「障害福祉事業において、いったい何をもって事業が成長していると評価するべきか難しい」という相談を受けることがあります。
放課後等デイサービス、共同生活援助(グループホーム)など…就労系事業所は多少異なりますが、確かに事業としての評価基準を設定することは難しいかもしれません。
障害福祉事業においては利用者に対するサービスであるため労働生産性という基準での評価が当てはまりにくいためです。
(労働生産性とは、簡単にいえばスタッフ1人1時間につきいくらの売上をもたらしたかの指標です)
また、障害福祉サービス等報酬そのものも国によって実質的に1事業所ごとの売上上限が定められており、基準となる報酬そのものも3年ごとに改定されます。
このことによって、福祉事業が事業として成長しているかどうかを適切に評価しにくくなっています。
一方で、中小企業庁は「障害福祉分野にかかる事業分野別指針」というものを打ち出しています。事業の成長指針として本資料においては
障害福祉分野における経営力向上の度合を測るための指標としては、障害福祉職員の勤続年数、離職率、入職率、顧客満足度その他の各事業者において設定する客観的に評価
可能な指標を用いることが適当
と定められています(https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kyoka/2019/190716shishinbunya09.pdf)
たしかに1事業所あたりの売上上限が定められている福祉事業の場合、人の定着率や顧客満足度は一つの指標となるかもしれません。
ただし福祉事業においても、事業経営という観点からはどのようにして生産性(≒利益
を高めていくか?もやはり忘れてならないポイントです。
事業として福祉事業を考えた場合、利益を増やしていくためには少なくとも
- 1事業所あたりの利益最適化(≠売上の最大化)
- 既存事業と親和性の高い新しい福祉施設or新分野の福祉事業の立ち上げ
- (就労系事業所においては)収益事業における生産性向上
- 脱障害福祉事業
などの選択肢が考えられます。
既存事業を目の届く範囲で運営していきたい場合は利益の最適化、事業として利益の拡大を目指していく場合は新施設出店or新分野への挑戦or収益事業による生産性向上を狙っていくことになります。
ただし、新しい取り組みに挑戦するためには、まず既存事業の運営が軌道にのっていなければなりません。
- 新しい人が入ってもすぐに辞められてしまう
- 人に仕事がついてくる状態になってしまって、事業所として適切にノウハウが蓄積されない
- 求人案内を出しても全然人が来ない
- 1事業目は何とか軌道にのったけど、ここからどう進めばいいか分からない
- 利用者が集まらなく、利益が十分に出ていない
企業によって課題はそれぞれかと思います。
いずれの問題にしても、ボトルネックとして考えられる事項を最重要改善事項と定めて着実に解消していくことができれば、経営力を向上させ事業として拡大していくこともできるものと考えられます。
貴社の事業運営の参考になれば幸いです。
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