開業・運営ノウハウ

サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者の要件

はじめに

令和4年度以降のサービス管理責任者、児童発達支援管理責任者についての解説です。

以下、共通論点のときは「サビ管等」として説明します。

 

研修制度については、こちらの記事にまとめてあります。

https://syoshikawa.com/sabikanjihatsukan/

 

到達目標

  • それぞれの職種で必要な資格、実務経験が分かる
  • サビ管等になるための注意点が分かる
  • 自社でもサビ管等の判断が、ある程度できるようになる

 

前提1「用語の定義」

当解説は、以下を前提として記述しています。

基礎研修 児発管・サビ管の基礎研修および相談支援従事者初任者研修(2日間課程)の受講必須以下「基礎研修等」と表記します
実践研修 正規のサビ管・児発管になるため必須。基礎研修修了のち、2年(かつ360日)以上のOJTを経て受講できるようになります
更新研修 既存のサビ管、児発管、実践研修受講完了者が効力継続のために必須。5年以内に研修を繰り返し受講します
実務経験 資格取得前の実務経験も、有効なものは年数に含むことができます
OJT サビ管、児発管になるために必要な業務での実務経験またはサビ管等の補助としての個別支援計画(原案)作成業務を指します

 

前提2「第一種、第二種社会福祉事業とは」

サビ管等に必要な実務経験は、第一種、第二種社会福祉事業の必要があります。

第一種社会福祉事業

主に国や地方公共団体、社会福祉法人が運営する入所施設等です。

例:特別養護老人ホーム / 児童養護施設 / 障がい者支援施設等

第二種社会福祉事業

主に民間の営利法人、NPO等が運営する在宅、通所事業所です。

例:障害福祉事業 / 放課後児童健全育成事業 / デイサービス等介護保険事業等

参考:茨城県古河市 第一種・第二種 社会福祉事業

これらに定めのない民間事業は、たとえ障害福祉、保育、高齢者介護等を行っていても実務経験と認められない可能性が高いです。

 

前提3「サビ管・児発管で有効な実務経験が若干違う」

最終判断はあくまで行政ですが、判断に迷う場合は、あらかじめ行政資料や担当部局に確認のうえ採用することをお薦めします。

それでは本題に移ります。

 

最もシンプルなパターンは

  • サビ管→障害福祉事業での実務経験(訪問、就労、居住、相談支援)
  • 児発管→障がい児通所支援(児発、放デイ、学童、学校・保育園)

で、簡単にいえば、過去に「児なら児、者なら者の実務経験を有すること」です。

それぞれ必要な資格、経験、研修要件が揃っていれば、必要な要件はクリアできているケースが多いです。

 

ただし、判断に迷うケースもあるため、できる限り以下のポイントを抑えて判断基準を得ることをお薦めします。

 

サービス管理責任者に必要な経験・資格

候補者の職歴、保有資格によって、条件が細かく分岐します。

弊所では便宜上それぞれを「所定の資格・特定の資格」と表記しています。

相談支援と直接支援は合算でも必要な年数を満たせば、それぞれの段階で必要な研修を受講できるケースもあります。

 

児発管と異なるポイントは、赤フォントで表記しています。

社会福祉事業等における、障がい者に対する自立相談、指導、支援等。

この場合に必要な資格、実務経験は以下のとおりです。

 

サビ管に必要な相談支援業務とは

  • 施設等における相談支援業務の経験者(包括支援センターを含む)
  • 就労支援における相談支援業務の経験者
  • 特別支援教育(盲学校・聾学校等)における進路相談、教育相談の経験者
  • 医療機関等において相談支援に従事した、以下の経験者
  1. 社会福祉主事任用資格(介護福祉士、精神保健福祉士、研修・社会福祉主事講習受講者)
  2. 訪問介護員(ヘルパー)2級以上、介護職員初任者研修または相当する研修修了者
  3. 特定の国家資格保有者
  4. 施設における相談支援、就労支援における相談支援、特別支援教育における進路。教育相談の経験が1年以上ある者
  • その他、これらに準ずると都道府県知事が認めた者

 

これらの経歴の方がサビ管になるためには

  • 3年(かつ540日)以上の実務経験+基礎研修等の受講 からの
  • 2年のOJT+実践研修

が必要です。

 

サビ管に必要な直接支援業務

  • 社会福祉事業等において、障がい者に対する入浴、排泄、食事、その他の介護
  • 介護に関する指導、職業訓練、動作指導、知能技能、生活訓練等の指導

等を指します。

これらの場合に必要な実務経験は以下のとおりです。

直接支援業務の対象になる経験・資格等

  • 施設及び医療機関等における介護業務の経験者
  • 障がい者雇用事業所における就業支援業務の経験者
  • 盲学校、聾学校、養護学校における職業教育業務の経験者
  • その他、都道府県知事がこれらに準ずると求めた業務

 

これらの経歴の方がサビ管になるためには

  • 6年(かつ1080日)以上の実務経験+基礎&初任者研修修了 からの
  • 2年以上のOJT&実践研修修了

が必要です。

 

【直接支援】所定の資格保有者は、通算5年

ただし、以下の資格保有者は、必要な実務経験が短縮されます。

  • 社会福祉主事任用資格(介護福祉士、精神保健福祉士、研修・社会福祉主事講習受講者)
  • 訪問介護員(ヘルパー)2級以上、介護職員初任者研修または相当する研修修了者
  • 保育士
  • 児童指導員任用資格者

 

これらの資格保有者の場合、

  • 実務経験3年以上で基礎研修・初任者研修受講可能
  • 基礎研修等のち2年以上のOJT&実践研修受講修了

によってサビ管になれます。

 

【直接支援】特定の資格保有者は、通算3年

以下の資格者の場合が直接支援に従事していた場合、必要な実務経験がさらに短くなります。

  • 医師 / 歯科医師 / 薬剤師 / 保健師 / 助産師 / 看護師 / 准看護師 / 歯科衛生士
  • 理学療法士 / 作業療法士 / 社会福祉士 / 介護福祉士 / 精神保健福祉士
  • 言語聴覚士 / 視能訓練士 / 義肢装具士 /
  • あん摩マッサージ指圧師 / はり師 / きゅう師 / 柔道整復師 / 栄養士(栄養管理士含む)

 

これらの資格保有者の場合、

  • 実務経験1年以上で基礎研修・初任者研修受講可能
  • 基礎研修等のち2年以上のOJT&実践研修受講修了

によってサビ管になれます。

 

児童発達支援管理責任者に必要な経験・資格

候補者の職歴、保有資格によって、条件が細かく分岐します。

弊所では便宜上それぞれを「所定の資格・特定の資格」と表記しています。

 

また、相談支援と直接支援は合算でも必要な年数を満たしていれば、それぞれの段階で必要な研修を受講できるケースもあります。

サビ管と異なるポイントは、赤フォントで表記しています。

 

全ルート共通

全てのパターンにおいて、児発管の場合は、必要な実務経験通算のうち3年(かつ540日)以上、障害福祉や児童福祉事業(老人福祉施設・医療機関以外)での実務経験が必要です。

 

児発管に必要な相談支援業務

社会福祉事業等における、障がい者に対する自立相談、指導、支援等。

この場合に必要な資格、実務経験は以下のとおりです。

相談支援業務の対象になる経験・資格等

  • 施設等における相談支援業務の経験者(包括支援センターを含む)
  • 就労支援における相談支援業務の経験者
  • 学校における進路・教育相談の業務の経験者
  • 乳児院、児童養護施設、児童心理治療施設、児童自立支援施設の経験者
  • 医療機関等において相談支援に従事した、以下の経験者
  1. 社会福祉主事任用資格(介護福祉士、精神保健福祉士、研修・社会福祉主事講習受講者)
  2. 訪問介護員(ヘルパー)2級以上、介護職員初任者研修または相当する研修修了者
  3. 特定の国家資格保有者
  4. 施設における相談支援、就労支援における相談支援、特別支援教育における進路。教育相談の経験が1年以上ある者
  • その他、これらに準ずると都道府県知事が認めた者

 

 

これらの経歴の方が児発管になるためには

  • 3年(かつ540日)以上の実務経験+基礎研修等の受講 からの
  • 2年のOJT+実践研修

が必要です。

 

児発管に必要な直接支援業務とは

  • 社会福祉事業等において、障がい者に対する入浴、排泄、食事、その他の介護
  • 介護に関する指導、職業訓練、動作指導、知能技能、生活訓練等の指導

等を指します。

これらの場合に必要な実務経験は以下のとおりです。

児発管における直接支援業務で必要な経験・資格等

  • 施設及び医療機関等における介護業務の経験者
  • 学校に従事する者
  • 児童福祉等に関する施設、事業に従事する者
  • その他、都道府県知事がこれらに準ずると求めた業務

 

これらの経歴の方が児発管になるためには

  • 6年(かつ1080日)以上の実務経験+基礎&初任者研修修了 からの
  • 2年以上のOJT&実践研修修了

が必要です。

 

【直接支援】所定の資格保有者は、通算5年

ただし、以下の資格保有者は、必要な実務経験が短縮されます。

  • 社会福祉主事任用資格(介護福祉士、精神保健福祉士、研修・社会福祉主事講習受講者)
  • 訪問介護員(ヘルパー)2級以上、介護職員初任者研修または相当する研修修了者
  • 保育士
  • 児童指導員任用資格者

 

これらの資格保有者は

  • 実務経験3年以上で基礎研修・初任者研修受講可能
  • 基礎研修等のち2年以上のOJT&実践研修受講修了

によって児発管になれます。

 

【直接支援】特定の資格保有者でも、通算5年

児発管の場合、以下の資格者であっても基礎研修を受けるためには3年以上の実務経験が必要になります(サビ管の場合は1年以上で受講可)

  • 医師 / 歯科医師 / 薬剤師 / 保健師 / 助産師 / 看護師 / 准看護師 / 歯科衛生士
  • 理学療法士 / 作業療法士 / 社会福祉士 / 介護福祉士 / 精神保健福祉士
  • 言語聴覚士 / 視能訓練士 / 義肢装具士 /
  • あん摩マッサージ指圧師 / はり師 / きゅう師 / 柔道整復師 / 栄養士(栄養管理士含む)

 

これらの資格保有者は

  • 実務経験3年以上で基礎研修・初任者研修受講可能
  • 基礎研修等のち2年以上のOJT&実践研修受講修了

によって児発管になれます。

 

重要論点「最短でサビ管・児発管になるには」

令和4年度からは必ず基礎研修・相談支援従事者初任者研修(2日間課程)の受講のち、2年以上のOJT+実践研修の受講が必須となりました。

なお、従来のサビ管・児発管資格保有者や実践研修まで受講済の方は、有効期間が切れるまでに更新研修を受講することで、サビ管等の効力が継続します(以下5年ごとに更新)。

研修制度の解説記事も最後に紹介しますので、あわせて確認すると役に立つかもしれません。

 

最短で基礎研修を受講するには

以下のように分岐します。

○実務経験のみ8年のルートを目指す場合

実務経験6年の時点で、基礎研修等を申し込むことをお薦めします。

○所定の資格+5年のルートを目指す場合

実務経験3年の時点で、基礎研修等を申し込むことをお薦めします。

○特定の資格+3年のルートを目指す場合

それぞれで、条件が異なります。

【サービス管理責任者】

実務経験1年の時点で、基礎研修等を申し込むことをお薦めします。

【児童発達支援管理責任者】

実務経験3年の時点で、基礎研修等を申し込むことをお薦めします。

 

よくある質問

質問 回答
児発管。幼稚園や学童(放課後児童健全育成授業)、認可外保育は実務経験に含められますか 学校教育法でカバーされるため、直接支援業務なら認められる余地があります。

認可外保育は児童福祉法上の事業ではあるものの、文字どおり認可が不要であるため認められない可能性が高いです。

判断に迷うときは行政に確認することをお薦めします。

必要な実務経験について、相談支援業務・直接支援業務の合算で6年、3年、1年以上でも大丈夫ですか? 大丈夫です
基礎研修前に8年、5年、3年以上の実務経験があるが、それでも基礎研修後2年以上のOJTが必須ですか? 令和3年12月時点では必須と回答を受けております。将来に向かっては運用や解釈変更などもあるかもしれないため、ダメもとで行政に確認をとってみてもいいかもしれません
資格をとってからの実務経験しか認められませんか?資格取得前の実務経験も認められますか 資格取得前の実務経験も、キャリアとして認められます(千葉県資料参照)
令和4年以降も基礎研修を受けただけで、サビ管・児発管になれますか? なれません。2年以上のOJTと実践研修を受けるまでは引き続き支援員か、サビ管の補助業務ができるのみです。
2人目のサビ管とはなんですか?運用上の注意点はありますか? 個別支援計画の原案だけ、基礎研修修了者で作成できるようになります(弊所ではあまり例がありません)。

実地指導を見据えると、念のため当該業務の時間分は支援員業務から除外したほうが無難かもしれません。

あらかじめ行政への確認を推奨します。

ヘルパーの実務経験でも、児発管になれますか? どの事業をやるかによります。障がい者総合支援法上でいうところの、障がい者に対する居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護などであれば要件を満たす可能性があります。逆に、介護保険法上の訪問介護経験だけでは児発管に必要な障害・児童3年の実務経験としては認められません(5年の通算には含められます)
認可外保育など、行政の許認可事業ではない事業での職歴も実務経験になりますか? 行政による許認可事業でない民間事業の場合、実務経験とは認められない可能性が高いです。念のため行政に確認をとってみてもいいかもしれません
デイサービス(介護保険)で、障がい者のお世話、支援もしていました。障がい者支援の実務経験になりますか 法令上はあくまで「介護保険法上の実務経験」になります。児発管に必要な障害者支援の経験には含みません
ヨシカワ事務所でチェックをお願いできますか 大丈夫です。付随する質疑応答、行政調査、報告を伴うケースが大半につきスポットコンサルティングをご案内しております

 

まとめ

令和4年度からの児童発達支援管理責任者、サービス管理責任者になるために必要な実務経験、資格などの要件をまとめました。

やや複雑化の傾向にありますが、それでもやはりサビ管が必要ならサビ管、児発管が必要なら児発管研修修了者を採用していく、の方針が望ましいと考えます。

 

当解説が御社の参考になれば幸いです。

 

○参考資料

千葉県 サービス管理責任者の実務経験

https://www.pref.chiba.lg.jp/shoji/kenshuu/documents/01_sabikan-gaiyou.pdf

茨城県古河市 第一種・第二種社会福祉事業

https://www.city.ibaraki-koga.lg.jp/material/files/group/22/itiran.pdf

東京都 新たな幼保連携型認定こごも園 / 現行制度における認定こども園

https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kodomo/katei/kodomokosodatekaigi/ninteikodoennbukai.files/sankou5.pdf

広島県 幼稚園と保育所の比較

https://www.pref.hiroshima.lg.jp/uploaded/attachment/34362.pdf

 

○関連記事

研修制度まわりの解説は、こちらからご確認いただけます。

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