グループホーム

【グループホーム】夜間支援体制等加算のまとめ

はじめに「夜間支援等体制加算」

グループホームにおける夜間支援等体制加算についての解説です。

事業運営上ほぼ必須の加算でありながら、運用ルールがやや複雑になっているため、抑えるべき点は多岐に渡ります。

しかし一度に全てを理解する必要はありません。

該当しそうな例があった際に都度確認しながら、理解していくことをお薦め致します。

 

気になるところから読む

当解説の対象となる事業者

  • これから共同生活援助を開業する予定の事業者様
  • はじめて共同生活援助の運営をはじめて1年目の事業者様
  • シフト管理を任された管理者、サビ管、社員など実務担当者様

 

把握するメリット

  • 共同生活援助においてほぼ必須な、夜間支援等体制加算の運用方法が理解できます
  • 実地指導などで、思わぬ返金を受ける可能性が低くなります
  • Ⅰ~Ⅵまでを上手く組み合わせて、収益体制について検討できるようになるかもしれません

 

目標

  • 御社事業規模、開業時期に応じた、適切な報酬体系で加算を算定できるようになること
  • 各加算の運用における注意点を把握すること
  • 他店舗展開した場合でも、適切にスタッフ体制を整備できるようになること

 

注意事項

  • 実際の入居者数や、現に夜間支援を必要とする入居者の人数で請求するケースが多いですので間違いないように気をつけてください
  • 行政の様式や運用基準・解釈などは、エリアによって異なることもあるため、ご注意ください

 

前提知識

加算の算定方法

各加算ごとに詳細は異なりますが、1人の夜間支援従事者が支援を行う、夜間支援対象利用者の数等で報酬額が確定します。

1カ所のグループホームにおいて、2人以上の夜間支援従事者が支援を行う場合は、利用者数に応じて対象者数を按分して算定します。

「夜間支援対象利用者の数」とは

加算の算定基準となる夜間支援対象利用者の数とは、現に入居している利用者の数ではなく、前年度の平均利用者数の計算方法に応じて算定することになります。

もし小数点以下の端数が生じた場合は小数点第1位を四捨五入して算出します。

障害支援区分に基づいた報酬請求→どの入居者を基準とすれば良いのか

現に入居している利用者の障害支援区分に応じて、報酬額が確定されます。

 

開設のち6ヶ月以内の事業者様は

開業後6ヶ月間の入居状況によって、平均利用者数が申請時と異なる場合があります。

このとき、夜間支援等体制加算の対象人数も異なってくる可能性があるため、必ず入居者ごとの利用記録をとっておき、加算額が変わる場合は、行政への届出が必要となります。

夜間支援についての適切な記録とは

夜間支援の内容を、日報などで記録すること。

何もなければなしでも良いが、毎日「なし」だと実地指導で詳細な説明を求められる可能性が高まります。

 

なお、加算については以下のような届出書を作成のうえ、提出することで算定できるようになります。

個別支援計画書への位置づけが必要

夜間支援が必要な理由と、想定する支援内容をできる限り具体的に記載しておく必要があります。

単に「夜間支援を提供する」のみだと、理由が不明確につき実地指導で要件を満たさず返金、となるリスクがあります。

同時算定不可の詳細

同日、同一住居において、

  • 利用者Xに対してはⅠ
  • 利用者Yに対してはⅡ

という算定はできません。

ただし、要件を適正に満たしている場合、ある日は全員Ⅰを算定、別の日については全員Ⅱを算定、という切り替えは可能です。

利用者が実家に帰省して、夜間不在の場合でも算定できるのか

できません。

各加算に応じた実際の支援が必要であるためです(厚生労働省,平成26年QA)

勤務形態一覧表への記載

世話人などと兼務する場合、必ず世話人の時間と夜間支援従事者の時間帯を明確に区分けして記載する必要があります(人員配置基準を満たしているか確認するため)

夜勤か宿直かは、どう見分けるのか

実地指導においては加算届出や、勤務状況などの書類及び事業者様へのヒアリングによって判定されます。

夜間支援対象者数の算出方法(例)

たとえば名古屋市の場合、このシートによって前年度の夜間支援を提供した平均利用者数を算定します。

 

広域事業者指導課(岸和田市、貝塚市、和泉市等)

夜間支援と体制加算における 前年度の平均利用者数については、指定権利者によって解釈が異なることがあります。

重要な論点につき、 たいていの指定権利者は 集団指導資料などで解釈を示しているかと存じます。

必ずご自身のエリアについて確認をしましょう。

 

たとえば大阪府の特例エリアの場合、前年度の夜間支援対象業者数ではなく、住居ごとの全年度平均利用者数を持って算定します。

 

広域事業者指導課「令和3年度障害福祉サービス事業者等集団指導」https://www.city.kishiwada.osaka.jp/site/kouiki/03syudan.html

 

「夜間支援対象者」は前年度実績にもとづいて算出すること

開業して1年度(4月~翌年3月)の前年度実績がないうちは、原則として「平均利用者数」と同様の考え方によって、夜間支援対象者数を設定します。

【平均利用者数の算出方法】

  • 開業したのち6ヶ月目まで:定員数×0.9で支援対象者数が確定
  • 7ヶ月~12ヶ月:直近6ヶ月の実績で翌1ヶ月の支援対象者数が確定
  • 12ヶ月経過:直近12ヶ月の実績で、翌1ヶ月の支援対象者数が確定
  • 1年度経過:前年度4月翌3月の実績で翌1年度の支援対象者数が確定

※夜間支援等体制加算においては、開業してからの6ヶ月は、申請時の届出で設定するケースが一般的です

 

なお、前年度平均利用者数の運用方法は、こちらからご確認いただけます。

https://syoshikawa.com/heikinriyousha/

 

夜間支援等体制加算Ⅰ(夜勤)

職員を、夜勤(原則として、休憩時間以外は業務を行っている)として配置した場合に算定できる加算です。

加算額(一部掲載)

例)前年度対象者1日5名×224単位(区分3)×31日×地域10円=347,200円/月

※1職員での支援のケース

 

以下、対象者数によって最大30名まで続きます

 

主な算定要件は、以下のとおりです。

夜間支援従事者の配置について

  • 夜間において「夜間支援従事者(資格要件なし)」を配置すること
  • 夜間とは、最低限22時~5時を含むこと
  • 原則として、夜間支援対象者の居住する住居に配置されていること
  • 特別な事情があり、都道府県知事が認めた場合は、その限りでないこと
  • 複数の住居を巡回する場合は、概ね10分以内の距離にあること
  • 利用者の呼び出しに応えられるよう、携帯電話やスマートフォン、非常通報装置等をもつこと
  • 複数の住居を巡回する場合は、5カ所かつ20名までであること
  • サテライト住居は、本体と合わせて1カ所とカウントすること
  • 1カ所の住居のみの場合は、最大30人までであること

夜間支援従事者の勤務内容・勤務形態について

  • 夜間支援従事者は常勤、非常勤どちらでも構わないこと
  • グループホームに従事する世話人、生活支援員以外の、業務委託された職員でも問題ないこと
  • 入居者の就寝前から起床後まで、夜間支援先住者が配置されていること
  • 夜間支援の業務としては、利用者の状況に応じて、就寝準備の確認、寝返り、排泄等介助、緊急時対応などを想定すること
  • 個別支援計画書に夜間支援が必要な理由と、想定する支援内容を記載すること
  • 複数住居を巡回する場合は、一晩に1回以上は各住居を巡回すること
  • サテライト型の場合は、入居者の意向、状態などを踏まえて、個別に訪問の要否を判断することもできる
  • 障がい者支援施設や病院、宿泊型自立訓練を行う事業所における夜勤・宿直と兼務している場合は、算定できない点に注意すること
  • 地域移行支援型ホームは、共同生活住居内に夜間支援従事者が配置されている場合のみ、算定できること
  • 併設型または空床利用型の短期入所を併設している場合の従業員は、夜間支援従事者を兼任できる
  • 居宅介護事業所の従業者に夜間支援を委託することもできるが、この場合に算定できるのは居宅介護サービス費ではなく、当加算である点に注意すること

加算の算定方法

  • 1人の夜間支援従事者が支援を行う、対象者の総数によって加算額を算定する
  • ただし、加算の基準となる当該夜間支援対象利用者の総数とは、現に入居している利用者数ではなく、前年度平均利用者数の算出方法によって計算するものであること
  • 1カ所の住居において2人以上の夜間支援従事者が支援を行う場合は、それぞれの職員が支援を行う入居者数を按分して算定すること
  • 小数点以下の端数が生じる場合は、小数点第一位を四捨五入すること
  • Ⅰを算定している住居の利用者については、ⅡやⅢをとることができない点に注意すること(同時算定不可)

計算の例

5名定員のホームにおいて、前年度の延べ利用回数が1570人(回)、前年度開所日数が365日の場合

1570 ÷ 365 ≒ 4.4人 → 小数点第一位を四捨五入するため、4人。

→ 夜間支援対象利用者4人、で報酬算定を行う

夜間支援等体制加算Ⅰの注意

夜勤の場合は、少なくとも夜間帯において半分以上労働時間(賃金の発生する時間帯)とする場合があること(断続的労働を適用する場合,労基法第41条第3号)

また、外泊などで夜間一部の時間帯しか支援を要しなかった場合は、一晩をとおしての支援を提供できていないことから、算定不可とされます。

 

その他の注意点は、以下のとおりです。

一晩で、前半は職員X、後半は職員Yで支援を行った場合には算定できるか

交代時に適切な引き継ぎ等を行えれば、可能です。

夜間支援等体制加算Ⅰにおける長時間勤務について

世話人や生活支援員などと兼務で、17時~翌朝9時までの勤務などの場合は、以下のようなポイントがあります

  • 22時~5時までにおいて、深夜割り増し賃金を支払う必要があります
  • 夜間支援の時間帯において休憩を取得しても、それが住居内であればⅠの要件を満たし続ける、という判定になる
  • 労働基準法としては、休憩中に事業所を離れることを禁止することができないため、住居を離れて休憩を取得する場合はあらかじめ入居者やその家族に周知しておくこと
  • 休憩を離れる旨を踏まえて、できる限り具体的に個別支援計画を定めたうえで、当該時間帯には交代要員を確保する必要があること
  • 1時間などまとまった休憩の取得が難しい場合は、30分×2回などとした取得も可能であること
  • 実作業の発生していない仮眠などの場合も、事業所に待機して、緊急時対応ができる場合(手待時間)は、労働時間として判定すること
  • 10名以上の従業員がいる場合、就業規則および雇用契約書において休憩時間帯を明記すること(10名以下の場合は努力義務)
  • 夜間支援従事者の休憩については、原則、休憩時間中の連絡・相談対応は行えない旨をあらかじめ利用者、家族に説明すること
  • 実際に連絡を受けた場合は、休憩時間終了後に対応する旨を伝えることで足りる旨を、夜間支援従事者に伝えておくこと
  • 万が一休憩時間中に労働が発生した場合は、その分の休憩時間を別途取得すること。でこの場合、別途休憩を取得した旨を記録しておくことが望ましい。
  • 休憩時間帯の補填要員として追加で職員を配置した場合は、Ⅳ~Ⅵの算定ができる

 

夜間支援等体制加算Ⅱ(宿直)

職員を、宿直(原則として、定期的に見回りをする程度であとは休憩)として配置した場合に算定できる加算です。

また、宿直の場合には、労働時間、休憩時間、休日規定は適用されず、賃金は宿直手当の支払のみで済むことになります。

(詳細は労基署や社労士等への確認を推奨します)

宿直そのものの許可条件

  • ほとんど労働する必要がないこと
  • 通常の労働の延長にないこと
  • 睡眠設備が設置されていること
  • 宿直手当が支払われていること
  • 宿直は週に1回以内であること

※宿直手当について…当該宿日直につく同種の労働者に支払われる賃金の1人1日平均額の30%を下回らないこと

介護施設における宿直の適用条件

介護・障害福祉施設においては、さらに以下のように定められています。

  • 状態としてほとんど労働する必要のない勤務であること
  • 通常の勤務時間から、完全に解放された後のものであること
  • 少数の者に対して行う夜尿起こし、おむつ取り替え、検温等の介助作業で、軽度かつ短時間の作業であること
  • 夜間支援等体制加算に十分な睡眠がとれること

 

加算額(一部掲載)

例)前年度対象者1日5名×90単位(区分3)×31日×地域10円=139,500円/月

※1職員での支援のケース

 

以下、対象者数によって最大30名まで続きます

主な算定要件は、以下のとおりです。

夜間支援従事者の配置

夜間支援等体制加算Ⅰと同様です。

夜間支援従事者の勤務内容・勤務形態について

  • 夜間支援従事者は常勤、非常勤どちらでも構わないこと
  • グループホームに従事する世話人、生活支援員以外の、業務委託された職員でも問題ないこと
  • 入居者の就寝前から起床後まで、宿直を行う夜間支援専従者が配置されていること
  • 夜間支援の業務としては、定時的な居室の巡回や電話の応対、必要に応じての緊急時対応等を行うこと
  • 1人で複数の住居を支援する場合は、少なくとも一晩に1回以上は各住居を巡回すること
  • サテライト型の場合は、入居者の状態等を踏まえて、巡回しないこともできること
  • Ⅱを算定しているときは、ⅠとⅢは算定できないこと(同時算定不可)
  • 障がい者支援施設や病院等における夜勤・宿直と兼務している場合には算定できないこと
  • 地域移行支援型ホームの場合は、共同生活住居内に夜間支援従事者が配置されている場合のみ、加算の対象となること
  • 併設型または空床利用型の短期入所を併設している場合の従業員は、夜間支援従事者を兼任できる

加算の算定方法について

考え方は、夜間支援等体制加算Ⅰ同様です。

Ⅱ(宿直)の注意点

労働基準監督署に、宿直の許可を受けておく必要があります。

また、別途断続的労働従事者の許可を経て夜間支援従事者を配置する場合は、Ⅱの算定ができます。

住み込みの従業者がいる場合、Ⅱを算定可能か

単なる住み込みの場合では足りず、宿直勤務を適正に行う必要があります。

 

夜間支援等体制加算Ⅲ(防犯・防災体制)

防犯・防災体制を整備している場合に算定できる加算です。

加算額について

1日10単位

例)5名×31日×10単位×地域10円=15,500円/月

夜間防災体制の内容について

  • 警備会社と 住居に対して警備業務を委託することで算定できること
  • 警備会社に委託する際には利用者の状況等について伝えておくこと

常時の連絡体制の内容について

  • 事業所の従業者が常駐する場合のほか、以下の場合にも算定できます。
  • 携帯電話などにより夜間において連絡体制が確保されている場合
  • Ⅰ、Ⅱ同様、 外部の事業者に委託することで連絡体制を確保している場合
  • ただし、主に障害者支援施設の夜勤職員等、別途報酬によって評価されている職員による連絡体制は、この加算の算定対象とならないこと
  • 緊急時の連絡先や連絡方法については運営規程に定めるとともに 住居内の見やすい場所に掲示すること

 

加算の算定方法

  • 常時の連絡体制または防災体制を確保している住居の利用者について、加算を算定すること
  • Ⅲを算定するときは、ⅠとⅡは算定できないこと(同時算定不可)

 

夜間支援等体制加算Ⅲの詳細な運用

  • 警備業務委託契約書の整備
  • 運営規程(常時連絡体制の確保策についての規定)および緊急時の連絡先の住居内掲示
  • 実家に帰宅した場合や入院した当日の夜は夜間支援の提供にはならないため、算定できない

1つの事業所で同一日にⅠまたはⅡを算定している場合、別の住居においてⅢの算定は可能か

可能(平成27年度QA,厚生労働省)

近隣施設の事務職員が見回りした場合でも算定できるか

障がい者支援施設の夜勤職員など、別途報酬で評価されている職員による支援の場合は、算定できません(厚生労働省QA,平成26年度)

「必要な防災体制」とは、どのようなものを指すのか

  • 警備会社との契約 または
  • Ⅰ、Ⅱを算定しない場合に限っての職員常駐

の場合が例示されています(厚生労働省,平成26年QA)

 

夜間支援等体制加算Ⅳ(夜勤での巡回支援)

夜間支援等体制加算Ⅰを算定している住居において、さらに夜間支援を行う職員を配置した場合に算定します。

加算額

例)前年度対象者1日5名×60単位×31日×地域10円=93,000円/月

※1加配職員で支援のケース

夜間支援従事者の配置について

  • 夜間支援等体制加算Ⅰによって、すでに2名以上配置されている住居については、算定できないこと
  • Ⅳの算定対象となる職員は、別の夜間支援従事者とすぐに連絡応対・連携できる体制にあること
  • 1人の夜間支援従事者が支援できる対象者数は30名までであること

夜間支援従事者の勤務内容・勤務形態

夜間支援等体制加算Ⅰの運用と同様です。

加算の算定方法

同時算定不可について、他の累計と同様です。

 

夜間支援等体制加算Ⅴ(夜勤での一部時間帯巡回支援)

夜間支援等体制加算Ⅰを算定している事業所において、一部の時間帯において、さらに夜間支援従事者を加配した場合に算定できる加算です。

加算額について

例)前年度対象者15名以下×31日×30単位×地域10円=46,500円/月

※1職員での支援のケース

夜間支援従事者の配置について

  • 一部の時間帯とは、22時~5時までのうち、少なくとも2時間以上の勤務がある場合に算定できるものであること
  • Ⅰの算定で、2人以上の配置がなされている場合には算定できない点に注意すること
  • 職員の勤務形態、勤務内容、加算の算定方法等は、Ⅰ~Ⅳまでの説明と同様の考え方です

 

夜間支援等体制加算Ⅵ(宿直での巡回支援)

夜間支援等体制加算Ⅰを算定している事業所において、さらに宿直職員を加配した場合に算定できる加算です。

加算額について

例)前年度対象15名以下×31日×30単位×地域10円=46,500円/月

※1職員での支援のケース

運用における各種注意点・考え方はⅠ~Ⅳまでで触れた論点と同様です。

 

夜間支援等体制加算Ⅳ~Ⅵまでのよくあるご質問・ご相談

加算Ⅰで2名体制をとるか加算Ⅳで2名体制をとるか?

あくまで基本は入居者の状態、希望する支援によります。

本人の要望や障害の程度、夜間支援が必要な合理的理由が一切ないにも関わらず、無理に配置する場合などは、実地指導で指摘を受けるかもしれません。

詳細な運用は行政に事前確認することをお薦めします。

 

夜間支援等体制加算Ⅳ~Ⅵについて、自宅からホームへの巡回でも認められるか

不可

 

Ⅳ~Ⅵの夜間支援対象者数は、どう算定するか

Ⅰの対象者数の合計値によります。

例)職員Xが、A、B、Cホームを巡回する場合

前年度平均を基準として

  • Aホーム:6名
  • Bホーム:5名
  • Cホーム:7人 の場合

→ 6 + 5 + 7 = 18名 で、報酬を算定します。

 

Ⅰ(夜勤)において、一部時間帯だけ職員が巡回するのみの住居において、追加職員を配置した場合

Ⅳ~Ⅵの算定はできないためご注意ください。

 

Ⅳ~Ⅵにおいて「巡回」ではなく「常駐」でも算定条件を満たすか

要件を満たせば可能です

 

1つの事業所で、(一晩において)Ⅳ~Ⅵの算定はできるか

一晩において、それぞれの支援対象者に対して、Ⅰ・Ⅱの運用に準じて

  • 職員XがA~Cホームを一晩巡回(Ⅳ)→Ⅳを算定
  • 職員YがD~Fホームを一部時間帯循環(Ⅴ)→Ⅴを算定
  • 職員ZがG~Iホームを宿直支援(Ⅵ)→Ⅵを算定

という運用になります。

 

【事例学習】算定できるケース・できないケース

愛知県集団指導資料をもとに、見ていきます

(比較的オーソドックスな運用であるため、他エリアでも基本は同様です)

夜間支援対象者6名のAホームで、職員Xが6名に支援を行った場合

対象者6名の、報酬請求を行います

 

夜間支援対象者6名のAホームで、職員X、Yが支援を行った場合

X:3名支援、Y:3名支援の報酬請求を行います。

半々での分担ではない場合、たとえば名古屋市の場合は以下のような解釈をとります。

Aホーム内で、複数職員が入居者に支援を行う場合(名古屋市)

例)前年度支援者数4名 / 職員Xが3名、職員Yが2名夜間支援を行う場合

 

・職員A

3名支援 / 実際の支援対象者合計5名 × 前年度支援者数4名 = 2.4名 ≒ 2名の支援(四捨五入)の報酬額

 

・職員B

2名支援 / 実際の支援対象者合計5名 × 前年度支援者数4名 = 1.6名 → 2名の支援(四捨五入)の報酬額

 

※当該職員について複数ホームの巡回などが混ざると、より複雑になるため、あらかじめ行政にメールやFAXなどで質問票を送り、答えを受けてから運用することをお薦めします

 

対象者6名のAホーム、対象4名のBホームを職員Xが巡回(夜勤)する場合

1人で10名の支援を行うため、10名単価で報酬請求を行います。

 

対象者6名のAホーム、対象者4名のBホームを、職員X、Yが分担する場合

職員Xが6名対象のAホームのうち、4名を支援する場合…4名単価で報酬請求を行います

職員Yが6名対象のAホームのうち、2名を支援して、残りBホーム4名を支援する場合…6名(A:2名+B:4名)単価で、報酬請求を行います

 

対象5名のAホームのうち、対象者1人にだけ、ある日は夜勤、ある日は宿直を提供した場合

夜勤の日は夜勤、宿直の日は宿直で、それぞれⅠ、Ⅱを5名単価にて請求する。

 

対象8名のAホームについて、対象者1人にだけ、ある日は職員Xによる夜勤、ある日は職員X、Y2名で宿直をした場合

  • 夜勤の日は、Ⅰ(8名単価)を算定
  • 宿直の日は、Ⅱ(4名単価,4名単価)を算定

 

 

補足:断続的な労働・宿日直

夜間における支援をほとんど行う必要がない場合で、一定の要件に当たる場合は「断続的労働」や「断続的な宿日直」に該当します。

この場合、時間外労働に対する割増賃金や休日労働に対する割り増し賃金が発生させないで済む場合があります。

※労働基準法第41条3号の定めにつき、詳細は労働基準監督署や社労士からの助言を受けましょう。

断続的な労働の許可基準

  • 勤務時間の中で実作業が少なく、手待ち時間が多い職員であること
  • 勤務時間のうち半分までは、断続的な労働として許可を受けられる可能性があること
  • ただし、実作業時間の合計が8時間を超える場合は、その限りでありません
  • 断続的な労働とは、勤務における全労働について、状態として断続的労働である場合を指します。1日の中で、通常の労働と断続的労働が混在するような場合や、日によって反復するようなものは該当しません

 

断続的な宿日直の許可基準

本来業務の終了後に宿直などを行う場合がこれにあたります。

以下の条件を満たす必要があります

  • 通常の勤務時間の拘束から完全に解放された後のものであること
  • 夜間支援に関する業務は、 一般的な定期巡回緊急電話対応のほか、夜尿起こし、おむつ取り替え、検温等の介助業務など軽度かつ短時間の作業に限ること
  • 夜間における生活指導や起床後の着衣指導など、通常の労働と変わらない業務は含まれないこと
  • 夜間に充分な睡眠がとれること
  • 一般的な宿直許可の条件を満たすこと

「軽度」とは

  • おむつの取り替え。夜尿起こしの場合でも、介護者を抱きかかえるなど身体に負担がかかる場合は含みません
  • 長期解除作業が1勤務中に1~2回程度含まれていることを限度として、1回あたりの時間が通常10分程度のものを指します

 

まとめ「夜間支援等体制加算」

グループホーム運営において夜間支援等体制加算は必須であるにも関わらず、算定方法がやや複雑になっています。

 

まずは

  • 前年度における夜間支援対象者数を基準として
  • 1人の職員が何名の入居者を支援するか

で報酬額が算定される、というところから抑えていきましょう。

 

一晩において複数住居や複数職員など、該当する事例が出てきた際に、見切り発射で加算を算定するのではなく、解釈が合っているか行政等に確認することをお薦めいたします。

 

当解説が御社事業運営の参考になれば幸いです。

参考資料)

厚生労働省,令和3年度障害福祉サービス費等の報酬算定構造

https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000734441.pdf

厚生労働省,令和3年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQandA,vol1

https://www.mhlw.go.jp/content/000763133.pdf

厚生労働省,令和3年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQandA,vol3

https://www.mhlw.go.jp/content/000770471.pdf

厚生労働省,平成27年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQandA

https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/kaisei/dl/jimuren_150331-01.pdf

中央法規,障がい者総合支援法事業者ハンドブック2021(報酬編)「共同生活援助」

愛知県,令和3年度集団指導

https://www.pref.aichi.jp/uploaded/attachment/376597.pdf

岐阜県 共同生活援助における夜間支援等体制加算算定について

https://www.city.gifu.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/004/773/2020siryou3-2.pdf

名古屋市 グループホームにおける夜間支援等体制加算の対象者数について

https://www.kaigo-wel.city.nagoya.jp/_files/00109055/GHyakankasan-taishoushasuu.pdf

岡山県 実地指導における主な指導事項等

https://www.pref.okayama.jp/uploaded/attachment/218795.pdf

 

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