医療連携加算は累計が分かれており、解釈がやや難しい加算です。
本項においては、まず基本的なポイントについて整理してみました。
医療連携体制加算における運用ポイントや注意点
医療連携体制加算の要点まとめ
障害福祉サービスごとにやや報酬体系が異なっています。
特徴的な箇所は赤字にして整理を図ってみました。
共同生活援助
グループホームにおいては、連携体制を整えることによって医療連携体制加算をできるケースがあります。
医療連携体制加算Ⅰ | 500単位/日 | 看護職員が事業所を訪問して障害児(1人)に対して看護を行った場合(4時間以下) |
医療連携体制加算Ⅱ | 250単位/日 | 看護職員が事業所を訪問して障害児(2~8人)に対して看護を行った場合(4時間以下) |
医療連携体制加算Ⅲ | 500単位/日(看護職員1人当たり) | 看護職員が介護職員等に痰吸引等に係る指導のみ行った場合 |
医療連携体制加算Ⅳ | 100単位/日 | 研修を受けた介護職員等が痰吸引等を実施した場合 |
医療連携体制加算Ⅴ | 39単位/日 | 日常的な健康管理、医療ニーズへの適切な対応がとれるなどの体制を整備している事業所の場合 |
就労移行支援、就労継続支援A型・B型
就労移行支援、就労継続支援においては、最もシンプルな構成になっています。
医療連携体制加算Ⅰ | 500単位/日 | 看護職員が事業所を訪問して障害児(1人)に対して看護を行った場合 |
医療連携体制加算Ⅱ | 250単位/日 | 看護職員が事業所を訪問して障害児(2~8人)に対して看護を行った場合 |
医療連携体制加算Ⅲ | 500単位/日(看護職員1人当たり) | 看護職員が介護職員等に痰吸引等に係る指導のみ行った場合 |
医療連携体制加算Ⅳ | 100単位/日 | 研修を受けた介護職員等が痰吸引等を実施した場合 |
放課後等デイサービス・児童発達支援
障がい児通所支援においては、看護行為を行った時間によって報酬の額が異なります。
医療連携体制加算Ⅰ | 500単位/日 | 看護職員が事業所を訪問して障害児(1人)に対して看護を行った場合(4時間以下) |
医療連携体制加算Ⅱ | 250単位/日 | 看護職員が事業所を訪問して障害児(2~8人)に対して看護を行った場合(4時間以下) |
医療連携体制加算Ⅲ | 500単位/日(看護職員1人当たり) | 看護職員が介護職員等に痰吸引等に係る指導のみ行った場合 |
医療連携体制加算Ⅳ | 100単位/日 | 研修を受けた介護職員等が痰吸引等を実施した場合 |
医療連携体制加算Ⅴ | 1,000単位/日 | 看護職員が事業所を訪問して障害児(1人)に対して看護を行った場合(4時間超) |
医療連携体制加算Ⅵ | 500単位/日 | 看護職員が事業所を訪問して障害児(2~8人)に対して看護を行った場合(4時間超え) |
医療連携加算における各類型の主な要点
医療連携加算における報酬額や基本的な要件は以下のように定められています。
医療連携体制加算Ⅰ
500単位/回
- 看護職員を事業所に訪問させること
- 看護行為を行うこと
- 当該看護行為を行った利用者が算定対象となること
医療連携体制加算Ⅱ
250単位/回
- 看護職員を事業所に訪問させること
- 看護行為を2人以上の利用者に対して行うこと
- 1回の訪問での対象は8名を上限とすること
- 当該看護行為を行った利用者が算定対象となること
医療連携体制加算Ⅲ
500単位/回
- 看護職員を事業所に訪問させること
- 看護職員が認定特定行為業務従業者に喀痰吸引等にかかる指導を行った場合
- 指導を行った看護師に対して報酬を算定すること
医療連携体制加算Ⅳ
100単位/回
- 認定特定行為業務従業者が医療機関等と連携して喀痰吸引を行った場合
- 当該利用者に対して報酬を算定すること
※共同生活援助においては唯一、看護職員配置加算との同時併給可
医療連携体制加算Ⅴ(共同生活援助)
利用者に対する日常的な健康管理、通常時及び健康状態悪化における医療機関(主治医との連絡調整)を行う必要があります。
39単位/日
- 共同生活援助の職員 or 病院 or 診療所 or 訪問看護ステーションとの連携によって看護職員を1名以上確保すること
- 看護師により24時間の連絡体制を整えること
- 准看護師では要件を満たさないこと
- 同一法人他事業所の看護師を配置することも可
- 重度化した場合における対応に係る指針を定めること(急性期における医療機関との連携体制 / 入院期間における家賃、職材料費の扱い等)
医療連携体制加算Ⅴ(障害児通所支援)
1,000単位/回
- 看護職員を事業所に訪問させること
- 看護職員が利用者に対して4時間を超えて支援すること
- 当該利用者に対して報酬を算定すること
医療連携体制加算Ⅵ(障害児通所支援)
500単位/回
- 看護職員を事業所に訪問させること
- 看護職員が2人以上の利用者に対して4時間を超えて支援すること
- 1回の訪問での対象は8名を上限とすること
- 当該看護行為を行った利用者が算定対象となること
医療連携体制加算の運用ポイント
医療連携体制加算導入における主な要点は以下のとおりです。
事前に加算の届出をすること
加算の届出が必須です。
原則毎月15日までに届け出ることで、翌月1日から算定開始となります。
医療機関等との委託契約締結
医療連携体制にかかる業務内容について、あらかじめ委託契約を結んでおく必要があります。
費用は任意ですが、看護や喀痰吸引の指導にかかる費用を定めておきます。
また、これらはあくまで医療機関からの指示のもと行うため、事業者独自の判断で行っても加算は算定できません。
医療機関等に対する事前の情報提供
あくまで努力義務(できれば行うこと)ですが、可能なかぎり保護者や主治医をとおして必用な情報を入手し、本人の同意を得て連携する医療機関に提供するように定められています。
医師の指示を受けた支援を行うこと
同一法人内の他施設に勤務する看護職員を活用することもできる。
ただし、他事業所の配置基準を順守したうえで医師の指示を受けて支援提供を行うように定められています。
なお、看護師による見守りやバイタルチェックについては、看護上にかかる必要性が明確かつ具体的に医師の指示書に記載されている場合に限ります。
看護の必要のない児童に対してかんごしが単なる見守りやバイタルチェックを行っても加算の対象とはならない。
備品費用は事業者が原則負担すること
看護または喀痰吸引指導に必要な衛生材料、医薬品等の費用は事業者負担が原則です。
ない、医薬品が医療保険の算定対象となる場合は、適正な診療報酬を請求するように定められています。
1日あたりの訪問時間は合算可
連続して4時間、などの看護行為は必要なく、1日における訪問時間の合算値で算定要件の適否をチェックしていきます。
個別支援計画に定めること
看護行為を受けた利用者に対する加算であるため、個別支援計画に定めること
医療連携体制加算のまとめ
看護職員による看護行為、喀痰吸引指導などを医療機関の指示のもと行うことで加算を算定できます。
また、共同生活援助(障がい者グループホーム)においては、訪問看護ステーション等との連携によっても報酬の上乗せができます。
無理やり算定できるような性質の加算ではありませんが、看護行為を必用とする利用者がいる場合、導入を検討してみてはいかがでしょうか。
参考資料
事業者ハンドブック2019(報酬体系編)
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