「この地域って市場統計的にどうですか?」という質問に対する回答を多く頂いたため、考察してみました。
統計調査不要説
中には「統計調査をして、その分析結果を教えてください」というご相談をいただくこともあります。
先にお断りしますが、そういったサービスであればF井総研様に依頼をしたほうが確実です。
どの障がい福祉事業も、今となってはだいたいどこも激戦区です。
初めて障害福祉分野に算入する社長からしたら「そんなに障がいをもった人がいるものか?」と思うかもしれません。
だからまずは統計分析を行って…という発想に繋がりますが、そこまでする必要はない、というのが弊所の考えです。
既存施設の、しっかりと作り込んだホームページを見ると、怖気づく気持ちもわかります。
(僕も行政書士として開業して各士業のウェブ調査をしたとき「こんな人達に勝てる訳ない…と酷く落ち込んでいました」)
こと福祉施設においては、「お試し」では開業できない世界であるため、慎重さも求められます。
恐らくこういったことから冒頭の質問に繋がる訳ですが、やはり弊所は統計分析不要論を提唱します。
ポイントは契約者数の上限がおよそ決まっている、ということです。
通所系施設の場合、契約者数ベースでいえば30名~40名程度の契約者数を確保できれば、ほぼ定員上限を満たすことができます(グループホームならもっと10名程度)。
上限が見えているからこそ、どうやって目標値に達成するのか?他事業所からの利用移動か、新規開拓か、対象地域を絞り込んでいくのか…と作戦を考えることができます。
どこもだいたい施設があって、まあまあ利用者さんがいる状態のはずなので、後出しじゃんけんが上手く刺されれば、利用者さんをある程度は受け入れることもできるかもしれません。
どうしても統計分析的なことをしないと安心できない、ということであれば、役所統計などを参考にして人口数と見込みの障がい者数、競合事業所、関係事業所の数や立地場所くらいは、調べられる分だけ調べてみるといいでしょう。
「なんかこの辺良さそうだな」と思う地域があれば目星をつけて、競合他社HPの作り込み具合や実地調査を行うことのほうが、スモールビジネスにおいては効果的です。
地域調査の参考
あくまで参考ですが、フィールドワーク実行時は、以下のような観点から仮説を立てることができます。
- ホームページ、ブログの作り込み具合はどうか?
- 地域に当事者や保護者の集まる会はあるのか?
- 実際の利用者の抱える不満、困りごとは
- 利用者の囲い込みをし過ぎてしまい、本人が自立して生活する機会を奪っていないかどうか?
- 事業所の数自体は多いが、サービスの質は悪くないかどうか?
- サービスの質は良くても、利用者の支援・将来に向けた自立支援を行っている事業所かどうか?
- 集客目的の派手なイベントを行ったり、送迎サービスを売りにする事業所ばかりで、本質的な利用者支援を行っている事業所が少ないのではないか?
- 情報発信力はどれくらいあるのか?地域との連携はどれくらい行えているのか?
- 過去の事業経験の中で福祉事業に活かせそうなことはできないか? 等
十分なサービスを提供できる事業所が少ない地域なら「新しく事業所ができるらしい」という情報が入った時点で、間違いなく本人や保護者、相談員は注目しています。
良い事業計画のもと、適切な情報発信・営業活動を行うことができれば利用者の新規獲得に繋がります。
パソコンに向かっている時間があれば、少しでも地縁のある地域を中心に足を運んでみてください。
あえて激戦区を見て周ってもいいかもしれません。ヒントが得られるかもしれないですし、見方次第ではブルーオーシャンかもしれません。
成功確率を高めるためには、地道なフィールドワークが極めて重要になってきます。
これから新規展開を考える方の参考になれば幸いです。
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