障害福祉事業においても、慰労金20万円/5万円の支給を含めた様々な助成事業が打ち出されました。
主に4つの支援事業があります(慰労金はそのうちの1つ)。
厚生労働省の通知をもとに、可能な限り読み解いてみました。
資料の順序を変えて、慰労金の下りから記述しています。
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新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業について
障害福祉サービス施設・事業所に勤務する職員に対する慰労金の支給
いわゆる慰労金20万円/5万円の規定です。慰労金の支給条件は以下のように定められています。
給付金の支給対象者
- 障害福祉サービス事業所に勤務し、利用者と接していること
- 支給対象施設、事業所で10日以上勤務していること
- 「利用者との接触」を伴い「継続して提供することが必要な業務」に合致する状況で働いている職員
- 慰労金の支給は、医療機関や介護事業所に勤務する者に対する支給も含めて1人につき1回に限る
- 本慰労金は非課税所得に該当し、差し押さえや譲り渡しは禁止されている
支給対象者の詳細なポイント
- 緊急事態宣言の対象となった時期から あるいは
- 初めて感染症者が出た日から
10日以上働いている職員が主な対象者です。
派遣労働者や業務委託の労働者も対象とされます。
- 「10日以上の勤務」とは、始期から令和2年6月30日までの間で延べ10日以上働いていることを指します。
- 「始期」は、当該都道府県における新型コロナウイルス感染症発症者患者1例目の発生日または受入日のいずれか早い日を指します。
- 第1例目の発生がなかった都道府県、第1例目の発生が緊急事態宣言の対象地域となった日以降の都道府県については、当該都道府県が緊急事態宣言の対象とされた日を指します。
- 年次有給休暇や育児休暇等、実質勤務していない場合は、勤務日として参入できません。
支給金額
- 1人20万円
新型コロナウイルス感染者または濃厚接触者である利用者に対応した事業所に勤務して、利用者と接する職員
なお、上記に当てはまらない職員は1人5万円の給付となります(全職種)。
感染対策徹底支援事業(事業者に対する支援)
事業者が感染症対策を行ったうえでサービスの提供を行うことで助成されます。
対象サービス
全ての障害福祉サービス施設・事業者が対象となります。
生活介護 、療養介護 、自立訓練(機能訓練 、自立訓練 (生活訓練)、就労移行支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型、就労定着支援、児童発達支援、 医療型児童発達支援、放課後等デイサービス、障がい者支援施設、共同生活援助、福祉型障害児入所施設、医療型障害児入所施設、居宅介護 、重度訪問介護 、行動援護 、同行援護、自立生活援助、保育所等訪問支援、居宅訪問型児童発達支援、計画相談支援、障害児相談支援、地域移行支援、地域定着支援
事業(支援)内容
障害福祉サービス施設・事業所等が感染症対策を徹底したうえで、障害福祉サービス等を提供するために必要となるかかり増し経費を助成する。
対象となる経費の例
- 衛生用品等の感染症対策に要する物品購入費用
- 外部専門家等による研修の実施に要する費用
- (研修受講等に要する)旅費、宿泊費等
- 感染発生時対応・衛生用品保管等に柔軟に使える多機能型簡易居室の設置に要する費用
- 感染防止を徹底するための面会室の改修費
- 建物内外の消毒費用・清掃費用
- 感染防止のための増員のため発生する追加的人件費
- 感染防止のための増員等、応援職員に係る職業紹介手数料
- 自動車の購入又はリース費用
- タブレット等のICT機器の購入又はリース費用
- 普段と異なる場所でのサービスを実施する際の賃料・物品の使用料
- 普段と異なる場所でのサービスを実施する際の職員の交通費、利用者の送迎に係る費用
- 居宅介護職員による同行指導への謝金
- 医療機関や保健所等とのクラスター発生時等の情報共有のための通信運搬費
各事業ごとの助成額一覧
染症対策を徹底のために必要な経費の補助額は、以下のとおりです。
サービス種別 | 円/事業所 |
療養介護 | 2,374,000 |
生活介護 | 757,000 |
自立訓練(機能訓練) | 346,000 |
自立訓練(生活訓練) | 273,000 |
就労移行支援 | 265,000 |
就労継続支援A型 | 335,000 |
就労継続支援B型 | 353,000 |
就労定着支援 | 52,000 |
自立生活援助 | 27,000 |
児童発達支援 | 380,000 |
医療型児童発達支援 | 240,000 |
放課後等デイサービス | 360,000 |
短期入所 | 204,000 |
施設入所支援 | 1,215,000 |
共同生活援助(介護サービス包括型) | 402,000 |
共同生活援助(日中サービス支援型) | 358,000 |
共同生活援助(外部サービス利用型) | 180,000 |
福祉型障害児入所施設 | 1,182,000 |
医療型障害児入所施設 | 635,000 |
居宅介護 | 115,000 |
重度訪問介護 | 188,000 |
同行援護 | 65,000 |
行動援護 | 115,000 |
居宅訪問型児童発達支援 | 46,000 |
保育所等訪問支援 | 38,000 |
計画相談支援 | 60,000 |
地域移行支援 | 44,000 |
地域定着支援 | 46,000 |
障がい児相談支援 | 44,000 |
障害福祉サービス再開に向けた支援事業
障害福祉事業所の利用再開に向けた利用者への働きかけや環境整備の取り組みについて支援を行う。
ここでは2つの施策があります。
支援事業①在宅サービス事業所による利用者への再開支援への助成(事業者支援)
〇対象サービス
令和2年4月1日以降、サービス利用休止中の利用者への利用再開支援を行った、
- 計画相談支援事業所
- 障がい児相談支援事業所
- 通所系サービス事業所
- 短期入所サービス事業所
- 訪問系サービス事業所
- 地域移行支援事業所
が対象となります。
本項においては「在宅サービス事業所」と表記します。
〇事業内容
事業者がサービス利用休止中の利用者への利用再開支援を実施した場合に必要な経費を助成する。
ア)計画相談支援事業所、障害児相談支援事業所
- 在宅サービスの利用を休止している利用者に対して、
- 健康状態や生活実態の確認、利用を希望するサービスの確認を行ったうえで、
- 在宅サービス事業所と連携して、必要な対応を行うこと
イ)在宅サービス事業所における取組内容
- 在宅サービスの利用を休止している利用者に対して、必要に応じて相談支援専門員と連携のうえ、
- 健康状態や生活実態、利用を希望するサービスを確認し、
- 利用者の希望を踏まえたサービス提供のための調整を行う
その他のポイント)
- 在宅サービス利用休止中の利用者とは、過去1カ月のうち、在宅サービスを1回も利用していない利用者を指します
- 「確認」とは、1回以上電話または訪問を行うとともに記録することを指します
- 「対応」とは、本人の機能に応じた所要の対応を講じることを指します。
- 「調整」とは1回以上電話等により連絡することを指します。
利用再開のための助成額一覧
本事業を実施するために助成される費用額をまとめました。
サービス種別 | 円/1利用者 |
療養介護 | 2,000 |
生活介護 | 2,000 |
自立訓練(機能訓練) | 2,000 |
自立訓練(生活訓練) | 2,000 |
就労移行支援 | 2,000 |
就労継続支援A型 | 2,000 |
就労継続支援B型 | 2,000 |
就労定着支援 | 2,000 |
自立生活援助 | 2,000 |
児童発達支援 | 2,000 |
医療型児童発達支援 | 2,000 |
放課後等デイサービス | 2,000 |
短期入所 | – |
施設入所支援 | – |
共同生活援助(介護サービス包括型) | – |
共同生活援助(日中サービス支援型) | – |
共同生活援助(外部サービス利用型) | – |
福祉型障害児入所施設 | – |
医療型障害児入所施設 | – |
居宅介護 | 2,000 |
重度訪問介護 | 2,000 |
同行援護 | 2,000 |
行動援護 | 2,000 |
居宅訪問型児童発達支援 | 2,000 |
保育所等訪問支援 | 2,000 |
計画相談支援 | 1,500 |
地域移行支援 | 2,000 |
地域定着支援 | – |
障がい児相談支援 | 2,500 |
支援事業②感染症対策徹底に向けた環境整備への助成(事業者支援)
〇対象サービス
- 在宅サービス事業所
- 計画相談支援事業所
- 障害児相談支援事業所
〇対象経費
- 長机、飛沫防止パネルの購入費
- 換気設備の購入及び設置に要する経費
- 電動自転車等の購入またはリース費用
- タブレット等ICT機器の購入またはリース費用
- 感染防止のための内装改修費
環境整備のための助成額一覧
本事業を実施するために助成される費用額をまとめました。
サービス種別 | 円/事業所 |
療養介護 | 200,000 |
生活介護 | 200,000 |
自立訓練(機能訓練) | 200,000 |
自立訓練(生活訓練) | 200,000 |
就労移行支援 | 200,000 |
就労継続支援A型 | 200,000 |
就労継続支援B型 | 200,000 |
就労定着支援 | 200,000 |
自立生活援助 | 200,000 |
児童発達支援 | 200,000 |
医療型児童発達支援 | 200,000 |
放課後等デイサービス | 200,000 |
短期入所 | – |
施設入所支援 | – |
共同生活援助(介護サービス包括型) | – |
共同生活援助(日中サービス支援型) | – |
共同生活援助(外部サービス利用型) | – |
福祉型障害児入所施設 | – |
医療型障害児入所施設 | – |
居宅介護 | 200,000 |
重度訪問介護 | 200,000 |
同行援護 | 200,000 |
行動援護 | 200,000 |
居宅訪問型児童発達支援 | 200,000 |
保育所等訪問支援 | 200,000 |
計画相談支援 | 200,000 |
地域移行支援 | 200,000 |
地域定着支援 | – |
障がい児相談支援 | 200,000 |
以下、都道府県のための支援につき、事業者様は読み飛ばして頂いても構いません。
都道府県における衛生用品の備蓄等支援事業(都道府県に対する支援)
国から都道府県に対する支援で、2つの施策があります。
支援事業①今後に備えた都道府県における消毒液、マスク等の備蓄
新型コロナウイルス感染症について、今後、障害福祉サービス施設、事業所等で感染者が発生する場合に備えて機動的に対応できるよう、消毒液、マスク等を備蓄、管理するとともに都道府県により障害福祉サービス施設、事業所等に配布できる体制を構築する
〇事業(支援)内容
都道府県において、消毒液、マスク、手袋、ガウン、フェイスシールド等を購入して備蓄、管理するとともに都道府県の判断により障害福祉サービス事業所等に配布を行う。
なお、事業所への配布に支障がない範囲であれば、災害時等において、一時的に備蓄しているマスクを融通して配布することができる。
〇対象経費
消毒液、マスク等を備蓄、管理、配布するために必要な備品購入費、消耗品費、役務費(通信運搬費、手数料)、賃借料または委託料
支援事業②緊急時の応援に係るコーディネート機能の確保
障害福祉サービス事業所で感染者が発生した場合、
- 濃厚接触者である職員が自宅待機となって人員が不足される可能性があること
- 濃厚接触者とその他の利用者への支援にあたっては、できる限り職員を分けて対応することが望ましく、感染対策の観点からの職員の確保が重要であること
- 感染した利用者が入院や宿泊療養を行う場合にコミュニケーション支援等、障害特性の配慮が必要になる場合もあること
などの理由から、都道府県において平常時から障害福祉サービス施設、事業所等の関係団体と連携、調整し、緊急時に備えた応援体制を構築することや、実際に事業所で感染者が発生した場合に、他事業所と連携した支援を可能とする。
各助成の申請方法
申請方法における要点は以下のとおりです。
- 都道府県に対して申請を行うこと
- 複数の障害福祉サービスを有する事業者は、同一の都道府県に所在する施設、事業所等について一括で申請することができる
- 感染症の拡大を防ぐ観点から、申請方法は郵送またはメールを基本とする。やむを得ず窓口申請する場合は受付窓口の分散や消毒液の配置等を徹底する。
- 1つの障害福祉サービス事業者は、本助成のいずれも申請することができる。
感染症緊急包括支援事業のまとめ
20万円、5万円の慰労金以外にも様々な支援が打ち出されています。
都道府県や中核市等から発送される通知などをこまめに確認して、活用できる制度は十分に活用していきましょう。
参考資料
厚生労働省(「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業(障害福祉サービス等分)の
実施について」https://www.mhlw.go.jp/content/000643974.pdf)
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