障害福祉制度は複雑です。
指定申請、加算、報酬改定への対応など、自社ですべてを調べ、書類を完成させるのは簡単ではありません。そのため、行政書士への依頼を検討する場合があります。
ただし、専門家に依頼する場合でも、自社の運営や収入に関係する制度まで、すべ外部任せにすることには注意が必要です。
書類を外注しても、運営まで外注はできません
たとえば加算を算定する場合、必要なのは届出を提出するだけではありません。
実際には、次のような対応をする必要があります。
・必要な職員を配置する
・会議や研修を実施する
・計画や記録を作成する
・利用者や家族への説明を行う
・算定要件を満たしているか定期的に確認する
これらを行うのは、行政書士ではなく事業者様です。
行政書士が届出だけ対応しても、実際の運営が算定要件を満たしていなければ、あとから返金となります。
書類は、ただ日々の運営結果を行政に説明するためのものです。
大切なのは、書類作成ではありません
当事務所は、すべての書類を事業者自身で作成するべきだと考えているわけではありません。
行政の様式は分かりにくく、制度改正によって書き方が変わることもあります。
書類の作成や確認に専門家を利用することも、合理的な選択です。
ただし、少なくとも次のことは、自社で把握しておく必要があります。
・現在、どの加算を算定しているか
・これからどの加算を算定したいのか
・なぜ、その加算を算定できると考えるのか
・算定を続けるために何を行う必要があるか
・社内の誰が確認や管理を担当するか
重要なのは、自社の運営状況や条件を把握し、必要な管理、運用ができることです。
専門家に詳しく伝えられなければ、適切な支援も受けられません
例えばホームページ制作を外注する場合でも、依頼者側が、
・誰に見てほしいのか
・何を伝えたいのか
・どのような問い合わせがほしいのか
を把握していなければ、制作会社も適切な提案ができません。
障害福祉の手続も同じです。
事業者が自社の人員配置や支援内容、今後行いたいことを把握していなければ、行政書士も正確な判断や書類作成ができません。
専門家が制度に詳しければ、すべて解決するわけではありません。
事業者と専門家の双方が、それぞれ必要な情報を持ち寄ることで、はじめて適切な対応ができます。
障害福祉では、制度理解も経営の一部です
障害福祉事業の収入の多くは、公費を財源とする給付金です。
基本報酬や加算の金額、受け取るための条件も、全て基準によって定められています。
そのため、基準や算定要件を理解することは、ただの事務作業ではありません。
自社の売上を理解し、適正に事業を運営するために必要な経営管理の一部です。
制度を完全に暗記する必要はありません。
分からないことがあれば、専門家に相談すればよいと思います。
ただし、「何を算定しているのか分からない」「必要な対応はすべて専門家が管理している」という状態は避ける必要があります。
当事務所が目指す役割
当事務所は、事業者に代わってすべてを管理する運営代行者ではありません。
事業者が自社で通常の運営を管理できることを前提に、次のような場面で支援することを目指しています。
・制度改正や行政通知を分かりやすく整理する
・加算取得や事業運営に関する判断を支援する
・自社だけでは判断が難しい部分について見解を示す
・書類の作成方法や注意点を案内する
・作成した書類の内容を確認する
・必要に応じて行政との確認や協議を行う
通常の管理は自社で行い、難しい判断に専門家を利用する。
このような役割分担が、事業者にとっても専門家にとっても、最も安定した関係だと考えています。
専門家への外注を否定するものではありません。
むしろ、自社の状況や目的を正確に伝えられる事業者様ほど、専門家をより有効に活用できます。
障害福祉制度は今後も改正が続きます。
すべてを外部任せにするのではなく、自社でも制度を理解しながら、必要な場面で専門家を使うことが、安定した事業運営につながります。
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