今週の事業考察

【コラム】障害福祉事業において、どこまで売上・利益増を追い続けるべきか

本コラムは、様々な福祉事業経営者様やスタッフとの会話の中で気づいたことや思ったことをもとに記述しています。

 

「福祉施設で売上の拡大なんてできるわけがないのに、もっと多くの利用者を受け入れる(≒施設に詰め込む)よう指示が出て困っている」というスタッフ様からの相談を受けることがあります。

 

事業として活動している以上、売上を意識することは大切ですが、スタッフの言い分にも一理あります。

障害福祉事業において、毎年ごとの売上・利益増を狙った場合、

売上高:1事業所あたりの売上は、実質国によって制限されている。売り上げ数を目標値にすると、突き詰めれば事業所の出店数が成長の指標になるものの、各施設の内部体制が強くなっているかどうかは別の話

利益率:突き詰めようとすると人件費や備品等のコストカットしかできなく、サービスの質や業務効率の低下、人手不足による利用者の業務事故に繋がるリスクがある

ものと考えられるからです。

(就労系事業は、一般企業への就職スキームや事業収益による規模拡大が狙えるので、少し別)

 

1事業所あたりの売上、利益を突き詰めていくドル箱戦略は、デメリットのほうが大きいので、あまり福祉事業にはそぐいません。

つまり、1事業所あたりの売上・利益は「そこそこOKな帯域」にあれば、それ以上追わないほうがいいものと考えられます。

 

しかし、1事業所あたりの成長指標がなければ、それはそれで事業としてのモチベーションを維持し続けるのは難しくなります。

ただし、加算の取得状況や受け入れる利用者の状態などによって、加算の区分や対応可能な障害者のレベルを高めることによって、報酬増を期待することはできます。

そのためにも、たとえば資格の取得率もしくはスタッフのスキル向上率(人事評価制度)を1つの指針として検討することができます。

 

どの福祉事業においても、主に

  • 高度な福祉資格の保有
  • 障害区分や障害特性の強い利用者

などによって、基本報酬や加算面での評価がされます。

 

もちろん、資格の取得や障害特性の強い利用者の受け入れそのものが目的となってはいけませんが、

  • 障害福祉、障害特性に対する勉強会
  • 資格取得のための勉強会

などを定期的に開催する方法が考えられます。

スタッフへの動機づけとして、これらによって得られるメリット(昇給・手当・昇進)の説明も欠かせません。

その他の注意点として、どこの事業所もおそらく人手が十分でなく、勉強に費やす時間も限られているものと考えられるので、どの部分からどう取り組んでいくのかも慎重に決めていく必要があります。

 

しかし、これらの取り組みによってスタッフのスキルが向上し、仕事に自信がついてこれば前向きな考え方の職員が増え、そのことによって、離職率も低下していきます。

採用コストを下げられ、職員の体制や、経費はほぼそのまま、さらに加算の上乗せによって利益率の向上が期待できます。

より専門的なスキルをもったスタッフによって、より困難度合いの高い利用者を受けられるようになります。

そのことによって新店ではコンセプト特化の事業所を作ることもできるかもしれませんし、スタッフのキャリアによっては新しい障害福祉サービス、他事業に挑戦することもできるかもしれません。

 

したがって、福祉事業については売上ではなく、スタッフのスキル向上を「資格取得率」「評価基準の達成度合い」「職場定着率」などによって評価する、ということは福祉事業成長の評価指標として据えることができるものと考えられます。

本稿が貴社の事業運営の参考になれば幸いです。

 

前回のコラムはこちら

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