気になるところから読む
はじめに「施設外支援とは」
利用者が単独で、一般企業や委託訓練先での実習を行った場合にも、通所時と同様に報酬が発生します。
対象事業
- 就労移行支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型
受講の対象者
- 就労系事業の管理者等、事業責任者
- 施設外支援担当の職業指導員、ジョブコーチ
- 就労継続支援、就労移行支援事業所を開設予定の事業者
受講のメリット
- 施設外支援の仕組みを活用して、よりきめ細やかな支援の提供が可能となる
- 施設外支援の仕組みを活用して、利用者単独での企業実習等でも報酬算定できるようになる
- 【就労移行支援】就労準備支援体制加算の算定要件を満たすことができる
施設外支援の適切な実施について(重要)
施設外支援とは、企業内で行われる企業実習への支援を行うものであるため、労働や生産活動を請け負って報酬を受けるための作業をしにいくわけではありません。
つまり、企業実習はボランティアでの参加が前提となるため、 実習受入企業からは、労働の対価となりえる金銭を受け取ることは、雇用契約を締結していなくても「雇用」と判定される可能性があります。
雇用は一般就労をしたことと判定されるため、障害福祉サービスの利用と認められません。
したがって、 実習受入企業等から作業等の対価として、一切の報酬(報酬、謝礼、事務費、工賃、お小遣い、手当、その他名称を問わず、受入企業が事業者や利用者に支払う全ての金銭を言う)を受け取る場合には、訓練等給付費の算定ができない恐れがあります。
なお、当該事例に当たる場合、たとえ事業所のスタッフが同行している場合であっても、基本報酬の算定ができませんので、施設外支援においては、受入企業から対価を受け取らないように、ご注意ください。
参考:北海道旭川市(厚生労働省照会),平成29年6月7日「施設外支援及び施設外就労の適切な実施について」https://www.city.asahikawa.hokkaido.jp/500/548/syougaihukusi/sidou1/d055598_d/fil/tuuti_20170607_a_data01.pdf
施設外支援の要件
1年間に180日を限度として算定できます。ただし
運用ポイントは、以下の通りです。
- 毎年4月1日から翌年3月31日をもって1年間と判定すること
- 施設外就労と異なって、1日あたりにおいて、あくまで事業所の利用定員数までしか利用できないこと
- 180日とは利用者が実際に利用した日数の合計値であること
- 施設外支援の内容が運営規定に位置付けられていること
- 施設外支援の内容があらかじめ個別支援計画に位置付けられていること
1週間ごとに個別支援計画の内容について必要な箇所の見直しが行われること→令和6年度改定 → 月1回の見直しでよくなりました- 当該支援により就労能力や工賃の向上及び一般就労への移行が認められること
- 利用者または受け入れ先企業から施設外支援の提供期間中の利用者の状況について聞き取ることで日報が作成されていること
- 施設外支援の提供期間中に緊急対応ができること
トライアル雇用の場合
障害者がトライアル雇用助成金( 障がい者トライアルコース)等を活用して
- 障害者トライアル雇用または
- 障害者短時間トライアル雇用
を実施する場合、以下の条件を満たせば施設外支援の対象となります。
※トライアル雇用の詳細は社労士法の領域になります
- 施設外支援の運営規定への記載
- 利用者または受け入れ先企業からのヒアリングによる日報作成
- 施設支援の提供期間中に緊急対応ができること
- 施設外のサービス提供を含めた個別支援計画を3ヶ月毎に作成、見直しを行うことで、就労能力や工賃の向上、一般就労への移行に資すると認められること
1週間ごとに個別支援計画の内容について必要な箇所の見直しが行われること→令和6年度改定 → 月1回の見直しでよくなりました
注意事項
障害者トライアル雇用は、求職者及び求人者相互の理解を促進することで 障害者の早期就職の実現や雇用機会の創出を図ることが目的です。
したがって一部の例外を除き、職業紹介時点において継続雇用する労働者でないことを要件としているため、就労継続支援A型(雇用契約あり)の利用者は、原則として障害者トライアル雇用等の対象とならない=施設外支援の対象とならない点にご注意ください。
施設外支援の特例
施設外支援はサービス提供期間の上限を年間180日と定められていますが、以下の条件を満たすことで期間を超えた利用ができるようになります。
- 対象者が職場適応訓練を受講する場合であって、上記要件を満たし、かつ当該訓練が訓練受講者の就労支援に資すると認められる場合
- 対象者が在宅で就労する場合で上記要件を満たし、かつ事業者が週に1回程度訪問し、直接支援を行う場合
- 精神障害者ステップアップ雇用であって個別支援計画の見直しにおいて延長の必要性が認められた場合
施設外支援の留意事項
同日に、施設外支援と通常の通所を行った場合
施設外支援の実施日と取り扱うことになります。
障がい者試行雇用(トライアル雇用)及び精神障害者ステップアップ雇用について
施設外支援の対象となる要件に、個別支援計画の作成及び3ヶ月ごとの見直しを行うこと定められていますが、以下のとおりに行う必要があります。
ア 個別支援計画の作成及び見直しにおいては、事業所、本人及び関係者が参加のうえ協議を行い、市町村が必要な内容について判断すること
イ 個別支援計画の見直しは、つど実施結果を把握し、延長の必要性や実施内容の見直しを協議すること
例)精神障害者ステップアップ雇用の実施期間を10ヶ月間とした場合
- 施設外支援開始時に10ヶ月全体の到達目標を踏まえたうえで
- 3ヶ月目までの個別支援計画を作成
- 3ヶ月目にその間の実施結果をみたうえで延長の必要性について協議を行う
- 延長の判断をした場合、個別支援計画を更新して6ヶ月目までのものを作成する
- 6ヶ月目、9ヶ月目においても同様に行う
※令和3年3月30日障障発0330第2号改正時点
参考 5 施設外支援について>(5)>②精神障害者ステップアップ雇用
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/kaiseihou/dl/tuuthi_111121_10.pdf 障障発0928第1号 平成23年9月28日
施設外支援のまとめ
利用者が単独で企業に実習に出向く場合等の、施設外支援について解説いたしました。
- 年間180日(利用回数ベース)にとどめること
- 施設外支援の実施について、運営規程に明記すること
- 個別支援計画に明記すること
- 利用者または受け入れ先へのヒアリングによって日報を作成すること
1週間ごとに個別支援計画の内容について必要な箇所の見直しが行われること→令和6年度改定 → 月1回の見直しでよくなりました
当解説が御社事業運営の参考になれば幸いです。
参考)
厚生労働省, 平成19年4月2日「就労移行支援事業,就労継続支援事業における留意事項について, 報酬請求に関する事項について,施設外支援)」
岩手県盛岡市 施設外就労・施設外支援関係様式
https://www.city.morioka.iwate.jp/kenkou/shogai/jigyoshoinfo/1004042/1004063.html
北海道旭川市,平成29年6月7日「施設外支援及び施設外就労の適切な実施について」
無料でご利用いただけるメールマガジンで
主に事業運営に関するお役立ち情報や特別クーポン配信などに使用しております。
配信コンテンツは表向きには保管していないため、
早めに登録したほうが、より多くのお知らせを受け取ることができます
【再開】お問い合わせはこちら
業務のご相談や個別具体的な質疑応答等は
以下のページからお受けしております。