グループホーム

【グループホーム】夜間支援体制等加算を上手にとる方法を徹底解説

「障害者グループホームの開業を考えていて、夜間支援等体制加算をとりたいけど難しくてよく分からない…」というご相談をよくお受けします。

確かに複雑で分かりにくい加算ですので、基本的な考え方について説明いたします。

ハンドブック及び官公庁資料等に基づいた解説につき、かならず貴社事業エリアに当てはまるとは限らない点、あらかじめご了承ください。

 

導入必須な夜間支援体制等加算の取りかたを徹底解説

夜間支援等体制加算とは

グループホームにおいて、夜間における支援・連絡体制を整えていることで算定される加算です。

夜間支援の対象者数および提供回数に応じて報酬が算定されます。

グループホーム事業で採算を合わせるためにはほぼ必須といっていい加算で、スタッフをさえ確保できればⅠ型を算定するケースが一般的です。

 

夜間支援体制等加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲの違いとは

特に異なる点を整理しました。

それぞれ

  • 基本的には業務を行う想定(夜間支援等体制加算Ⅰ)
  • 一晩に1回起きて巡回をする程度の想定(夜間支援等体制加算Ⅱ)
  • 警備システムor連絡体制の構築(夜間支援体制等加算Ⅲ)

という違いがあります。

Ⅰ型 Ⅱ型 Ⅲ型
夜勤を行う 宿直を行う セコム等の導入(警備会社)
  • 就寝準備確認
  • 寝返り・排泄支援
  • 不眠時対応
  • 緊急時対応 等
  • ほぼ労働の必要がない
  • 施設内の定期巡回
  • 電話収受や簡単かつ短時間の作業
  • 十分な睡眠時間の確保等
  • 常時の連絡体制
  • 警備会社との委託契約 等
54~672単位/回 18~112単位/回 10単位/回

 

夜間支援等体制加算の報酬シミュレート

ここでは夜間支援等体制加算Ⅰを軸にして解説します。

あくまで計算は全ての入居者が対象であった場合のモデルケースです。

実際の入居者や管轄行政の運用、算定の可否によって異なる可能性がある点にご注意ください。

1事業所のみの例

1人の職員で5人の入居者を支援した場合

【モデルケース】

  • 夜間支援スタッフ1名(スタッフAとします)
  • 単位:269単位/回(入居者5名の支援)
  • 支援対象者:5名
  • 1カ月:30日支援
  • 地域単価:10円
  • 支援時間帯:22時から5時

スタッフA:269単位×5名×30日×10円=403,500円/月

入居者の状態像によっては、1名では夜間支援を回すことができず、もう1名ヘルプが必要になることも考えられます。

 

2人の職員で5人の入居者を支援した場合

【モデルケース】

  • 夜間支援スタッフ2名(スタッフA、スタッフBとします)
  • 単位:448単位/回(入居者3名の支援) / 672単位/回(入居者2名の支援)
  • 支援対象者:3名 / 2名
  • 1カ月:30日支援
  • 地域単価:10円
  • 支援時間帯:22時から5時
  • スタッフA:448単位×3名×30日×10円=403,200円/月
  • スタッフB:672単位×2名×30日×10円=403,200円/月

 

夜間支援等体制加算の詳細な報酬表

夜間支援等体制加算Ⅰ

夜勤を行った場合に算定できる加算は以下のとおりです。

実際の入居者数ではなく、前年度の平均入居者数をもとに計算します。

初年度の事業者様は入居者数×0.9等

対象利用者数 単位
2人以下 672単位/日
3人 448単位/日
4人 336単位/日
5人 269単位/日
6人 224単位/日
7人 192単位/日
8人以上10人以下 149単位/日
11人以上13人以下 112単位/日
14人以上16人以下 90単位/日
17人以上20人以下 75単位/日
21人以上30人以下 54単位/日

 

夜間支援等体制加算Ⅱ

宿直を行った場合に算定できる加算は以下のとおりです。

実際の入居者数ではなく、前年度の平均入居者数をもとに計算します。

初年度の事業者様は入居者数×0.9等

対象利用者数 単位
4人以下 112単位/日
5人 90単位/日
6人 75単位/日
7人 64単位/日
8人以上10人以下 50単位/日
11人以上13人以下 37単位/日
14人以上16人以下 30単位/日
17人以上20人以下 25単位/日
21人以上30人以下 18単位/日

 

夜間支援等体制加算Ⅲ

連絡体制を行った場合に算定できる加算は10単位/日です。

 

夜間支援等体制加算の取りかた

届出に必要な書類は以下のとおりです。

自治体により異なる可能性があります。

夜間支援等体制加算の届出に必用な書類

  • 介護給付費算定に係る体制等に関する届出書
  • 介護給付費算定に係る体制等状況一覧表
  • 従業者の勤務の体制及び勤務形態一覧表
  • 組織図
  • 事業所の位置図(複数事業所の場合)
  • 共同生活援助に係る体制
  • 夜間支援等体制加算届出書

 

夜間支援等体制加算の運用に必要な書類

  • 夜間支援に係る勤務・支援記録(任意書類)
  • 個別支援計画書(夜間支援実施の旨の記載)
  • 運営規程(夜間支援実施の旨の記載)

 

 

夜間支援等体制加算の運用ポイント

エリアによって解釈が大きく異なる恐れがあるため、必ず自社のエリアの障害福祉課に確認をとったうえで運用することをお薦めします。

それを踏まえたうえで、解説します。

グループホームの夜勤(加算Ⅰ)における注意点

要点を列記しました。

原則どなたでも夜勤できますが支援数には上限があります。

  • 夜間支援の必須時間帯は22時~5時まで
  • 夜間従業者は常勤・非常勤いずれでも可
  • 世話人・生活支援員とも兼務できる。業務委託社員等の配置も可
  • 1つのホームにおいて、一晩の中で、利用者ごとに夜勤、宿直、連絡体制を分けた報酬算定はできない
  • 1つのホームにおいても曜日ごとに夜勤、宿直、連絡体制、と区分けすることはできる
  • それぞれのホームごとに夜勤、宿直、連絡体制を分けた報酬算定はできる
  • 夜勤か宿直かは届出内容及び実地指導において支援の実態を踏まえて判断する
  • 複数のホームがある場合は、必ず全て1回ずつは訪問すること
  • 複数のホームを巡回する場合は移動時間10分程度で、携帯電話やスマートホンなどを持つこと
  • 複数のホームを巡回する場合は5か所20名までを支援の上限とすること
  • 1か所のホームの場合は30名までを支援の上限とすること
  • 夜間支援等体制加算Ⅱ、Ⅲとの同時算定はできない
  • 入居者がおとなしく寝ていたため、結果的に支援を提供することがなかったとしてもⅠ型を算定できる
  • 一晩中起きて支援をする必要はないものの、一晩のうち半分の時間以上は業務をするように、という指導を受けるケースも増えてきた(算定要件の厳格化)
  • 1回起きてホーム内を巡回をした程度では、宿直とみなされて返金処分を受けるリスクあり
  • 病院、宿泊型自立訓練事業所における宿直や夜間従業者と兼務している場合は算定できない
  • 22時から5時までの勤務時間については、深夜の割増賃金(25%)の支払いをすること
  • 休憩時間は給与の支払い不要だが、仮眠の場合は労働体制であるため給与の支払いが必要になりうること(日報をとおして休憩時間と労働時間の明記することが望ましい)

 

グループホームの宿直(加算Ⅱ)における注意点

夜勤との共通点が多いですが

  • 複数ホームあるときは、必ず全て1回は訪問すること
  • 深夜の割増賃金は不要であるものの宿直手当の支給が望ましい
  • 週に1回までとすること(日直は月1回まで)
  • 所轄労働基準監督署長の許可が必要であること

点に特徴があります。

 

グループホームの連絡体制構築(加算Ⅲ)における注意点

Ⅰ・Ⅱとは異なり

  • 警備会社との契約により算定できる
  • 携帯電話等により夜間帯の連絡体制が確保されている場合でも可
  • 障害者支援施設の職員等による連絡体制は不可
  • 緊急時連絡先や連絡方法は運営規程に定めるとともに事業所内に分かりやすく掲示する

必用などがあります。

 

【ケーススタディ】夜間支援等体制加算をどのようにとるか

様々なケースを想定してみました。

いきなり全てのパターンを理解しようとするとドツボにはまるため「自社がどれにあてはまりそうか?」から考えてみるのが望ましいです。

各自治体によって判定方法が異なる場合がありえる点のみご了承ください。

【パターン1】1名のスタッフで日によって夜勤・宿直を行う場合
10月1日:1人の夜勤職員により6名の支援で夜勤(Ⅰ型)6名単価算定
10月2日:1人の宿直職員により6名の支援で宿直(Ⅱ型)6名単価算定

 

【パターン2】2名のスタッフが入居者を担当制にして、かつ日によって夜勤・宿直を行う場合
10月1日:1人の夜勤職員により6名の支援で夜勤(Ⅰ型)6名単価算定
10月2日:2人の宿直職員により3名×2グループの支援で宿直(Ⅱ型)3名単価×2算定

 

【パターン3】1人のスタッフで2つのホーム(6名、4名)の夜勤を回す場合
ホームX:6名
ホームY:4名
計10名となるため夜勤(Ⅰ型)10名単価の加算を算定する

 

【パターン4】夜勤スタッフA・B氏の2名で入居者7名を「2名:7名」に分けて支援した場合

スタッフA:夜勤(Ⅰ型)5名単価の加算を算定する
スタッフB:夜勤(Ⅰ型)2名単価の加算を算定する

 

【パターン5】夜勤スタッフA・Bの2名で、A:ホームX2名、B:ホームX4名、ホームY2名の支援をした場合

スタッフA:夜勤(Ⅰ型)2名単価の加算を算定する
スタッフB:夜勤(Ⅰ型)6名単価の加算を算定する
※簡単にいえば「実際に支援した入居者の数」で報酬が決まる、ということです

 

【パターン6】夜間支援対象者5名のホームで、1名の対象者にだけ支援を提供した場合

夜勤(Ⅰ型)5名単価の加算を、実際に支援を行った1名について算定する。

 

【パターン7】夜間支援対象者8名のホームで、1名の対象者にだけ夜勤、宿直を提供した場合
10月1日:1人の夜勤職員により8名の支援で夜勤(Ⅰ型)6名単価を実際に支援を行った1名について算定する。
10月2日:1人の宿直職員により8名の支援で宿直(Ⅱ型)6名単価を実際に支援を行った1名について算定する。

 

夜間支援等体制加算に関するよくある質問

その他、よくあるご質問をざっくりとまとめましたのでご参考ください。

事前に届け出た体制から変更する場合

加算の内容が毎月15日締め切りに提出した場合、翌月から加算の変更が適用されます。

入居者数変更の場合は、定員数×0.9にもとづいて加算を再設定し直します。

 

一晩で夜勤スタッフが交代しても良いか

一晩の間にスタッフが交代しても加算の算定ができます。

適切に引継ぎをして業務事故が起きないように注意する必要があります。

加算額が減少する場合は、誤って不当利得を得ないように加算を下げつつ、すみやかに届出を提出します。

 

休憩で現場を離れて問題ないか

ホーム内で休憩する場合は問題ありません。

ただし、もしホームを離れて休憩する場合はあらかじめ入居者に伝えておき、離席するときには代わりのスタッフを配置する必要があります。

 

就業規則への記載で気を付ける点はあるか

あらかじめ夜間帯においても休憩時間を記載しておくことが望ましいです。

もし一律固定の時間帯にすることが難しい場合は、各スタッフの労働契約書において休憩時間を明記することが望ましいです。

 

グループホームに住み込みの従業員がいる場合

そのことをもってして宿直加算をとることはできません。

上述したような適切な運営を行った場合には加算を算定できます。

 

入居者が帰省していても加算をとれるか

支援をしていないため、とれません

 

グループホームの夜間職員をショートステイの職員が兼務できるか

できる。

ショートステイの入居者をグループホームの定員数に加えたうえで、夜間支援加算の要件を遵守する必要がある

(5か所20名まで,1か所30名まで等)

 

(Ⅲについて)同法人入所施設とグループホームでまとめて警備会社を契約しても良いか

問題ありません。

ただしグループホーム事業としても警備会社利用における費用を負担する必要があります。

 

(Ⅲについて)事務員による見回り・警備でも問題ないか

夜勤職員として、Ⅰ・Ⅱいずれかによって算定することが望ましいです

 

(Ⅲについて)防災体制とは何か

主に警備会社との契約を想定しています。

職員によるグループホーム常駐の場合は、ⅠもしくはⅡによって算定することが望ましいです。

 

夜間支援等体制加算のまとめ

障害者グループホームの経営にほぼ必須であるものの運用がやや複雑な加算です。

1職員1事業所のみであれば入居者数にもとづくシンプルな運用ですが、事業所数や夜勤職員が複数になってきた場合には、必ず自社がどの累計に当てはまるか確認をしたうえで加算をとりましょう。

抑えておくべきポイントは「1スタッフあたりが実際に支援した入居者の数に基づいて算定する」でした。

本稿が貴社事業運営の参考になれば幸いです。

 

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参考資料

加算届出について(愛知県,https://www.pref.aichi.jp/shogai/05jigyousha/shitei/shinsei/03kasan.html

令和元年度集団指導(愛知県,https://www.pref.aichi.jp/shogai/05jigyousha/shitei/R0203syudanshidou-siryou/shudan_siryou01_R0203.pdf

平成26年度障害福祉サービス等制度改正に関するQandA,問15~(事業者ハンドブック報酬編,2020)

平成27年度障害福祉サービス等制度改正に関するQandA,問3~(事業者ハンドブック報酬編,2020)

 

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