処遇改善加算

処遇改善加算の導入・運用方法全集

こんにちは。ヨシカワです。

弊所は愛知県、名古屋市エリアを中心に活動している行政書士事務所です。

今回は処遇改善加算についての解説記事です。

「算定したいけど、よくわからずにスルーしているんだよね」という事業者様も多いです。

利用実績に比例して入金額も増える加算ですので、ぜひとも導入にチャレンジしてみてください。

本記事は以下の記事にもとづいて執筆しています。

平成29年度障害福祉サービス等報酬改定の概要

 

処遇改善加算の方法

具体的な導入方法を知りたい方は、以下の記事をご参考ください。

・処遇改善加算の具体的な導入方法

 

処遇改善加算導入のメリットは“質の向上”

  1. スタッフのスキル向上、労働環境の改善
  2. 研修制度の充実による、事業所の質の改善

事業所としての質を改善することによって、報酬が増額されます。

スタッフの待遇改善が目的であるため、全額手当や賞与、基本給の改善などで予算を使い切ることになります。

 

対象となる職種は“直接利用者と関わる職種”

直接、利用者と関わるスタッフが対象です。

例:職業指導員、生活支援員、ホームヘルパー、児童指導員、指導員、保育士

※管理者、サービス管理責任者、児童発達支援管理責任者、相談支援員等は支給対象外

 

令和元年10月より、管理者、児発管等にも支給できる、特定処遇改善加算がはじまります。

【令和元年10月スタート】特定処遇改善加算のまとめ2019年10月から開始予定の、特定処遇改善加算に関する内容をまとめてみました。 導入の可否判断の参考になれば幸いです。 ...

 

処遇改善加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲとは?

全ての条件を満たすことで加算Ⅰ、以降満たすことのできる条件数によってⅡ~Ⅳが算定できます。

  1. キャリアパス要件Ⅰ ⇒ 職位・職責・職務内容等に応じた賃金規定を整備する
  2. キャリアパス要件Ⅱ ⇒ 研修の実施、研修受講の機会を確保する
  3. キャリアパス要件Ⅲ ⇒ 経験年数、資格等、職員評価、によって昇給する仕組みを賃金規定等に導入する
  4. 職場環境等要件  ⇒ 賃金改善以外の処遇改善を実施する

 

以下のようなイメージです。

図:算定要件ごとに取得できる処遇改善加算の一覧

 

キャリアパス制度を導入することで、算定要件をクリアする

  • キャリアパスⅠ ⇒ 賃金規定&職位規定の導入
  • キャリアパスⅡ ⇒ 研修制度 or 人事評価制度 or 資格取得奨励制度の導入
  • キャリアパスⅢ ⇒ 保有資格 or 従事年数 or 人事評価制度による昇給規定の導入

書式は任意なため、事業所に即した内容で作成して構いません。

 

キャリアパスⅠとⅢのイメージは以下のとおりです。

経験年数、資格、評価、全てを組み合わせても構いませんが、小規模事業所の場合、年数か資格によることが多いです。

 

図:キャリアパスⅠとⅢを導入した賃金規定の例

 

たとえばキャリアパスⅡで研修制度を導入する場合、以下のように年間研修計画等を作成します。

図:キャリアパスⅡのための研修体制の概要

書式、記載内容については任意で、申請・実績報告時の行政への提出義務もありません。

 

職場環境を1つ以上改善する

届出書に、職場環境の改善項目があります。

たとえば以下の項目のうち1つでも実行していただければ、要件を満たします。

外部研修の受講  /  新人職員のためのメンター制度の導入 / タブレット等の導入による業務効率の改善 / 管理者層のマネジメント研修の導入 / 育児休養、事業所内保育の導入 / 定期的なミーティングによる職場環境、支援内容の改善 / 事故、トラブル発生時のマニュアル作成による責任の顕在化 / 健康診断、カウンセリング、分煙、休憩室の確保

 

必用書類について

  • 処遇改善加算届出
  • 処遇改善加算計画書
  • 事業所一覧表
  • 就業規則
  • 給与規程
  • 労働保険関係成立届(確定保険料申告書、納付書・領収書)等の納入証明書 等
  • 事業所の指定通知書

※その他、自治体によって異なります

 

入金額の計算方法

申請時に、処遇改善の見込み受給金額を算定する必要があります。

いくら支給されそうか、図をもとに計算してみましょう。

図:加算率の参考

 

1ヶ月当たりの支給額の把握方法

1ヶ月の総請求金額(加算・減算込み)×処遇改善加算の導入率  =           円

【年間の支給金額(概算)を把握方法】

1ヶ月あたりの支給金額×導入月数 =           円

 

例:月200万円の請求額の放課後等デイサービスで処遇改善加算Ⅰを導入した場合

月額:200万円×0.081=16万2千円/月

年額:16万2千円×12ヶ月=194万4千円/年

年間194万4千円を、スタッフへの給与改善として使うことができます。

この額に加えて、事業所負担で1円以上、賞与や手当を現場職員に支給します。

ポイント:各月の利用実績が多ければ多いほど、支給額も増えます。

 

改善賃金額ー導入前賃金額>処遇改善加算額とすること

1年間をとおして、たとえば

改善後人件費1000万円 - 導入前人件費800万円 > 加算取得額150万円 ⇒ +50万円 〇

のようになっている必要があります。

 

ボーナス廃止?

「去年までボーナスを支給していたが、今年は廃止して、代わりに処遇改善加算を当てたい。可能か?」という質問をよく頂きます。

ボーナスを減額することで、処遇改善加算導入前の人件費水準に下がるリスクがあります。

改善後人件費780万円(ボーナス削減)-導入前人件費800万円(ボーナスあり)>加算取得額150万円 ⇒ -20万円 ×

誰にいくら支給して、導入前と比べていくら改善する必要があるのか?専門家の助言のもと、慎重に決めたいポイントです。

 

 

 

処遇改善加算の実績報告は5月~7月末

処遇改善加算は年度ごとに申請、実績報告を行います。

処遇改善加算がいくら入金があり、誰にいくら支給したのか「実績報告」として所定書式に沿って作成してください。

 

フローを図示すると以下のようになります。

翌月3月 4月 5月 6月 7月末
①計画終了
②翌年度分計画提出
新年度計画開始 ①3月分の加算入金
②実績報告受付開始
実績報告の提出〆日

← 処遇改善加算の調整機関 →
(原則、事前計画どおりに支給すること)

 

毎月ごとに保管する書類、特に大事なのは“処遇改善加算のお知らせ”

「決定額通知書」とともに「処遇改善加算のお知らせ」が発行されるようになります。

正確な処遇改善加算額を把握するために、必ず控えをとっておきましょう。

https://www.jshien.e-seikyuu.jp/Shinsei/main

>照会一覧 から取得できます。

 

実績報告のためには、毎月の記録として確実に以下の情報を記録してください。

勤務実績記録(現場職員の、毎月ごとの常勤換算数、給与額、各種手当の支給額、毎月の処遇改善加算の支給額)

実地指導に備えて、以下の書類を整備してください。

処遇改善加算導入についてのスタッフへの周知(事務連絡等)、研修記録、人事面談の記録など(キャリアパス要件Ⅱの内容に応じる)

 

処遇改善加算導入にあたっての注意点・よくある質問

ボーナスを廃止して、その分を処遇改善加算に充てることができるか?

理窟としては出来ますが、実行するのは難しいです。

処遇改善加算の導入条件として「加算・手当の合計で、職員の給与合計を前年度の支払実績以上に改善すること」が定められているからです。

ボーナスを減らすことで、前年度の支払実績を超えられなくなる恐れがあります。

詳しくは前述した、従業員に支給すべき金額についてをご参考ください。

 

必ず計画どおりに給付金を支給しなければならないのか?

「計画」であるため当然、毎月の利用実績によって入金額は変動します。

たとえば、計画時点で100万円の改善見込みとしても、実際の入金額が110万円であれば、110万円以上、スタッフに賞与、手当として給付をする必要があります。

逆に、実際の入金額が90万円であれば、90万円以上、スタッフに賞与、手当を支給できていればOKです。

そのうえで、本年人件費 - 導入前人件費 > 処遇改善加算額

となっている必要があります。

 

全員に支給しなければならないのか?

全員に給付する必要はありません。特定のスタッフに支給することもできます

例:常勤保育士の資格手当として支給する、など

 

給付について

事業所が一切の自己負担なく、処遇改善加算のみでスタッフの給与改善することはできません。

逆にいえば、1円でも事業所が手当て等を負担すれば算定対象となります。

 

加算の給付方法について

賞与、寸志、手当て、職員の給与に反映するのであれば何に使っても構いません。

ただし管理者、サビ管、相談支援等への支給は実績に含められません。

 

支給月について

届出書に具体的な支給方法を記載します。申請した支給月に、給付金をスタッフへ支給してください。

遅くとも、実績報告期日である7月末日までに支給完了してください。

 

全額返還処分について

処遇改善加算の算定要件を満たさない、処遇改善加算を全てスタッフに支給しきれなかった場合、実績報告を期日までに行わなかった場合、行政指導として全額返金を受ける恐れがあります。

 

毎月の記録整備について

賃金台帳により各スタッフの各種手当の記録、勤務実績記録表等によるスタッフの各月常勤換算数、勤務時間数、処遇改善加算の支給額を必ず控えてください。

(やっていなかった場合、実績報告の事務作業がかなり煩雑になります)

 

毎月の処遇改善加算支給額の確認方法

各事業所の電子請求受付システムからログインして、紹介一覧をご確認ください。

毎月の支給金決定通知とともに処遇改善加算に関する書類を取得できるようになります。

 

研修記録について

毎月の研修に使用した書類を、事業所で保管してください。

研修で使用したスタッフのメモなどを残しておけばより安泰です。

加算の計算方法

各月の基本単価に、加算・減算を加えた総請求金額をもとに支給額を計算できます、

 

まとめ

  • 処遇改善加算を導入することで、スタッフの人件費を補助することができる
  • スタッフのスキル、モチベーションが向上することでサービスの質を向上できる
  • 利用実績が増えるほど加算の支給額が増える
  • 導入のためには、様々な運用ルールを守る必要がある

以上となります。

はじめて処遇改善加算を導入する事業者様のご参考になりましたら幸いです。

弊所がサポートすることももちろん可能です。

ABOUT ME
吉川彰太郎
名古屋を日本一の福祉事業エリアにするべく活動する行政書士です。複数の放デイで2年半管理者・指導員として事業の立ち上げや管理、支援業務全般に関わっていました。 現在は障害者福祉関連の事業者様の運営、経営支援を中心に活動しています。 ICT活用による業務効率化、法制度を活用した事業展開について考えることが好きです。 【取り扱い業務】障害福祉の指定申請/届出/実地指導/農地・土地開発/その他事業許可の取得等
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