処遇改善加算

間に合わないと全額返金?処遇改善加算実績報告届の実務ポイント

処遇改善加算の実績報告で抑えるべき実務ポイント

実績報告の目的は「処遇改善計画の実施結果を報告すること」

処遇改善加算をきちんと使い切ったことを行政に報告するための手続きです。

具体的には「今年度の賃金改善総額>今年度に処遇改善加算金額で得た金額」となっていれば支給要件クリアです。

指定権者に対して、計画年度の翌年7月末までに「処遇改善加算実績報告届」を一式提出することになります。

(特定処遇改善加算についても、考え方はおおよそ同じであるため合わせて説明します。)

 

処遇改善加算の取得方法については以下の記事にまとめています。

 

実績報告のシミュレート

  1. 今年度に処遇改善加算で得た報酬総額:300万円
  2. 今年度のスタッフの人件費(賞与・手当など込):1,400万円
  3. 処遇改善加算を導入する前の年度の人件費(賞与・手当など込):1,000万円
  4. 今年度の賃金改善額:400万円(②ー③)

この場合は「処遇改善加算で年間300万円を受け取ったけれど、スタッフへの賃金改善として400万円を支払った」ことになるため、処遇改善加算の要件をクリアしたことになります。

 

処遇改善加算のお金の流れ

お金の流れを図解すると以下のようなフローになります。

正しい例

国から受け取った額に加えて、きちんと会社の自己負担金でも処遇改善を実施した場合です。

処遇改善加算の運用においては、(是非はともあれ)1円でもいいので会社の自己負担によってもスタッフの賃金を改善する必要があります。

 

ダメな例

スタッフへの手当、賞与などが少額だった場合、会社に利益が残る場合があります。

以下の図の場合、国からは300万円を受け取っているのにスタッフには総額200万円しか支給していないので、100万円の利益が発生しています。

分かり次第すみやかに臨時手当など総額100万円以上のスタッフ追加手当を支払うことで、支給要件をクリアする必要があります。

 

「処遇改善のお知らせ」を用意する

まず法人としていくら入金されたかの把握を行います。

対象事業所・対象期間分の「処遇改善加算のお知らせ」をご用意ください。

例:2019年4月~2020年3月までの1年分など

 

参考:処遇改善加算のお知らせの取得

電子請求受付システムより取得することができます。

・電子請求受付システム > ログイン > 照会一覧

「処遇改善加算総額のお知らせ」見本例

 

賃金改善実績明細書の作成

給与明細をもとに、各スタッフの毎月の手当、賞与額などを入力していきます。

事業所が手当と定める項目であれば、必ずしも「処遇改善加算手当」などの表記でなくても構いません。

ただし、経費の建て替えやガソリン代、研修受講費用など(×交通手当,車両手当)実費は賃金改善実績に含むことができません。

できるだけ正確に実績報告を行うためにも、処遇改善の対象スタッフもそうでないスタッフも記入することが望ましいです。

 

補足:特定処遇改善加算は「1年分の勤務形態一覧表」も必要

常勤換算でスタッフの人数を算出することになるため、勤務形態一覧表も添付をお願いします。

(できれば官公庁様式による)

できれば、経験・技能のある福祉人材に該当するスタッフについては、マーカーを引くなどして「誰が、どの累計か」を示すと分かりやすいです。

  • 経験・技能のある障害福祉人材(児発菅や10年相当の経験者等)
  • 一般の障害福祉人材(通常の指導員)
  • その他の人材(いれば。送迎ドライバーや事務員等)

 

参考画像:特定処遇改善加算の記載様式

 

参考画像:勤務形態一覧表

 

勤務形態一覧表の記載方法の基本的なポイントは、以下の記事にて解説していますので、ご参考ください。

【全事業者向け】勤務形態一覧表の書き方と基本的なルール実地指導や加算作成のときに必ず求められる行政書式です。 毎月末にタイムカードなどとは別に「勤務実績一覧表」を作成することが望ましい...

 

外注する場合のポイント

行政書士や社労士に業務を外注する場合は、以下のポイントを押さえていただくとスムーズに連携できます。

添付書類

以下の書類をご用意ください。

郵送もしくはpdfデータなどで送付いただければ、送付書類にもとづいてヒアリング、お見積り作成のうえで業務に着手いたします。

(依頼を見送る場合は頂いたものは削除もしくは返還いたします)

  • 算定期間分の「処遇改善加算のお知らせ」
  • スタッフの賃金明細(賞与、手当なども分かるように)
  • 勤務形態一覧表(できれば官公庁様式)

※官公庁への提出は不要ですが、実地指導で提出を求められたときに提示できるよう事業所で保管してください

 

その他のポイント

正しく賃金明細書を作成するために、以下の職種は色分けしてお示しいただけると幸いです。

  • 管理者、児発菅についてはマーカーで示してください
  • 特定処遇改善加算を導入している事業者様は、対象となる職員についてもマーカーで色分けしてください
  • 賞与、手当など金額の大きい項目から計上したほうが効率的に作業を行えます
  • 集計した結果、本項目のみで処遇改善加算受給額を超えることも多いです

 

事業所規模や支給計画によって実績報告の難易度は変わる

以下の要素によって、実績報告をスムーズに完了できるかどうかは大きく異なります。

弊所の場合は業務受注時の見積もり要素としています。

  • 事業所数
  • 処遇改善加算額
  • いくら賃金改善を行ったか
  • 対象職員の数
  • 非常勤職員に対する処遇改善の実行有無
  • 法定福利費まで含んだ実績報告を行っているかどうか 等

 

よくあるご質問

提出が遅れた場合はどうなりますか

ただちに全額返金となる可能性は低いですが、提出の遅れた理由書を合わせて添付することになります。

また、官公庁に対する印象は良くないですので期限厳守で手続きを進めてください。

 

計画期間を「4月から3月」ではなく「5月から7月」などずらすことはできますか

事業者様や同業者の先生方の話を伺う限り、できる自治体のほうが多い印象です。

全てを網羅している訳ではないですので管轄エリアについて確認とることをお薦めします。

 

高齢者介護事業を行っていますが、一緒に実績報告を作成できますか

高齢者介護事業は、障害福祉事業と一緒に実績報告をまとめることができません。

別に実績報告を作成してください。

 

受け取った金額よりも支払った金額のほうが低かった場合はどうなりますか

まずは賃金明細を見直して、賃金改善にあたる項目がないか見直します。

それでも処遇改善加算を上回るだけの賃金改善が行えていなかった場合、臨時手当の支給などで対応します。

(自治体によっては臨時手当の支給とあわせて、市区町村に報告して理由書の提出まで求められることもあります)

支払った金額のほうが低いまま、対策をせずにしれっと届出を行うと、間違いなく審査段階で指摘を受けます。

指摘に対して対応できなければ処遇改善加算全額返金の恐れがありますし、不正受給だとみなされれば監査が入るリスクもあります。

 

処遇改善加算実績報告届のまとめ

年間の処遇改善加算額を集計して、賃金明細一覧を作成することが処遇改善加算実績報告のポイントです。

7月末までの提出期限ではありますが、ある程度の作業量、時間が必要になりますので少しずつでも作業に着手することをお薦めします。

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