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はじめに「育児・介護休業法による両立支援の配慮等」
育児・介護休業法の適用により勤務する職員は、人員基準や加算要件などの基準緩和が適用されます。
うまく活用して人員欠如減算等を回避していきましょう。
受講対象者
- 事業経営者様、障害福祉サービス事業所の事業責任者、管理者様
- シフト表の作成など実務担当者様
- はじめて障害福祉事業所を開設した事業者様
解説の目標
- 育児・介護休業法における両立支援の注意点を理解して、事業運営に活用できるようになること
理解するメリット
- 育児、介護によりやむを得ず短時間勤務や休業となる職員がいても、事業運営を継続できる可能性が生まれます
- 不要な採用活動、人員欠如減算等をせずに済む可能性が生まれます
留意事項
- 労働基準法領域に関する事項は、社会保険労務士による規制領域となり、行政書士では直接対応できかねます。弊所の場合も提携社労士や、御社顧問社労士とのお打ち合わせをさせていただいております。
- あくまで、記事執筆時点での解釈・運用ですので、詳細は必ず指定権者の解釈、指示を受けてください
育児・介護休業法による両立支援の概要
対象事業
全障がい福祉事業者
要件の概要
育児・介護休業法に基づく短時間勤務や休業をした職員については、人員基準、加算要件が一部緩和されます。
「育児・介護休業法に基づく短時間勤務」がどの程度まで含まれるかは、労働基準法の範囲と考えますので、社会保険労務士等に助言を受けることを推奨します。
(念のため、厚生労働省のリーフレットを共有いたします)
▶https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/dl/02_jp.pdf
「常勤」の判定が緩和されます
常勤の計算にあたり、当該職員職員が育児・介護休業法に基づいて
- 育児の短時間勤務制度を利用する場合
- 介護の短時間勤務制度を利用する場合
- 男女雇用機会均等法による母性健康管理措置としての勤務時間の短縮等を利用する場合
において、当該職員を週30時間以上の勤務によって常勤とみなすことができます。
「常勤換算」の計算方法が緩和されます
- 介護・育児休業法による短時間勤務制度を利用する場合
- 母性健康管理措置としての勤務時間の短縮等を利用する場合
当該職員については週30時間以上の勤務で常勤換算1.0人として扱うことができます。
「対象者と同等の資質を有する複数非常勤職員」での対応ができます
人員基準や報酬算定において常勤の配置が求められる職員が、産前・産後休業や育児・介護休業等を取得した場合に「同等の資質を有する複数の非常勤職員(後述)」を常勤換算することで人員基準を満たすことができます。
当該加算については、以下の記事で解説しておりますので宜しければご参考ください。
「常勤換算の解説」
▶https://syoshikawa.com/joukinnkannsan/
福祉専門職員等配置加算
産前産後休業や育児介護休業等を取得している職員については、常勤職員の割合に含めることができます。
当該加算については、以下の記事で解説しておりますので宜しければご参考ください。
「福祉専門職員等配置加算」
▶https://syoshikawa.com/hukushisenmonhaichi/
想定されるケース
あくまで想定ですので実際に適用する場合は、あらかじめ指定権者の確認をとることをお勧めします(弊所関与先等は、根拠を立てたうえで、弊所により行政に確認代行等)。
サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者
常勤は週40時間勤務の事業所において、サビ管・児発管等が介護・育児休業法による短時間勤務制度を活用した場合、週30時間勤務でも常勤の要件を満たします。
(例:週5日、1日6時間=週30時間の勤務でも減算にならない)
常勤の就労支援員
常勤は週40時間勤務の事業所において、常勤の就労支援員が介護・育児休業法による短時間勤務制度を活用した場合、週30時間勤務でも、常勤換算1.0人の扱いになります。
(本来なら実績30時間 / 規定40時間 ≒ 常勤換算0.7人)
整備しておくべき記録書類等
- 就業規則
- 育児・介護休業法による短時間勤務制度
- 勤務形態一覧表(行政様式。人員基準、加算要件の確認のため)
- 給与明細・タイムカード(実際の勤務時間の記録)
- 同等の資格を証明するための資格証、実務経験証明書、研修修了証等
よくあるご質問(厚生労働省QandA等)
いただいたご質問や厚生労働省QAの概要です。
「同等の資質を有するとは」
当該休業を取得した職員の配置により満たしていた、 勤続年数や所定の研修修了など各基準や加算の条件として定められていた資質を満たすことを指します。
(厚生労働省事務連絡,障害福祉サービスに係るQandA,令和3年3月31日,問20)
【私見】詳細は、該当事例ごとに各指定権利者に事前確認が望ましいですが、
常勤のサービス管理責任者、児童発達支援管理責任者 → 研修 / 資格 / 実務経験の全てを満たしている非常勤職員
などのケースが考えられます。
また、常勤看護職員等配置加算は「常勤換算方法で1以上」の要件などは満たさないものとする、などの規定が定められていることもありますので(香川県)、やはり事前に行政に確認しておくことが望ましいです。
管理職は、どう取扱いすればいいか?
管理者についても、当解説どおりの運用が適用される余地があると考えます。
たとえば労働基準法第41条第2号に定める「管理監督者」に該当する場合は、所定労働時間の短縮措置を適用「させなくても良い」とされています。
なお「管理監督者」とは、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にあるもので、実態に即して判断されます(例:雇用契約や昇給、昇進等)。
したがって、「管理監督者」の定義にまでは当てはまらない管理者の場合は、所定労働時間短縮の措置を講じなければなりません。
また、もし管理監督者の定義に当てはまる場合でも、 所定労働時間の短縮措置に準じた制度を適用することは望ましいこととされています。
よって、管理職であっても、当解説どおりの運用のできる余地があると考えます。
(が、やはり労働基準監督署や御社顧問社労士等の見解を受けることを強くお薦めいたします)
育児・介護休業をしている職員は、勤務表に載せ続けるべきか
氏名のみ記載しておき「勤務なし / 空白」などとしておくことができます。
運営規程等には、職員数としてカウントして差し支えありません。
まとめ「育児・介護休業法による両立支援の配慮等」
対象者について
- 週30時間以上の勤務で常勤、常勤換算0として扱う
- 休業の場合でも、同等の資格者でリカバーできれば人員基準等を満たす
ようになります。
人員欠如減算や各種加算の算定に直結する事項ですので、できれば事業所の独断で判断せず、あらかじめ行政に報告のうえ、承認を得ておくことをお勧めします。
以上、御社事業運営の参考になれば幸いです。
参考資料
厚生労働省,令和3年度 育児・介護休業法の概要
https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/dl/02_jp.pdf
厚生労働省,育児・介護休業法について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html
香川県,人員基準における両立支援への配慮等
https://www.pref.kagawa.lg.jp/documents/21060/210330_zyokin_kangaekata.pdf
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