就労継続支援A型

【開業方法】就労継続支援B型の許可基準、報酬体系等のまとめ

就労継続支援事業について

  • 本記事の対象:就労継続支援B型事業所の立ち上げを検討している方
  • 記事の目的:就労継続支援事業の概要を抑えること

 

就労継続支援B型とは

利用契約にもとづいて就労A・就労移行支援に向けてスキルアップを図るための業所と位置付けられています。

デイサービスのようにレクリエーションなど余暇活動も活動の一環として行う事業所もあれば、一般企業と同じレベルで仕事をする事業所など、事業所の方針や利用者の状態に合わせて様々な形態があります。

給与ではなく、作業量にあわせた工賃をもらいながら働きます。

 

(WAMネット「https://www.wam.go.jp/content/wamnet/pcpub/syogai/handbook/service/c078-p02-02-Shogai-22.html」)

目的

通常の事業所に雇用されることが困難な障がい者のうち通常の事業所に雇用されていた障がい者であってその年齢、心身の状態その他の事情により引き続き当該事業所に雇用されることが困難となった者、就労移行支援によっても通常の事業所に雇用されるに至らなかった者その他通常の事業所に雇用されることが困難な者につき、生産活動その他の活動の機会の提供その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練その他の必要な支援を行う

 

就労継続支援B型の利用者

原則として18歳~65歳で、知的、精神、身体障がいのある方です。

  • 就労経験がある者で、年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難となった者
  • 50歳を超える者または障がい者基礎年金1級受給者
  • 就労移行支援事業所のアセスメントにより就労面にかかる課題等の把握が行われている利用希望者
  • 障がい者支援施設入所者については、特定相談支援事業所によるサービス利用計画案の作成手続きを経たうえで市町村により利用の組み合わせの必要性が認められたとき

 

就労継続支援B型のスタッフ

管理者

管理業務全般を行いサービス管理責任者や指導員と兼務することも多いです。

  • 事業所の職員および業務の管理その他の管理を一元的に行うこと
  • 事業所の職員に基準等を遵守させるために必要な指揮命令を行うこと

管理者として配置されるには以下いずれかの要件を満たす必要があります。

①資格・研修の受講など
  • 社会福祉主事任用資格保有者
  • 社会福祉士、精神保健福祉士、介護職員初任者研修(訪問介護員2級)
  • 社会福祉施設長認定講習会を修了した者

⇒社会福祉施設長資格認定講習課程の例(外部リンク)

②実務経験

実務経験証明書、管理者経歴書、法人登記簿等により判定します

  • 第1種・第2種社会福祉事業を2年以上経験した者
  • 企業を経営した経験を有する者

⇒社会福祉事業一覧表 (大阪市。外部リンク)

参考)社会福祉事業の一例

第一種社会福祉事業:主に入所施設(児童養護施設 / 特別養護老人ホーム / 救護施設 / 更生施設 / 障害者支援施設 など)

第二種社会福祉事業:主に在宅・通所サービス(助産施設 / 高齢者デイサービス / 保育所 / 母子福祉施設 / 障害児通所支援事業 / 障がい福祉サービス事業 / 相談支援事業 など)

 

 

サービス管理責任者

管理者が「施設全体の責任者」とするとサービス管理責任者は「利用者の支援に関する責任者」のような位置づけです。

以下、サビ管と表記します。

実務経験証明書、該当する資格証、実務経験等で判定していきます。

要件の詳細は以下の記事をご参考ください。

 

 

職業指導員

個別支援計画にもとづいて利用者が個性、特性を活かして働くことができるよう助言、指導、作業のサポート等を行います。

無資格でもなることはできますが、一般企業での働いた経験の者や事業に必要な資格を持っていることが望ましいです。

生活支援員

個別支援計画にもとづいて利用者の生活スキルの向上、健康管理などのを行います。

無資格でもなることはできますが、障がい者に対する相談援助、健康管理、食事・排泄介助など直接支援業務の経験があることが望ましいです。

まとめると以下のようになります。

  • 職業指導員 ⇒ 仕事のサポート、スキル向上 等
  • 生活支援員 ⇒ 利用者の健康管理、障害特定にあわせたケア 等

 

以下の職員は、配置基準上必須ではないですが、支援スキルの向上、加算の算定において配置することができます。

 

目標工賃達成指導員

就労継続支援B型事業所としての生産性を高めるために配置。

所定の条件を満たすと目標工賃達成指導員配置加算を算定できます。

 

調理員

昼食をつくって利用者に提供します。

生活支援員などと兼務することもできますが、人員基準を満たさなくならないよう注意が必要です。

クックサーブなどチルド弁当を活用する事業所も多いです。

 

  1. 常勤換算で、利用者数÷7.5 or 10 以上配置すること。
  2. それぞれ1人以上配置し、いずれか1名以上は常勤職員であること。

 

就労継続支援B型事業所における1日の流れ

あくまで例示ですがご参考ください。

利用者 職業指導員 生活支援員 管理者・サビ管
8:30 朝礼、引継ぎの共有、業務の準備
9:00 出勤 活動準備 送迎対応 利用者対応
9:30 朝礼
10:00 作業開始 利用者対応 計画書作成、問い合わせ対応等
10:45 休憩 支援記録作成 利用者対応 支援記録作成
11:00 作業再開 食事の準備 来客対応
12:00 昼食 休憩 休憩
13:00 作業再開 休憩 経理業務
13:45 休憩 支援記録作成 利用者対応
14:00 作業再開 利用予約、シフト表作成
14:45 休憩 日報作成 利用者対応
15:00 作業再開 利用者対応 利用者対応 サービス提供実績記録票作成
16:00 清掃活動 ヒヤリハット報告 利用者対応 ヒヤリハット作成
16:20 終礼
16:30 退勤 締め作業 送迎対応 締め作業
17:30 退勤

 

 

就労継続支援B型の売上とは?

訓練等給付費や就労継続支援B型サービス費と言い、スタッフの配置割合×平均工賃額によって報酬額が変わります。

  • 1日20名定員
  • 8割稼働
  • 月23日開所(平日のみ)

の場合、1日20名×8割×23日×例)5,200円=19,136,000円/月 報酬が入ります。

(正常に請求処理できた場合、2カ月後の事業所口座への振り込み)

 

様々な開業支援業者が色々言っているかもしれませんが、福祉事業の利益率は1施設あたり7~8%程度、と抑えておくといいかもしれません。

 

就労継続支援B型の許可をとる方法

法人要件

  • 株式会社
  • 合同会社
  • 一般社団法人
  • 特定非営利活動法法人
  • 社会福祉法人 等
  【補足】法人定款等に「障がい者総合支援法に基づく障害福祉サービス」と記載すること。

事業内容によっては営業許可がいることも

たとえば以下のような許認可事業を行う場合には、障害福祉事業以外の許可も必要になります。

事業内容 許認可の根拠法 問い合わせ先
飲食店営業 / 食品の製造・加工など食品を取り扱う事業 食品営業許可(食品衛生法) 事業所所在地の保健所
あん摩マッサージ指圧、はり、きゅうを業とする施術所の営業 施術所開設届(あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律
※マッサージ、はり、きゅうを無資格者が施術することは不可
事業所所在地の保健所
特養の病院のおむつや理念の洗濯、たたみ作業 クリーニング所開設届 事業所所在地の保健所
空き缶、空きびん等の資源回収、洗浄、圧縮等のリサイクル作業 一般廃棄物処理業許可または産業廃棄物処理業許可・施設の設置許可(廃棄物の処理および清掃に関する法) 環境局事業部廃棄物指導課 等
リサイクルショップやネットオークションにおける「古物」の売買 古物商許可(古物営業法) 事業所所在地の警察所
中古自転車や中古の電線類を買い取りまたは引き取り、金属とその他に分類して、金属部分を金属くずとして他の業者に販売する 一般廃棄物処理業許可または産業廃棄物処理業許可、古物商許可と判断される場合もあるので、事前に各機関へ事前相談すること  

就労継続支援B型事業における人員・設備の基準

人員基準 職業指導員 ・定員数÷7.5 / 10 人  (常勤換算)
生活支援員 ・定員数÷7.5 / 10 人  (常勤換算)

※職業指導員、生活支援員のうち1名以上は常勤

サービス管理責任者
  • 0~60名定員:1名以上
  • 61~100名:2名以上
  • 101名~140名:3名以上

※1人以上は常勤であること

管理者 原則として、専ら当該事業の管理業務に従事する者
(支障がない限り、他職種と兼務可)
設備基準 指導訓練室 ・定員数×2㎡以上(20名なら40㎡以上)

訓練または作業に支障がない広さを有し、人数に応じた必要な機械器具類を備えてあること

多目的室 ・定員数×2㎡以上(20名なら40㎡以上)

活動のために支障がない広さを有し、人数に応じた備品類を備えてあること

相談スペース 間仕切り、専用個室などでプライバシーの配慮をすること
事務室 業務を行うための適切なスペース、備品があること
トイレ、手洗い場 利用者の特性にあわせたものであること

 

 

就労継続支援B型を開業するために必要な申請書類

許可をとるために作成する書類の一例です。
項目1 項目2
申請書 苦情解決の概要
申請書別紙 組織体制図
付表 従業員勤務形態一覧表
定款 & 法人登記簿謄本 収支予算書、決算書、融資可能証明書 等
各物件の賃貸借契約書 or 建物登記簿謄本 障総法36条3項各号に該当しない旨の誓約書
各物件の建物の平面図 役員等名簿
管理者経歴書 加算体制等に係る届出書
サビ管経歴書 加算一覧表
実務経験証明書 事業開始届
資格証 申請調書
研修修了証 or 研修未受講申立書 検査済み証(新築、もしくは用途変更手続き時)
履歴書、雇用契約書、秘密保持誓約書 防火対象物使用開始届
運営規程 消防計画
生活支援員の配置状況 協力医療・歯科機関
利用予定者名簿 就労継続支援B型に係る必要書類一覧

 

就労継続支援B型事業所の運営に必要な法定書類の例

就労継続支援支援B型にかかる実地指導の際に要求される書類の一例です。給付金の算定に直接関わる書類と、安全な事業運営に関わる書類があります。

項目1 項目2
指定申請書、変更届、報告書 利用者負担金等の請求書・領収書の控え
加算届、加算の算定に必要な書類 就労継続支援B型 給付費等明細書・請求書
運営書類 サービス提供実績記録表
就業規則 苦情・事故・ヒヤリハット・身体拘束記録
雇用契約書 服薬管理に関する手引書
従業員給与台帳 服薬に係る書類
従業員名簿 工賃規程表
従業員資格証 工賃支払い明細書
出勤簿もしくはタイムカード 作業請負契約書
有給休暇申請書 施設外就労契約書・記録票
超過勤務命令、超過出勤記録簿 利用者の秘密保持に関する取り決め
出張命令簿、出張記録簿 利用者の情報提供についての本人同意書
断続的な宿直または日直勤務許可申請書 代理受領額通理書
職員会議録 事業所パンフレット
勤務表 業務日報
組織体制図 非常災害対策計画
職員研修記録 消防計画
利用者名簿 避難訓練記録
アセスメントシート・フェイスシート 給食献立表(必要な場合のみ)
モニタリング実施記録 保菌検査記録(必要な場合のみ)
サービス担当者会議録 検食記録簿(必要な場合のみ)
個別支援計画 指定申請書、変更届、報告書
サービス提供記録 加算届、加算の算定に必要な書類
決算・事業報告関係書類 運営書類
サービス利用計画・重要事項説明書 就業規則

 

 

就労継続支援B型に関する加算・減算一覧

減算事由に当てはまらないように注意しながら、各加算を組み合わせて運営することが利益の出る事業所をつくるポイントです。

  1. 一般企業に就職して、かつ長期間定着する利用者を輩出できる事業所
  2. 施設外就労に取り組む事業所
  3. 生産性向上のために、スタッフを多く配置する事業所

が、報酬の算定においても評価される傾向にあります。

 

定員超過利用減算

主に、以下のような事例において、報酬額の30%が減算されます。

  1. 定員の150%を超過した場合
  2. 3カ月の平均利用人数が、定員の125%を超えている場合

 

サービス提供職員欠如減算

以下のような事例において、報酬額の30%が減算されます。

減算3か月目以降は、50%減算されます。

  1. 人員配置基準にたいして、1割をこえて欠如した場合 ⇒ 翌月から減算
  2. 人員配置基準にたいして、1割を超えずに欠如した場合 ⇒ 翌月、人員基準を遵守できればセーフ。翌月もアウトであれば、その翌月から減算

 

サービス管理責任者欠如減算

サビ管が退職したのち、翌月末までに次のサビ管を配置できなかった場合に算定します。

  1. 減算1カ月目~4か月目 ⇒ 30%減算
  2. 5か月目~ ⇒ 50%減算

 

個別支援計画未作成減算

個別支援計画を作成できていなかった場合に、減算されます。

  1. 減算1カ月目~2か月目 ⇒ 30%減算
  2. 3カ月目~ ⇒ 50%減算

 

身体拘束廃止未実施減算

5単位/月

身体拘束を行ったにも関わらず、記録をとっていなかった場合に算定します。

 

視覚・聴覚言語障害者支援体制加算

41単位/日

視覚、聴覚、言語機能に重度の障害のある者が一定数以上おり、意思疎通に対して専門性を有する職員が一定数以上配置されている場合に算定します。

 

就労移行支援体制加算

5~42単位//日

就労Bを通所して、6カ月以上一般企業に就職した利用者がいる場合、前年度の実績にもとづいて報酬の上乗せが発生します。

就労移行支援体制加算の運用ポイント

 

初期加算

30単位/日

利用開始日から起算して、30日以内の期間について加算が発生します。

 

訪問支援特別加算

187 or 280単位 / 回

利用者が連続して5日間、事業所を利用しなかった場合に家庭を訪問し、相談援助を行った場合に算定します。

月2回まで算定できます。

 

利用者負担上限額管理加算

150単位/月

自社が、利用者の上限額管理を行った場合に、1人月1回まで算定できます。

 

食事提供加算

30単位/日

収入が一定以下の利用者にたいして、事業所が食事を提供した場合に算定します。

 

福祉専門職員配置等加算

15 or  10 or  6 単位/ 日

社会福祉士等の資格をもっている職員や、全職員のうち常勤職員が一定以上いる場合に算定します。

>福祉専門職員配置等加算の運用ポイント

 

欠席時対応加算

94単位/回

当日、前日、前々日までにキャンセルの連絡があり、連絡調整など相談援助を行った際に算定します。

月4回まで算定できます。

 

医療連携体制加算

100~500単位

医療機関等と連携して、看護職員を派遣し、必要な看護を行った際や、介護職員に喀痰吸引研修を行った際に算定します。

 

施設外就労加算

100単位/日

企業内で作業を行った際に算定します。

 

重度者支援体制加算

22~56単位/日

前年度における障害者基礎年金1級を受給する利用者が、一定数以上である場合に算定します。

 

目標工賃達成指導員配置加算

72~80単位/日

目標工賃達成指導員を常勤換算1名以上配置し、手厚い人員体制をととのえた場合に算定します。

(職業指導員および生活支援員が7.5:1体制であり、かつ目標工賃達成指導員を含めて6:1体制となっていること)

 

送迎加算

Ⅰ:21 Ⅱ10単位/回

居宅等と自宅との間で送迎を行った際に、送迎頻度、搭乗者数等によって、所定の単位数を算定します。

 

障害福祉サービスの体験利用支援加算

250~500/回

B型の利用者が障害福祉サービス事業の体験利用を行った際に、15日以内にかぎり算定できます。

 

在宅時生活支援サービス加算

300単位/日

通所利用が困難で、在宅による支援がやむを得ないと市町村が判断した利用者に対して、一定の条件を見たしたうえで支援を提供した場合に算定します。

 

社会生活支援特別加算

480単位/日

医療観察法にもとづく通院医療の利用者、刑務所出所者等にたいして地域で生活するために必要な相談援助や個別支援を行った場合に算定します。

 

福祉・介護職員処遇改善加算

Ⅰ型…5.2%

詳細はこちらの記事をご参考ください。

処遇改善加算の導入・運用方法に関するまとめ

【令和元年10月スタート】特定処遇改善加算のまとめ

 

まとめ

就労継続支援B型事業所を開業するためには、ある程度の期間、複雑な許可、運営基準を理解したうえで関係機関と協議をしながら根気強く取り組む必要があります。

また、開業後も利用者様の支援と同時に、複雑な法令遵守に基づいた事業運営が要求されます。

以下の記事においても立ち上げで大変だった事例と解決策についてご紹介していますので、あわせてご参考いただければ幸いです。

 

参考文献

  • 2019年度障害者総合支援法 事業者ハンドブック「指定基準編」
  • 2019年度障害者総合支援法 事業者ハンドブック「報酬編」
  • 障害のある人のグループホーム設置・運営マニュアル(日本グループホーム学会)
  • 平成30年度障害福祉サービス費等の報酬算定構造
  • 平成30年度障害福祉サービス等報酬改定の概要
  • 指定申請に必要な書類一覧及び注意事項(愛知県庁・長崎県庁障害福祉課)
  • 指定障害福祉サービス事業者等指導・監査資料(愛知県、長崎県健康福祉部健康福祉総務課監査指導室) 他

 

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吉川彰太郎
名古屋を日本一の福祉事業エリアにするべく活動する行政書士です。複数の放デイで2年半管理者・指導員として事業の立ち上げや管理、支援業務全般に関わっていました。 現在は障害者福祉関連の事業者様の運営、経営支援を中心に活動しています。 ICT活用による業務効率化、法制度を活用した事業展開について考えることが好きです。 【取り扱い業務】障害福祉の指定申請/届出/実地指導/農地・土地開発/その他事業許可の取得等
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