気になるところから読む
はじめに「日中支援加算」
年齢もしくは障害特性上の理由や、心身面等での理由により日中をグループホームで過ごすことになったときにスタッフが支援することで算定できる加算です。
昼間は就労継続支援や生活介護などの日中サービス事業所、もしくは会社への出社が想定されているため、日中の支援者を配置すること等により加算が算定できるような制度設計になっています。
【日中支援加算Ⅰ】
65歳以上または障害支援区分4以上の障害者であって、日中を共同生活住居の外で過ごすことが困難な利用者に対して必要な支援を行ったとき
【日中支援加算Ⅱ】
日中活動サービスの支給決定を受けている利用者、地域活動支援センター、介護保険法の通所介護・通所リハビリステーション、精神科ショート・ケア等の利用者または就労している利用者が、心身の状況等により当該サービス等を利用できない期間が月に3日以上ある場合であって、昼間に必要な支援を行ったとき
(引用:中央法規,障害者総合支援法事業者ハンドブック2019,p.597)
日中支援加算Ⅰ(支援区分4以上または65歳以上)の算定要件・単価は?
65歳以上または障害支援区分4以上で、日中をグループホーム外で過ごすことが極めて難しい入居者に対して支援を提供することで加算をとることができます。
【詳細】日中支援加算Ⅰの単価
日中支援の対象者数によって加算額が変わります。
日中支援加算Ⅰの算定要件
主な要件は以下のとおりです。
- 65歳以上または障害支援区分4以上の利用者であること
- 個別支援計画にサービス等利用計画案との整合性を図りつつ支援内容を記載すること(日中活動が困難だと認められる場合)
- 通常の人員基準に加えて、生活支援員また世話人を配置すること(加配職員)
- 配置する職員は業務委託など自社職員でなくても構わないこと
- 加配職員は、通常の人員基準(勤務時間数)に含めることはできない
- 日中サービス支援型グループホームでは算定できない
- 日中支援加算Ⅱを算定している場合は重複して算定できない
- 土日祝日については算定できない
日中支援加算Ⅰの見込み報酬額は?
支援の提供回数にもよるため、あくまで理論値に基づく計算で実際の運用とは異なる可能性がある点をご了承ください。
対象者1名の場合の計算例
- 539単位
- 支援の合計提供回数:20回/1カ月(内訳の例:週5回×4週×1名)
- 地域単価:10円
539単位×20回×10円=107,800円/月
対象者2名の場合の計算例
- 270単位
- 支援の合計提供回数:40回/1カ月(内訳の例:週5回×4週×2名)
- 地域単価:10円
270単位×40回×10円=108,000円/月
日中支援加算Ⅱ(心身不調)の算定方法・単価は?
心身等の状況により当初想定していた日中サービス事業所や勤務先に出勤できなくなったときに、1カ月の中において日中支援を行ってから3日目以降に加算を算定できるようになります。
日中支援加算Ⅱの単価
日中支援の対象者数および対象者の障害支援区分によって加算額が変わります。
日中支援加算Ⅱの算定要件
主な要件は、以下のとおりです。
- 心身の状況等によって日中サービスを利用できなくなった入居者に対する支援であること
- もとから通所できなくなることが明らかだった入居者については、算定できない可能性があること(算定においては、あらかじめ行政に確認することが望ましい)
- 1カ月につき日中支援を行ってから3日目以降において算定できるようになる
- 個別支援計画にサービス等利用計画案との整合性を図りつつ支援内容を記載すること
- 通常の人員基準に加えて、生活支援員また世話人を配置すること
- 配置する職員は業務委託など自社職員でなくても構わないこと
- 支援対象者の人数は、事業所ごとに算定すること
- その場合の人数は、日中支援加算Ⅰの対象者と合算すること
- 日中支援加算Ⅰを算定している場合は同一利用者に対して重複して算定できない
日中支援加算Ⅱの見込み報酬額は?
支援の提供回数にもよるため、あくまで理論値に基づく計算で実際の運用とは異なる可能性がある点をご了承ください。
対象者1名(区分4以上)の場合の計算例
- 539単位
- 支援の合計提供回数:20回/1カ月(内訳の例:週5回×4週×1名)
- 地域単価:10円
539単位×20回×10円=129,360円/月
対象者2名(区分4以上)の場合の計算例
- 270単位
- 支援の合計提供回数:40回/1カ月(内訳の例:週5回×4週×2名)
- 地域単価:10円
270単位×40回×10円=108,000円/月
対象者1名(区分3以下)の場合の計算例
- 270単位
- 支援の合計提供回数:20回/1カ月(内訳の例:週5回×4週×1名)
- 地域単価:10円
270単位×20回×10円=54,000円/月
対象者2名(区分3以下)の場合の計算例
- 135単位
- 支援の合計提供回数:40回/1カ月(内訳の例:週5回×4週×2名)
- 地域単価:10円
135単位×40回×10円=54,000円/月
日中支援加算において、利用先として想定される日中事業所とは?
例示として、以下のような事業所が挙げられます。
介護保険法、障害者総合支援法上の事業や一般就労先に通えなくなることが主な条件です。
地域活動支援センター,通所介護(高齢者デイサービス),通所リハビリステーション,介護予防,介護予防通所介護,介護予防通所リハビリテーション,精神科ショート・ケア,精神科デイ・ケアもしくは精神科デイ・ナイト・ケア、もしくは一般就労先等
日中支援加算においてよくある質問
同一許可番号、複数住居において日中支援を行った場合は1人か2人以上、どちらを算定するか?
各住居ごとでなく、1許可番号の住居全体で、1日に何人の日中支援を行ったか?で判定する(愛知県)
週に2日だけグループホームで過ごす程度の入居者でも加算の対象になるか?
なります。
この場合には相談支援事業所が作成するサービス等利用計画案と個別支援計画書の間に適切な関連性があると認められるように支援計画を策定する必要があります。
相談支援所によるサービス等利用計画案がなくても日中支援加算を算定できるか?
できます。
ただし本人が望んでいないにも関わらず日中をグループホームで過ごさせるようなことがないように、適切なアセスメントに基づいた支援計画を作成する必要があります。
実務的には、担当の相談支援専門員とも協議などを行って、日中支援をどの程度行うべきか、決めても良いかと考えます。
個別支援計画には、どのように記載するのが望ましいか?
たとえば盛岡市などでは以下のようなシンプルな記載が想定されています。
ただし、これはあくまで例示なので、実務的には
- アセスメントシート
- 個別支援計画書への、日中支援が必要となる旨の想定
- (相談支援事業所による)サービス等利用計画案
- 市区町村への確認記録(心身の状況の範囲)等
など、書面記録の連動によって加算の条件を満たしていることを証明していくことが望ましいです。
【参考】個別支援計画への記載例)
支援内容:・・・という理由によって、日中活動に支障をきたすケースが増えてきたため、・・・ホームにて・・・や・・・などの日中支援を行う 等
【Ⅱ型】土日祝日でも算定できるか?
土日祝日でも、心身の状況等によって障害福祉サービスを利用できなくなった場合には、算定の余地があります。
【Ⅱ型】高齢者や引きこもりなどでそもそも日中活動の支給決定を受けていない入居者はどうか?
心身の状況等によって、障害福祉サービス等を利用できなくなった日に限り、算定できます。
この要件に照らし合わせると、障害福祉サービス等の支給決定を受けていない入居者は加算の算定外となります。
日中サービス側として欠席時対応加算は算定できるか?
算定できます(平成26年4月9日,厚生労働省QA.31)
「心身の状況等」とは具体的にどのようなケースを想定しているか?
体調不良等の場合、とまでしか記載されていません。
市町村や指定権者の運用により異なる可能性があるため該当者がいそうな場合は事前に確認とることをお薦めします。
(参考:厚生労働省,平成26年度障害福祉サービス等報酬改定に関するQandA)
日中支援加算のまとめ
日中支援加算は、区分4以上または65歳以上かどうか?日中は他事業所を利用しているか?によって若干ですが算定方法が異なります。
加算をとるための根拠についても「多分いけるだろう」という事業所の独自判断によるのではなく、市町村や相談支援事業所と連携を取りながら運用することが望ましいです。
貴社事業運営の参考になれば幸いです。
参考資料
中央法規,障害者総合支援法事業者ハンドブック2019,報酬編,p.642他
厚生労働省,平成26年度障害福祉サービス等制度改正に関するQandA問27他
盛岡市,個別支援計画の記載例http://www.city.morioka.iwate.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/004/061/keikakurei.pdf
無料でご利用いただけるメールマガジンで
主に事業運営に関するお役立ち情報や特別クーポン配信などに使用しております。
配信コンテンツは表向きには保管していないため、
早めに登録したほうが、より多くのお知らせを受け取ることができます
【再開】お問い合わせはこちら
業務のご相談や個別具体的な質疑応答等は
以下のページからお受けしております。