気になるところから読む
はじめに「福祉専門職員配置等加算」
事業運営において、必ず抑えていただきたい運用ポイントについてです。特定処遇改善加算算定にも繋がるため、抑えておいて損のない加算です。
※行政によって運用が異なることも多いため、あらかじめご了承願います。
算定するメリットは?
ほぼノーコスト(毎月の会議や日々の記録書類整備など、余計な事務作業は発生しない)で、毎月の報酬額を増やすことができます。
特定処遇改善加算も、Ⅰを算定できるようになるため、サビ管・児発管等者の手当または賞与も、多少増やすことができるかもしれません。
算定条件
意外と当てはまっていた、というケースもありますので、抑えておいて損はないと思います
「生活支援員等(重要につき後述)」のうち…
福祉専門職員配置等加算Ⅰ
35%以上が介護福祉士など保有していること(判定対象は常勤職員のみ)
福祉専門職員配置等加算Ⅱ
25%以上が介護福祉士など保有していること(判定対象は常勤職員のみ)
福祉専門職員配置等加算Ⅲ
対象となる職種について、対象となる常勤職員 ÷ 常勤換算の計算結果が…
a.75%以上が常勤職員であること または
b.30%以上が、勤続年数3年以上の常勤職員であること
(それぞれ、判定対象は常勤・非常勤職員)
に該当する場合、それぞれの区分で報酬が算定されます。
いくらくらいの入金が見込めるか?
報酬単価は
- Ⅰ…15 / 日
- Ⅱ…10 / 日
- Ⅲ…6 / 日
によって、算定されます。
(日中系、障害児通所支援等。令和3年度制度改定時点)
計算例
1)Ⅰを算定していて、月200回利用あった場合
15単位×10円×200回=30,000円 / 月 算定されるようになります。
2)Ⅱを算定していて、月200回利用あった場合
10単位×10円×200回=20,000円/月 算定されるようになります。
3)Ⅲを算定していて、月200回利用あった場合
6単位×10円×200回=12,000円/月 算定されるようになります。
運営において特に重要なポイント
スタッフの増減にご注意ください
スタッフの入れ替わり(新規採用・退職)があっても要件を満たしているか?きちんと把握する必要があります。
うっかり要件合わないまま運営してしまうと、当加算と特定処遇改善加算Ⅰ、両方で返金しなければいけないリスクがあります。
(よって、あえて算定しない、という判断をする事業者様もいます。)
生活支援員等とは?(重要)
対象範囲となる職種は事業によって様々です。
以下に記載のない職種については、福祉専門職員配置等加算を考慮する必要はありません。
(令和3年度愛知県資料抜粋 p.27~)
資格は何が必要?(重要)
事業によって異なります(ここでは弊所関与事業をメインに記載)。
就労系のみ、作業療法士まで対象となるような認識です。
事業 / 資格 | 社会福祉士 | 介護福祉士 | 精神保健福祉士 | 公認心理師 | 作業療法士 |
児発 / 放デイ / GH / 生活介護 / 生活訓練 | ○ | ○ | ○ | ○ | × |
就労A・B・移行 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
ケーススタディ
愛知県集団指導資料をもとに、算定できるパターンとできないパターンを実際にみてみましょう。
実務上、よくある質問
厚生労働省QAをもとにして、実務の補足をしました。
中には今は実務上、適用されない規程もある「かも」しれませんので、当てはまる場合は、必ず担当行政に確認をとりましょう。
Q.多機能型事業所で兼務のある常勤の扱い
多機能型の場合は、当該多機能型事業所全体で、算定要件を満たすか確認すること
例)B:10名 / 移行:10名の事業所の場合 … それぞれの従業員を合算して、算定要件をチェックすること
厚生労働省,2009年QA,vol.2
https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/service/dl/qa14.pdf
Q.同一法人複数事業所を兼務する常勤者の扱い
どの加算を算定するかで、解釈が若干異なります。
- Ⅰ・Ⅱ、Ⅲ(3年ルール)をとる場合 … 1週間のうち50%以上勤務する事業所でのみ、常勤として判定されます
- Ⅲ(75%ルール)をとる場合 … それぞれの事業所の職員として勤務時間の計算に含めます
参考)厚生労働省,2009年QA,vol.3
https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/service/dl/qa29.pdf
Q.福祉専門職員配置等加算を算定できなくなったときの特定処遇改善加算は、また見込額など全部再計算しなければいけないのか?
計画書において、配置等要件の箇所をⅡ→Ⅰに変えるのみで足ります。のち、実績報告において、変更後の累計をもとに報告書提出を行います。
※実務的には、もしかしたら行政から追加書類など求められるかもしれません。
厚生労働省,2019年QAvol.3
https://www.mhlw.go.jp/content/000557438.pdf
Q.同一法人、グループ法人での通算3年以上でも対象者になるか?事業承継の場合などは?
A.以下のように若干運用が異なります
【できること】
- 同一法人内他事業所での勤務の合算
- 事業所合併、別法人での事業承継であって、かつ職員の変更などなく実質的に同一事業所での運営だと認められる場合
【できないこと】
- グループ法人での通算(あくまで別会社)
厚生労働省,2009年QAvol.3
https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/service/dl/qa29.pdf
Q.3年以上の実務経験とは?
加算の届出を行う前月末日までに3年の実務経験を満たすかどうかで判定する。
補足:実務経験証明書の手配を忘れずに行うこと。
厚生労働省,2009年QA,vol.1
https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/service/dl/qa12.pdf
育児休暇などがあっても合算で3年以上あれば算定要件をみたすか
お見込のとおり
厚生労働省,2009年QA,vol.1
https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/service/dl/qa12.pdf
届出について
書類は何が必要?
おおよそ以下のとおりです。
- 体制等届出書
- 体制等状況一覧表
- 福祉専門職員配置等加算に関する届出書
- 算定開始月からの勤務形態一覧表・組織図(行政所定の様式)
- 該当する資格証(行政からの断りない限り、合格証は不可)
- 実務経験証明書(勤続年数ルートで算定する場合)
提出期日は?
○算定するとき
原則毎月15日まで。のち翌月1日から算定開始。
○算定外すとき
算定できないこと分かり次第随時。
明確なルールはないものの、算定再開のメドがある場合、
- 届出不要
- 請求ソフトからは忘れずに登録外しておく
のみで良いとする行政もあります。
チェックリスト
弊所が福祉専門職員配置等加算の算定をチェックするときの主な確認ポイントです。
御社でのセルフチェックの参考になれば幸いです。
「常勤の生活支援員等」を軸として…
そもそも所定の資格保有者がいるか?
Ⅰ、Ⅱについて。介護福祉士、社会福祉士など。
35% または25%ルールをクリアできそうか?
・上述した資格者を保有している人が、常勤の生活支援員等のうち一定割合いるか?
常勤 / 常勤換算 =75%を超えそうか?
・Ⅲの算定要件
勤務年数3年以上30%以上いるか?
・常勤職員 / 常勤換算 = 30%以上ありそうか?等
・同一法人他事業所の勤務を含めて上記の要件を満たせそうか?
その他
・基準省令や解釈通知、厚労省QAなどと比較しても要件をクリアできそうか?
とりあえず算定できるかチェックだけしてほしいときは
スリーステップで完了します。
- 勤務形態一覧表(各エリアの行政様式)をご用意ください
- 算定開始月について、勤務予定をご入力ください
- 勤務形態一覧表をご提出ください
特に必要な情報は、常勤 / 非常勤 / 氏名 / 保有資格 / (Ⅲの場合は)それぞれの職員の勤続年数 等です。
※顧問事業者様は無償、その他の事業者様はスポットコンサルティングにて対応させていただいております。
福祉専門職員配置等加算のまとめ
毎月の書類作業が発生することのない、比較的導入しやすい加算です。
シンプルな人員体制なら管理はしやすいですが、人の出入りの多い事業者様や、新規で事業所を開設・既存スタッフの異動を伴う事業者様は注意が必要です。
今回ご説明した論点を押さえれば、よほど減算リスク低く事業運営できるようになりますので、参考になれば幸いです。
動画レクチャー
ご相談を多くいただく加算でしたので、解説動画を作成してみました。
よろしければご参考くださいませ。
▶https://school.syoshikawa.com/p/hukusisenmon/
参考資料
- 2021年障害者総合支援法 事業者ハンドブック(報酬編)
- 令和3年度愛知県集団指導資料
- 厚生労働省,障害福祉サービス等報酬改定に関するQA
- 福祉専門職員配置等加算職員配置等加算に関する届出書
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[…] すべての条件を満たすとⅠ型、福祉専門職員配置等加算を算定していない場合はⅡ型の算定に当てはまります。 […]
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