。
たとえば、次のような支援です。
・何を確認する必要があるのか整理する
・判断に必要な事実がそろっているか確認する
・現在の状況から、今後の見通しを立てる
・今すぐ対応することと、後からでもいいことを分ける
・現時点では急がなくてもよいことを整理する
・複数の選択肢と、それぞれの影響を示す
・弊所なりの見解を示す
AIが回答案を作る場合でも、
・どのような問いを立てるか
・どの回答を判断材料とするか
・その結果として何を実施するか
・その結果として何を実施しないか
については、自社の状況を踏まえた検討が必要です。
当事務所では、この部分に専門家としての役割があると考えています。
運営の実施者と、専門家が担う範囲
障害福祉事業の運営主体は、事業者様です。
実際に誰が勤務していたのか、どのような支援を行ったのか、会議や研修をいつ実施したのか。
日々の運営状況を最も正確に把握できるのは、事業者自身です。
専門家は、事業者から提供された情報をもとに、制度上の整理や選択肢の提示、行政への説明方法などを支援します。
もちろん、専門家側の確認不足や誤った見解によって問題が生じた場合には、その業務に応じた責任があります。
一方で、専門家へ報酬を支払うことと、事業運営に関するすべての判断や責任が外部へ移ることは、同じではありません。
専門家が担うのは、事業者に代わって運営全体を背負うことというよりも、
・必要な事実を確認する
・制度上の選択肢を整理する
・想定される影響を把握する
・経営者が判断できる状態をつくる
といった支援です。
事業者と専門家が、それぞれ把握している情報や知識を持ち寄ることで、より適切な判断につながります。
経営者が次の判断をできるために
行政からの指摘、報酬の返還、減算などの可能性がある場合、経営者様が不安を感じるのは自然なことです。
このような場面では、状況をいくつかに分けて整理することが重要です。
・現時点で確認できていること
・現時点で確認できていないこと
・追加で確認する必要があること
・想定される対応方法
・今後の運営への影響
・行政へ確認する質問内容
これらを分けて整理することで、問題を必要以上に大きく捉えることも、反対に軽く考えることも避けやすくなります。
専門家の役割には、経営者が安心できる耳障りの良い言葉を伝えることだけでなく、判断に必要な材料を示すことも含まれます。
場合によっては、
・希望している加算の取得を一度見送る
・現在の人員配置を変更する
・これまでの記録方法を見直す
・行政へ事前に確認する
・新しい事業の開始時期を調整する
といった提案をすることもあります。
事業者にとって都合のよい回答を出すことよりも、会社や事業所がその後も安定して運営できるための判断を支えることを大切にしています。
制度を学ぶための時間を短縮する
事業者様が自社で制度を把握するとしても、国や指定権者が公表する資料をすべて最初から読み込むことには相応の時間がかかります。
また、それらを現場に落とし込むことについても相応の時間や経験を要します。
制度を確認する際には、資料を見つけるだけでなく、次のような作業も必要です。
・自社に関係する部分を探す
・複数の通知やQ&Aをつなげて読む
・どの情報が重要かを判断する
・日々の運営へ当てはめる
・管理者や職員へ伝える
・実施した内容を記録として残す
AIを活用することで、こうした作業の一部は効率化できます。
その一方で、
・どの情報を根拠として採用するか
・自社ではどこまで対応するか
・報酬上の機会をどう捉えるか
・運営上のリスクをどこまで許容するか
については、事業者ごとに判断が異なります。
当事務所では、顧問ブログ、メルマガ、研修などを通じて、事業者が確認しておきたい制度や運営上の注意点を整理しています。
これは、事業者に代わって日々の運営を行うためのものではありません。
本来であれば事業者が時間をかけて調べ、実践するべき内容を整理し、
・何を確認するのか
・何を実施するのか
・何を記録として残すのか
・どのような場合に相談するのか
を把握しやすくするためのものです。
制度を学ぶための時間を短縮しながら、事業者自身にも知識や経験が蓄積される形を目指しています。
日常の運営は自社で行い、難しい場面で専門家を活用する
当事務所が目指しているのは、専門家がいなければ日常の運営が進まない状態ではありません。
基本的な考え方は、次のとおりです。
・日常的な運営や書類管理は、自社で行う
・制度の基本や一般的な対応方法は、顧問ブログや研修で確認する
・判断に迷うことがあれば、事前に相談する
・報酬や運営への影響が大きいことは、専門家と一緒に整理する
・行政への説明が必要な場面では、回答方針を検討する
・自社だけでは整理しにくい問題が生じたときに、外部専門家を活用する
このような関係が、事業者にとっても専門家にとっても、長く続けやすい形だと考えています。
専門家へ相談しながら、事業者側にも制度理解や判断の経験が残る。
その積み重ねによって、日常的な運営は自社で進められるようになり、難しい場面では早い段階で適切な相談ができるようになります。
自社で運営できる。それでも専門家を置いておきたい
AIを活用し、制度を学び、社内の管理体制を整えることで、日常的な運営を自社で進められる事業者は増えていくと思います。
これは、事業者にとって望ましい変化です。
当事務所としても、顧問先に何も分からない状態でいてもらい、すべての判断を当事務所へ委ねてもらうことを目指しているわけではありません。
一方で、自社だけですべての制度改正を追い続け、
・自社に関係する内容を選ぶ
・重要度を判断する
・報酬への影響を計算する
・運営方法へ反映する
・難しい事案が起きるたびに一から調べる
ことには、相応の時間と労力が必要です。
普段の運営は自社でできる。
それでも、
・制度を学ぶ時間を短縮したい
・重要な情報の見落としを減らしたい
・報酬の取りこぼしを防ぎたい
・大きな判断をする前に確認したい
・行政対応が必要なときに相談したい
・自社の事情を知っている専門家の見解を聞きたい
そのために、ヨシカワ事務所を置いておきたい。
当事務所が目指しているのは、そのような立ち位置です。
AIを活用できる場面では、AIを活用する。
自社で対応できる業務は、自社で進める。
そのうえで、何を確認し、どの事実をもとに、どの選択肢を採用するのか。
自社だけでは判断しにくい場面で、事業者が次の判断をするための外部専門家として、当事務所をご活用いただきたいと考えています。
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