「サテライト型グループホームを設置して定員数の増加を考えています」というご相談を顧問先事業者様から頂きました。
手頃な物件探しが難しくなりがちなグループホームにおいて、アパートの一室などを活用できるサテライト型グループホームの設置は事業経営的にも検討の余地があります。
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サテライト型グループホームとは
地域生活への移行を目指す障害者の中にも一人暮らしを希望する方もいます。
またグループホームとしても定員を増やそうとしても近隣に手頃な物件がなく、見つかったとしても大規模な改修が必要になるケースも多いです。
このような課題を解決するための仕組みとして創設されたのがサテライト型グループホームです。
サテライト型グループホームの入居者への支援で抑えるべきポイント
訪問回数や時間などは本人の希望を踏まえた個別支援計画によって設定します。
原則3年間という制限がありますが、一人暮らしができそうなら市町村と協議のうえ受け入れ期間を延長する余地もあります。
【サテライト型グループホーム入居者支援のポイント詳細】
- 個別支援計画にもとづいて定期的な巡回を行うこと
- 定期巡回は、1日の訪問回数や訪問時間など利用者と柔軟に決定すること
- 本人の希望であれば、訪問しない日があっても良い
- 入居してから原則3年以内に、一般住宅に転居できるよう計画的に支援すること
- 一人暮らしの実現可能性が見込めるなら、市町村審議会との協議のうえ3年を超える受け入れもできる
- 当該サテライト型ホームを一般の賃貸契約に変更して引き続き住むこともできる
サテライト型グループホームのイメージ図
メインとなるグループホーム(図中←)に対して2部屋(図中→)まで設置することができます。
メインとなるホームの定員数が4名以下の場合は1つまでしか設置できません。
(厚生労働省,サテライト型グループホームから抜粋)
サテライト型グループホームの設置・運営基準
本体住居から20分以内の距離で、1ホームあたり1~2部屋までサテライト型ホームを設置できます。
広さや設備の規定は通常のグループホームと同じです。
- 本体住居とサテライト住居の間はおよそ20分程度で移動できる距離であること
- ただし交通状況や地理的環境などを踏まえて適切に判断すること
- 1つの本体住居に対して2つまでしか設置できない
- もし本体の定員数が4名以下であれば1つまでしか設置できない
- 一定地域にある複数のグループホームを本体住居として1つの建物にサテライト型を複数設置することはできない
- 風呂、トイレ、洗面所、台所などが必要であること
- サテライト型ホーム1部屋あたりの定員は1名までとする
- 生活スペースは7.43㎡以上あるとともに収納スペースなども適切な広さを確保すること
- 通報装置や携帯電話などによる連絡体制を設けること
サテライト型グループホームの人員配置基準
本体住居の定員数に含めてスタッフを配置することになります。
事例を見てみましょう。
【本体ホーム5名+サテライト住居1名×2部屋のケース】
- 前提1:例)世話人配置4:1
- 前提2:例)障害支援区分は全員4
本体5名+サテライト2名=合計7名
世話人数:合計7名÷4=1.75名/月
生活支援員数:合計7名÷6≒1.2名/月
計:世話人1.75名/月,生活支援員1.2名/月
サテライト型グループホームのよくある質問
厚生労働省QandAを中心に整理してみました。
Q.居宅介護の利用
外部サービス利用型グループホームが設置するサテライト住居の入居者でも居宅介護は使えるか |
居宅介護サービスの支給決定量を超えなければ利用できます。
体験利用の場合でも同じです。 |
Q.個人単位の居宅介護利用
通常のグループホームが設置するサテライトホーム入居者が個人単位で居宅介護や重度訪問介護サービスを使えるか |
上に同じです。 |
Q.サテライト型住居の報酬
サテライト型独自の報酬額があるのか。また加算についてはどうなるか |
本体ホームの設定に準拠します。加算なども条件を満たせば通常どおり算定できます。 |
行政確認記録(2024年10月10日追記)
質問:本体住居に対して2つのサテライト型住居を設置できる、とはどういうことか
回答:1つの住居に対して、2つのサテライト型ホームを、20分以内の移動時間を前提として設置することができる。主たる住居にしかサテライト型を紐付けることができない、というわけではない(千葉県障がい福祉課)
※指定権者や実際の住居設置状況により解釈が異なる可能性もあります。必ず事前協議等をとおして問題ないことをご確認ください。
サテライト型グループホームのまとめ
限りなく一人暮らしのような形でグループホームを利用できる点やより柔軟にグループホームの住居を探すことができるようになります。
マンションやアパートの1部屋を活用してより入居者にとって多様な選択肢を提供できるようになるため是非抑えておきたい制度です。
本稿が貴社事業運営の参考になれば幸いです。
参考資料
中央法規,障害者総合支援法事業者ハンドブックp.214「第14章共同生活援助」~他
厚生労働省,平成27年障害福祉サービス等報酬改定に関するQandA、問40
厚生労働省,サテライト型住居の概要(https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000046402.pdf)
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