就労継続支援B型

就労継続支援B型 平均工賃額の算出方法

はじめに「平均工賃月額区分」

就労継続支援B型の事業運営において不可欠な、平均工賃の算出・活用方法についての解説です。

当解説の対象者

  • これから就労継続支援B型を開業する予定の事業者様
  • はじめて就労継続支援B型を運営した事業者様
  • 平均工賃の計算を任された管理者、サビ管、社員など実務担当者様

把握するメリット

  • 平均工賃の算出方法を理解することで、事業所の基本報酬額が増えるかもしれません
  • 皆さんがつまづきがちな論点について、あらかじめ抑えておくことができます

 

平均工賃月額区分とは

就労継続支援B型の基本報酬を確定させるために、毎年4月に行う届出です。

「年間の支払工賃額の合計 ÷ 年間の支払対象利用者数」によって算出されます。

 

工賃支給台帳(任意様式)

平均工賃算出の前提として、事業者様任意様式で、工賃支給台帳を作成しておく必要があります。

(したがって、管理者や社員の業務として、毎月ごとに実績値を入力しておくことが望ましいです)

民間の請求ソフトなどで、管理機能が搭載されている場合もあります。

一般的には当書類を行政に提出する必要はなく、事業所で保管して、実地指導などで求められた際に提出することになります。

 

就労継続支援B型に係る基本報酬の算定区分に関する届出

前述した、工賃支払台帳をもとに作成します。

基本報酬を設定するために、毎年必須となる届出です。

 

以下のように、行政の様式に入力することで算出されます。

 

 

計算の除外

なかなか悩ましい論点ですが、就労継続支援B型においては平均工賃によって報酬額が確定されていきます。

したがって、平均工賃額の低い利用者がいる場合には、翌年度の報酬額にも影響がでる可能性があります。

制度上、以下に該当するような利用者については、工賃計算および利用実績から除外できます

工賃総額から除外できるケース

  • 月の途中で利用開始した人
  • 月の途中で利用終了した人
  • 他の日中活動事業所を使っている人
  • 人工透析など、通年かつ毎週1回以上、通院を継続する必要のある利用者
  • サービス利用途中に、通年かつ毎週1回以上、通院を継続する必要のある利用者について、実際に通院が始まった月以降
  • 月の途中で入退院した利用者
  • 全治1ヶ月以上のケガやインフルエンザなどで連続して1週間以上通所できなかった場合における、利用できなきなった期間から、利用可能になったまでの期間

※病院関連の場合は、通院の確認をとれる領収書や診療報酬の確認をできる明細書などを、事業所で保管する必要があります。

参考:中央法規事業者ハンドブック「報酬編p.573~」及び平成30年度障害福祉サービス報酬改定QA,vol4

 

開業してから6ヶ月までの実績も重要

開業して1年目は、平均工賃額1万円未満とみなして、事業を開始しなければなりません。(経過措置対象)

ただし、開所してから6ヶ月間の平均工賃実績が1万円以上だった場合は、「基本報酬の算定区分に関する届出」によって平均工賃額を増やすことができます。

例)2022年4月1日開所の場合

2022年4月~9月:平均工賃実績算出 … 平均工賃16,000円だった場合

(パターン1)2022年10月中に届出:10月1日から、変更後の区分で報酬算定可 ※厚生労働省H30年QandA,vol.2

(パターン2)2022年9月15日までに:区分届出を提出 … 9月の数値はみなしで提出可。実績値が算出され次第、差し替えで対応することで、10月1日から、変更後の区分で報酬算定可 ※行政裁量

2022年10月1日から:平均工賃15,000円~20,000円未満 での事業運営

2023年4月1日から:2022年度の平均工賃実績をもとに事業運営

の流れとなります。

のち、新年度には別途、前年度実績をもとに体制等届出を提出しなおす必要があります。

 

その他の補足ポイント

平均工賃月額区分「なし」とは

指定を受けてから1年間を経過していない事業者が選択します。

ただし、指定を受けた日から6ヶ月以上1年未満の間は、指定を受けた日から6ヶ月間における平均工賃月額に応じた区分に変更することができます。

 

平均工賃月額区分を選択した場合

工賃向上計画を作成のうえ、行政(愛知県エリアの場合であれば障害福祉課地域生活支援グループ)への提出が必須です。

 

一律評価型の報酬区分とどっちが良いか

あくまで報酬額だけを基準とするなら、平均工賃の向上を目指していく場合は、平均工賃型が望ましいかもしれません。

事業所に通所して、活動に参加することそのものに意義を持たせていく場合は、一律評価型での運営も、視野に入ります。

(新年度の届出で変更することはできますが、弊所関与先はほぼ全て、今のところ平均工賃型で従来どおりの事業運営をなされております)

 

参考)一律評価型(20名定員)の報酬区分

参考)平均工賃型(20名定員)の報酬区分

 

まとめ「平均工賃月額区分」

就労継続支援B型において必須の、平均工賃月額区分の算出方法についてのまとめでした。

月途中の利用者の実績は、もし平均工賃額が向上するなら、当該月の利用実績からの除外をするなどして、平均工賃額を調整できるといいかもしれません。

当解説が御社事業運営の参考になれば幸いです。

 

参考資料

厚生労働省 令和3年度 障害福祉サービス費等の報酬算定構造

中央法規 障がい者総合支援法事業者ハンドブック(報酬編,就労継続支援B型)

名古屋市 就労継続支援B型に係る基本報酬の算定区分に関する届出書

 

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