障害福祉事業においては、指定申請や体制等届出など、行政書士のサポートを必要な場合もあるかもしれません。
弊所は設計支援(コンサルティング)に特化した体制をとっているため、ご依頼内容によっては他行政書士事務所を検討していただくこともございます。
そのようなときに「どんな基準で依頼先を選べばよいか」「正しく依頼するにはどんな準備が必要か」を弊所の見解としてまとめてみました。
ご参考になりましたら幸いです。
本記事の前提
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本記事は、行政書士を比較・評価することを目的としたものではありません
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特定の行政書士を推奨・批判する意図はございません
- すべて弊所の業務経験・主観的な見解に基づいています
地域で行政書士を探すときの基準
以下のような点を確認されることをおすすめします。
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開設(指定申請)を完遂させた経験が2~3件はあるか
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検討予定エリアまたは隣接エリアでの開設経験はあるか
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コミュニケーションに違和感がないか(少なくとも指定要件は知っていそうか)
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料金表ないし見積もり書は「一式」等、あいまいな表記になっていないか(実務を分かっていないと見積もりが作れない)
行政書士と一口にいっても、分野・得意領域は大きく異なります。
「開設支援と書類作成に慣れているかどうか」は、必ず確認されることをおすすめします。
行政書士に正しく依頼するために必要なこと
「この会社からの依頼は毎回きれいで十分割に合うからしっかりがんばろう」
と思ってもらえるような発注スタンスをとることができれば、御社にとって最も長期的にリターンが大きくなります。
以下の点を念頭に置くといいかもしれません。
- 行政のスケジュールや必要書類をHP等で把握しておくこと(「今週中に急ぎで」はまず断られます)
- 事業者の一般的なスケジュールを把握しておくこと
- コンサルティング要素をできるだけ排除すること(人の配置や建物の基準、算定加算、運営体制等など、コンサルティング要素が高まると、依頼自体断られるか、料金が高額になる場合があります)
- 物件のレイアウトも、設備基準を踏まえてある程度固めておくこと
- 「うちは何もわからないので全部丸投げでお願いします」ではなく、できる限り状況を整えること(あらゆる外注の鉄則)
- 報酬体系(基本報酬や加算)や運営指導対策は、一定以上の実積のある事務所でないと、対応が難しいかもしれません。付加価値の分、料金も高まります。
- 繁忙時期は断られる可能性もあります(12月~4月)
行政書士は出力装置です。事業者様による適切な入力があってはじめて効果的に機能します。
行政書士が依頼時点で見ているポイント
ご相談者様が行政書士の判断をする一方、行政書士の側も以下の観点からご相談者様の判断をします。
- 自社従業員や業務委託先を雑に扱うような言動、見下した言動がみられないか
- 口調が喧嘩腰ではないか。喧嘩っぱやい性格ではなさそうか
- 過剰に行政を敵視した発言はしていないか
- こちらの説明、指示に沿った行動はできそうか。協力の意思はありそうか
- 最低限のですます口調であるか
- ネガティブな比較はないか(「他のところは○○だった」等)
- 納期の強要がないか(カスタマーハラスメント)
- 決済権のある相談者 / 実務担当者が相談にきているか
- 他責な発言が見られないか(「全部お任せします」等)
- 値段交渉をしてこないか(人の価値を下に見る行為。予算が合わない場合は静かに他を当たるのみ。)
- そもそも、業務状況に余裕はあるか 等
行政書士に依頼する際の相場(※弊所主観)
あくまで弊所が把握している範囲の感覚値としては以下のとおりです。
もちろん、この適正値以上の額だったとしても予算内であれば値切らず承認することを推奨します(双方とも気持ちのいい商取引を実現するため)。
料金帯(税込) | 説明 | 判断の目安 |
---|---|---|
20万円以下 | 明確な理由がないかぎり、実務経験や制度理解不足の可能性あり | 安すぎて危険(見送り検討) |
20〜30万円 | 依頼者が制度や手続上の流れを適切に把握しており、行政書士を「本来意味での代書屋」として活用できる場合 | 適正 |
30〜40万円 | 依頼内容はほぼ固まっているが、行政書士に「進捗管理」や「段取り整理」まで求める場合 | 適正 |
40〜50万円 | 制度説明や報酬体系、申請内容の相談など、意思決定支援まで求める場合 | 適正 |
50万円以上 | 実績や制度理解が深く、開設後の運営指導対策や報酬体系等、高度な提案力をもつ行政書士事務所の場合 | 適正(※ただし根拠に納得できないなら見送り検討) |
100万円以上 | 開設コンサルティング(申請領域以外も含めた対応) | 適正(※ただし根拠に納得できないなら見送り検討) |
「高い=ぼったくり」ではありません。
ご相談を踏まえて納得できるなら、コスト以上の価値がある場合もあります
逆に、人にかかる料金を惜しむほど危険なことはありません。
労働集約的な事業であるため、予算を削る場合は、対応の後回し、責任力・モチベーションの低下、工数削減、報連相(コミュニケーションコスト)を下げる等、最小労力での対応しかできなくなります。
(自社従業員に対して「来月からもうちょっと給料下げてもいいですか」とは言わないと思います。同じことです。)
また、短納期の場合も本来必要とされる要件精査も十分にできなくなるので、トラブルで困るのはご依頼者様です。十分に注意しましょう。
まとめ
ご相談者様が他の行政書士に依頼される場合も、業界全体としてトラブルや誤解が減るようにとの願いから、このようにまとめました。
正しい依頼のあり方が広まれば、行政書士側も誤解なく業務がしやすくなります
このページは、「行政書士選びで困らないための手引き」としてお役立ていただければ幸いです。
万が一発注トラブルなど、お困りのことがありましたら弊所「スポットコンサルティング」にてご相談ください。
なんらかのお役に立てる場合もあるかもしれません。
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