就労継続支援B型

【就労継続支援B型】売上のシミュレート

「就労継続支援B型は儲かりますか?」という質問を多く頂きます。

結論として、他の障害福祉サービスと比べて大きな差はないものの、加算を組み合わせてきちんと利用者のためになる事業所を作ることができれば伸びしろは期待できます。

今回は就労継続支援B型事業の収支シミュレートと、その方法について解説してみました。

就労継続支援B型事業の立ち上げ方法は以下の記事をご参考ください。

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就労継続支援B型の入金額計算

就労継続支援B型は平均工賃額によって報酬額が大きく変わる

就労継続支援の場合

「配置するスタッフの割合(10:1や7.5:1など)と平均工賃額」

によって、1人当たりの入金額が変わります。

特に平均工賃額によって報酬額は大きく異なるため、利用者のモチベーションアップ、生活水準の向上のためにもぜひ平均工賃額の向上は常に意識しましょう。

事業としての利益率は悲観~通常で8%~10%程度として見込んでおくことが無難ですが平成30年度の調査では、4.8%というかなり厳しい水準にあることが分かっています。

https://www.mhlw.go.jp/houdou/2020/01/dl/h0117-01.pdf

 

必ず発生する報酬による売上見込み

  • 1日20名定員
  • 平均稼働率:8割
  • 開所日数:23日(土日祝は休み)
  • 1人当たり平均単価:5,710円(加算なし)

20名×0.8×23日×5,710円=2,101,280円/月

就労継続支援B型でさらに売上を伸ばすには

基本報酬に加えて、以下のような取り組みを実現できれば大きく売上を伸ばせる可能性があります。

①収益事業できちんと利益を上げること

福祉事業とはいえ、民間営利企業と同様に収益事業で業績を伸ばしていく必要があります。

就労継続支援B型事業における昨今のトレンドとして、古き良き内職作業型ではなく

  1. 障害特性を活かした利用者の適切な役割分担
  2. サービス・製品による付加価値の向上、
  3. 業務効率を改善

によって、民間企業顔負けの事業所も増えつつあります。

工賃向上計画を策定した上で所定の条件を満たすと加算を受けることもできます。

利用者への工賃を少しでも増やすためにも是非取り組んで頂きたい施策です。

 

②施設外就労の実施

もし貴社が外部企業や関連企業との提携が可能であれば、施設外就労にも取り組んでみましょう。

自社にはない仕事を獲得できるため、より利用者にとって多く仕事を選ぶ機会を与えることができます。

加算の評価はもちろんのこと、そのまま一般企業への就職の可能性などがでてきて「就労移行支援体制加算」を算定できる可能性が出てきます。

  • 就労継続支援事業所が必ず抑えておくべき施設外就労の仕組みとは

 

③就労移行支援体制加算の導入

やや特殊な加算ですが、利用者が一般企業に就職して6カ月以上経過すると、翌年度1年について基本報酬の上乗せが発生します。

毎年一定数以上の民間就職実績を出すことができれば、就職できた利用者の数だけ報酬額も大きくなります。

もちろん、加算ほしさに無理やり利用者を就職させるようなことがあってはならないため、自然増的に就職支援できる状態にもっていくことが理想です。

 

就労継続支援B型事業所の収支シミュレートを行うための基礎知識

以下の項目を抑えると、ご自身でも就労継続支援B型の売上試算ができるようになります。

前提1:スタッフの配置割合によって、報酬額が決まる

  • 10:1 ⇒ 利用者10名にたいして、スタッフを1名配置する体制
  • 7.5:1 ⇒ 利用者7.5名にたいして、スタッフを1名配置する体制

の2パターンに分かれます。

後者のほうが、「1人のスタッフで、少ない利用者を支援する→手厚いスタッフ配置」だとみなされ、報酬額が大きくなります。

実務上も、はじめから7.5:1の体制で開業する施設が多いです。

 

7.5:1?

「とりあえずこうやって計算する」公式として抑えてください。

20名定員の事業所の場合、20÷7.5≒2.7人

支援員が合計で2.7名以上必要である、ということを意味します。

(うち1名以上は常勤であること)

常勤換算は事業運営に必須の考え方です。

もし本格的に就労継続支援B型事業での起業を検討しているなら、ざっくりでいいので理解しておきましょう。

 

前提2:平均工賃額によって、報酬額が決まる

たとえば、7.5:1の配置で20名定員の就労継続支援B型をはじめる場合、1人あたり520単位/日が報酬のベースとなります。

開業してからの6カ月間は「5,000円以上1万円未満」の場合とみなして、報酬額が設定されます。

6カ月経過後に、開業後6カ月間の平均工賃額をもとに報酬額を変更することもできます。

 

その他報酬額一覧は、以下のpdfから確認いただけます。

・2018年~2021年 就労継続支援B型の基本報酬体系(福祉ソフト)

 

前提3.算定する加算によって、報酬の上乗せが発生する

食事提供加算や目標工賃達成指導員配置加算など、報酬の上乗せにつながる加算もあります。

就労継続支援の加算体系については、こちらの記事をご参考ください

【就労AB】あらためて抑えておきたい加算、減算のまとめこんにちは。ヨシカワです。 弊所は愛知県、名古屋市を中心に障害福祉事業の申請、運営サポートを行っている行政書士事務所です。 ...

 

前提4.受託作業によって、収益の上乗せが発生する

昨今では、ソーシャルビジネス(ビジネスの仕組みを用いて、社会課題を解決する)型の福祉事業所もピックアップされるようになってきました。

全国平均10,000円/1人当たり月額のところを、15,000円以上支払うことのできるような事業所もあります。

・福祉にも編集は通用する(https://greenz.jp/2017/10/05/giveandgift/)

・ウェルフェアトレード型花屋(http://sgpj.career-tasu.jp/contents/detail/id=111)

・アワビの陸上養殖(https://www.fukushishimbun.co.jp/topics/21234)

 

 

実践:基本となる収支の計算

20名定員の就労継続支援B型事業所の場合で算出してみます。

あくまで本項を補足するための試算につき、このとおりに事業計画をつくっても100%うまくいくことはありません。

 

例)20名定員の就労継続支援B型事業所の入金額計算

  • 20名定員
  • スタッフ配置 7.5:1
  • 平均工賃5,000円~10,000円
  • 地域単価 10円
  • 月23日稼働(週休2日)
  • 施設外就労なし

 

計算

利用者20名×23日稼働×基本571×地域10円 =2,626,600円/月 + 作業収益(例150,000円/月)

合計 2,776,600円/月

※あくまで100%稼働時の理論値で、実情7~8割稼働くらいな施設が多いように見受けられます。

合計1,943,620円/月

 

就労継続支援B型における人件費の計算

現時点では流し読みで構いません

就労継続支援B型の人員基準はこちらで詳しく確認いただけます。

就労継続支援の人員基準(AB共通)

 

20名定員の施設の場合、1カ月をとおして利用者20名÷7.5≒2.7人のスタッフ配置が必要です。

実運営を加味すると、もう少し職員配置が必要になることもあります。

  • 管理者兼サービス管理責任者 250,000円/月
  • 職業指導員 常勤1人 180,000円/月
  • 職業指導員 非常勤0.8人(パート延べ128時間/月@1,000円) 128,000円/月
  • 生活支援員 非常勤0.9人(パート延べ144時間/月@1,000円)144,000円/月
  • 利用者 20名×工賃8,000円/月 = 160,000円/月

合計862,000円/月

 

その他主な経費構成要素

(建物賃料 / 水光熱費/ 通信費 / 賞与・手当/車両費/ 各種保険/事業経費 / 積み立て等)

  • 建物:200,000円/月
  • 水光熱費:30,000円/月
  • 通信費:30,000円/月
  • その他事業経費:100,000円/月

合計 260,000円/月

 

就労継続支援B型経営の課題例示

  • 利用者に十分な工賃を支払うだけの仕事を得るには、相応の営業、企業努力が不可欠
  • 事業の特性上、利用者が集まりにくい
  • 作業を受託できても内部での処理が間に合わず、職員の慢性的残業が発生する可能性が高い
  • 100%稼働の状態を維持しにくい(1日20人を受け入れきるには、スキル、ノウハウが必要)
  • 管理者以下職員に運営を丸投げするのは安全管理、コンプライアンスの面からきわめて危険である

 

まず行うべきこと

地域に根差した現実味のある計画を立てるためにも、まずはフィールドワークから取り組んでみてください。

調べることは

  • どんな建物があるか?
  • どんな制度はあるか?補助金は?
  • どのような作業を受託できそうか?見込み収益額は?
  • どのくらいのレベル感の障害者の入居ニーズがあるのか?
  • 地域の障害者や家族、相談支援機関はどのようなことに困っているのか?

などです。

動機は様々だと思いますが、フィールドワークをとおして「なぜ就労継続支援を経営したいと思ったのか?」理由をご自身の言葉で明確に言語化できるよう常に考え続けていきましょう。

 

就労継続支援B型の売上計算まとめ

就労継続支援は、静かな開業ブームの状態にあります。

しかし、ブームになった事業は必ずといっていいほど次期報酬改定で単価減の対象になります。

開業セミナーで謳われる「無資格・未経験でもOK」という言葉をそのままうのみにせず、フィールドワーク、リサーチをとおして事業計画を策定することをお薦めします。

現場スタッフに丸投げして運営させるのではなく、障害者の就労支援をとおして実現したいビジョンのもと経営層とスタッフ層が一丸となって事業を作りこんでいく視点がなによりも重要だと考えます。

【開業方法】就労継続支援B型とは?申請方法、売上を徹底解説就労継続支援B型とは、身体、知的、精神障害を抱えた方々が作業工賃を得ながら職業スキルを高めたり、生活相談をもとに一般企業への就職を目指す事業です。本記事では開業方法について解説してみました...

 

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