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加算・変更届出を提出するために必要な書類とポイント
はじめに(自社で対応する場合)
障害福祉事業の運営においては、加算・変更届出の作成・提出業務が発生します。
提出を怠ると取れるべき加算を取り逃していたり、逆にとるべきでない加算をとり続けてしまって、返金対象となる恐れがあります。
また、変更届出必須な事項について提出を怠ると、実地指導などで指導対象となり、思わぬペナルティが発生する恐れがあります。
当記事で紹介する資料をご用意いただければ、自社にせよ行政書士に依頼するにせよ、スムーズに届出業務を完了できるようになります。
ぜひご参考ください。
もし行政書士に依頼する場合
行政書士事務所の方針にもよりますが、一般的には
- どれだけ工数(手間)のかかる作業か?
- どれだけ複雑な作業か?
- どれだけ事業者に金銭的な影響が発生するのか?
- どれだけチェック・精査の必要な作業か?
- 納期はいつまでか?(ゆとりがあるのか、ないのか)
- 依頼内容が明確か否か?
等の観点から報酬を決めます。
したがって、
- 何も資料が揃っていない
- 逆に、不要な資料まで混ざり込んで膨大な資料の束になっている
- 届出の前提となる知識のレクチャーも必要である
- 事業所オリジナルの様式でしか資料がない
- 相談してから期日まで1~2週間程度しかない
このような場合は、一般的な工程以上に時間や業務負荷がかかってしまうため、費用も高くなってしまいます。
費用についても、もちろん根拠なく値下げ要求をするのはNGですが、必要以上に行政書士側の手を煩わせないようにすることは、適正な価格で行政書士サービスを利用するにあたって重要なポイントです。
ご用意いただきたい書類について
弊所が知るかぎり、どこの行政書士事務所に依頼するにしても、自社で作成するにしても、ご用意頂いたほうが望ましい資料をまとめると以下のとおりになります。
もちろん、行政書士事務所のスキルや御社への関与度合いによって不要なものもありますが、概ねご用意いただいておいて損はありません。
- 【必須】直近の体制等届出
- 【必須】直近の体制等状況一覧表
- 加算を算定する / 変更の適用をする月の勤務形態一覧表
- 複数事業所を兼務する職員がいる場合は、関係する事業所の勤務形態一覧表
- 直近の組織体制図
- 運営規程
- 事業所に所属する資格者にかかる資格証一式
- 資格者にかかる実務経験証明書
- 氏名・住所の変更のある職員は住民票・戸籍謄本・免許証の両面など
- 事業ごとに必要となる基礎情報(平均工賃、全年度平均利用者数、障害者支援区分、指標該当児の数等)
- (初依頼時,様式第1号)障害福祉サービス事業者 指定(更新)申請書
- (初依頼時,様式第12号等)障害福祉サービスごとの付表
当記事の前提
用語について
管轄行政…かんかつ ぎょうせい。
御社の指定を担当した行政で、障害福祉事業にかかる申請書類・届出の提担当部署です。
例)愛知県庁障害福祉課、名古屋市障害者支援課、岐阜地域福祉事務所etc
※名前は省略表記です
自治体ごとの運用について
御社の管轄行政によって運用や解釈は異なります。
必ず管轄行政の掲示する必要書類一覧や手引き、法令などに基づいて事務処理を行いましょう。
ご用意いただきたい書類と損しないためのポイント
各資料について、あらかじめ抑えておきたいポイントをまとめました。
ご面倒かもしれませんが、どこの行政書士に依頼したとしても必ず指示が入ります。
【加算の算定時必須】直近に提出した体制等届出
はじめて行政書士に依頼する場合。
届出に必要な基礎情報の把握に役立ちます。
【加算の算定時必須】直近に提出した体制等状況一覧表
はじめて行政書士に依頼する場合。
届出に必要な加算状況の把握に役立ちます。
加算を算定する / 変更の適用をする月の勤務形態一覧表
たたき台レベルで構いませんので、加算の算定 / 変更の適用を予定する月 の勤務形態一覧表をご用意ください。
必ず御社を管轄する行政の掲示している様式でご用意ください。
事業所で使用しているオリジナルなシフト表だと、必要な情報が不足していたり、解読に時間がかかりすぎてしまうケースが多いためです。
また、必ず御社の実態を踏まえた現実的なシフトを組んだうえでご用意ください。
(ヒアリングによって作成代行もできますが、時間・工数がかかるため、御社でたたき台を作っていただいたほうが、早くコストもその分抑えられます。)
もちろん、人員・加算要件を満たせているかどうかは、行政書士のほうでも確認できますし、条件を満たすようなシフト配置方法の相談やアドバイスをすることもできます。
複数事業所を兼務する職員がいる場合は、関係する事業所の勤務形態一覧表
もし加算や変更を適用する事業所と、他の事業所を兼務する職員がいる場合は、そちらの事業所の勤務形態一覧表もご用意ください。
関係する全ての事業所について、適切に人員基準を満たしていることを確認する必要があるためです。
直近の組織体制図
行政に提出した、直近の組織体制図をご用意ください。
原則として、全ての事業所が掲載された組織体制図が望ましいです。
おそらく、指定申請書や体制等届出、変更届出に含まれています。
ご用意いただく勤務形態一覧表によって、行政書士の側で作成することができます。
【特に変更届出】運営規程
加算や変更届出の作成にあたって、事業所の基礎情報一式を把握できたほうがスムーズであるためです。
管轄行政や、届出内容によっては、運営規程の変更届出も必須になることがあります。
事業所に所属する資格者にかかる資格証一式
以下のようなフローに分かれます。
新年度の加算(体制)届出
毎年4月に行う、加算届出の再提出です。
行政によっては、変更がない限りは提出不要とするエリアもあります。
一般的には資格者全員の資格証が必要となるため、あらかじめ全員分ご用意ください。
年度途中の加算・変更届出
年度途中につど発生する加算・変更届出です。
対象者の資格証や研修修了証をご用意ください。
資格者にかかる実務経験証明書
管轄行政によって、6ヶ月以内の原本、写しの提出で良いなど、運用が異なります。
氏名・住所の変更のある職員は住民票・戸籍謄本・免許証の両面など
提出する資格者について、記載されている名前や住所が現在と異なる場合に提出必要となります。
運転免許証の両面コピーが一番確実かと思います。
御社スタッフ様で、更新していない方がいれば、折を見て更新いただくよう促しておきましょう。
事業ごとに必要となる基礎情報(前年度平均利用者数、平均工賃、障害者支援区分、指標該当児の数等)
以下の情報も必須です。
こちらもどうしても行政書士の側では分かりかねるので、できる限りご用意いただくことをお薦めします。
(行政ごとに、届出用の様式を掲載しています。)
情報の収集・集計方法や運用方法が分からなかったり、不明な点があれば、もちろん行政書士の側に質問いただければ対応いたします。
- 平均利用者数
- 障害者支援区分ごとの平均利用者数
- 平均工賃・スコア
- 指標外当児の数
(様式第1号)障害福祉サービス事業者 指定(更新)申請書
はじめて依頼する行政書士事務所の場合、事業全体の把握に役立ちます。
すでに施設を経営している事業者様であれば、指定申請などで入力済のデータがあると思います。
紙面でしかなければ、スキャンデータなどでも構いません。
加算届出・変更届出の価格の目安
行政書士事務所の方針などによってまちまちですが、価格の決定要素は主に以下のとおりです。
- 影響大…作業量、納期、完了までに必要な打ち合わせ量、法令にかかる事業者様の理解力
- 影響中…行政書士事務所の運営方針、リピート事業者様か否か、顧問事業者様か否か
参考に弊所の価格解説ページを掲載します。
うちはあいにく個人事務所につき薄利多売はできていませんが、数多くの障害福祉事業者様の申請・届出対応をさせて頂いておりますので、1つの指標にはなるかと思います。
まとめ
様々な領域でDX(デジタルトランスフォーメーション)が推進されていますが、障害福祉事業はまだまだ行政によるエクセル・ワードでの紙管理が主流の業界です。
法律のうえで成り立っている事業なのでしょうがないですが、我々が現役の間に、簡略化はされども、この体制が変わることはなさそうな気がしています。
一刻も早く、クラウドで簡単ワンクリックになることを期待しつつ、当面は自社でなんとかがんばりつつ、どうにも手が回らないときなどには行政書士サービス活用するなどして、なんとか事業所を運営していきましょう。
当記事が皆様の事業運営の参考になれば幸いです。
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