気になるところから読む
はじめに
就労移行支援の事業運営において不可欠な、就職率の算出、考え方についての解説です。
新年度の体制等届出(基本報酬区分の設定)に不可欠な論点につき、まとめました。
当解説の対象者
- これから就労移行支援を開業する予定の事業者様
- はじめて就労移行支援を運営した事業者様
- 就職率の計算を任された管理者、サビ管、社員など実務担当者様
把握するメリット
- 就職者の判定方法を理解することで、基本報酬額が少し増えるかもしれません。
- 皆さんがつまづきがちな論点について、あらかじめ抑えておくことができます
ご了承事項
- 行政によって様式が異なる可能性があります
- 行政によって、細かな解釈が異なる可能性があります
就職定着実績の算出とは
基本的には、
(前々年度+前年度の6ヶ月以上就職者数)÷(前々年度+前年度の利用定員数)
によって算出されます。
たとえば、前々年度が2名、前年度も2名の就職者で、定員数が20名の場合は、
(2 + 2)÷(20 + 20) = 10%
となります。
届出で表現すると、以下のようになっていきます。
届出作成の流れ
就労定着者の状況(添付書類)
まず、行政の様式を用いて、前年度、前々年度の就職実績を算出します。
のち、算定区分届出を作成します。
報酬区分に係る届出(提出書類)
やや細かい前年度、前々年度計算フロー
とりあえずで考えるなら、誰がいつ就職して、いつ6ヶ月経過したか?の把握だけはしておきましょう。
4月1日開所の事業所の場合
初年度
3割以上4割未満事業所 としてみなす
2年目
3割以上4割未満事業所 としてみなす または、就職定着者数÷定員数 ※良いほうを選択
3年目
(前年+前々年度の就職定着者数)÷(前年度と前々年度の利用定員数の合計) または、(初年度を定員数×30%の就職者数とみなし+2年目の実就職者数)÷(前年度と前々年度の利用定員数の合計)※良いほうを選択
の流れとなります。
年度途中に開所した事業所の場合
前々年度、前年度の実績が揃うまでは、開業のち12ヶ月ごとの実績値を、前々年度、前年度の実績とみなして就職率を計算します。
定着者算出のための実務
就労中であることの確認方法
例えば以下のような方法があります。
(在職証明書または雇用契約証明書の発行 / 企業担当者に確認のうえ 記録を取ること)
※ 届け出時点に添付までは求められないことが一般的ですが、 実地指導などでは就職の証拠としてこれらの書類の提示を求められることがあります
年度を跨いだ定着者について
就職してから6ヶ月を到達した月が、新年度であれば、当該新年度の就職実績として評価します。
就労の定義
企業と雇用契約を結んだ期間をもって判定します。
したがって、一般的には月の出勤日数が数日だったり、鬱による休職期間があった場合でも、有効な期間として判定されます。
ただし、就労継続支援A型への雇用については、就職として判定できません。
令和3年10月1日に就職した人の場合
令和4年3月31日で6ヶ月経過となりますが、 あくまで令和3年 3月の就職実績として判定します( 令和4年の実績になるわけではありません)
転職した利用者は
離職したのち1ヶ月以内に転職支援を行った結果、別の会社に転職できた場合は、就職実績として含むことができます
開設してから1年経っていない事業所
「経過措置対象」の 報酬区分となります。 2年目に入った事業所については、 一年目の実績を持って報酬算定することもできます
年度途中で利用定員が変更になった場合
4月から12月の利用定員20名、1月から3月の利用定員が30人になったとしたら…
平均値をとって、
20人×9ヶ月+30人×3ヶ月 ÷ 12ヶ月 = 22.5人
が利用定員数となります。
まとめ「就労移行支援における就職率の算出方法」
令和3年度報酬改定によって、前年度、前々年度の就職実績によって報酬区分が確定されるようになりました。
かなりざっくりまとめると
「前年度、前々年度の6ヶ月到達者数 ÷ 前年度、前々年度の事業所定員数合計」
によって計算することができます。
当解説が御社事業運営の参考になれば幸いです。
参考資料
厚生労働省 令和3度障害福祉サービス報酬改定QandA vol.2(別添)
https://www.mhlw.go.jp/content/000766855.pdf#page=22
厚生労働省 平成30年度障害福祉サービス報酬改定QandA vol.5
https://qa-fukushi.com/wp-content/uploads/2018/12/59qa.pdf
中央法規 障がい者総合支援法事業者ハンドブック2020(報酬編)「就労移行支援」
愛知県 就労定着支援に係る基本報酬の算定区分に関する届出書
https://www.pref.aichi.jp/soshiki/shogai/shakasan.html
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