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はじめに「個別計画訓練支援加算」
社会福祉士や精神保健福祉士等を配置している生活訓練事業所において算定したい加算です。
計画書の整備や毎月のモニタリングなど、行うべき事務処理が比較的ありますので、順にみていきます。
受講対象者
- 障害福祉サービス事業所の事業責任者、管理者、社員など実務担当者様
- 個別訓練を担当する 社会福祉士や精神保健福祉士などのスタッフ様
- 請求業務のご担当者様
- はじめて障害福祉事業所を開設した事業者様
解説の目標
- 個別計画訓練支援加算運用の注意点を理解して、必要な支援・書類整備をできるようになること
理解するメリット
- あとから不要な返金の手間の発生を回避できる可能性が高まる
- 個別計画訓練支援加算の取りこぼしを回避できる
留意事項
- 指定権者によって、詳細な運用が異なる可能性があります
個別計画訓練支援加算の概要
報酬額や要件の概要は、以下のとおりです。
対象事業
自立訓練(機能訓練・生活訓練)
要件の概要
利用者の障がい特性や生活環境等に応じて、社会福祉士や精神保健福祉士等が作成した個別訓練実施計画に従って訓練等を実施するとともに、訓練等による生活能力の維持向上の評価及び個別計画の見直し実施を行っている場合
報酬単価
- 19単位/日
報酬額のシミュレート
たとえば9割稼働の事業所の場合は、以下のようになります。
- 対象者20名
- 1人あたり月23回の支援実施
- 地域単価10円 の場合
18名×23回×19単位×地域単価10円=78,660円/月(年間:943,920円)
個別計画訓練支援加算の具体的要件(報酬告示の概要)
基本的に抑えるべきポイントは、以下のとおりです。
- 届出を行うこと
- 社会福祉士精神保健福祉士または公認心理師が、所定の項目を抑えた個別訓練実施計画を作成していること
- 利用者の状態を定期的に記録していること
- 個別訓練実施計画の進捗状況を毎月評価し、必要に応じて計画を見直していること
- 利用者に対して一貫した支援を行うよう訓練にかかる日常生活の留意点、介護の工夫などの情報を関係者等と共有すること
- 入所施設においては、 従業者が上記な対応を行うこと
所定の項目
以下の評価項目にもとづいた支援計画を作成する必要があります。
障害支援区分に係る市町村審査会による審査及び判定の基準等に関する省令別表第一
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=426M60000100005より一部引用
個別訓練実施計画書の参考
あくまで介護保険ですが、以下の様式が参考になるかもしれません。
(個別機能訓練計画書)
(厚生労働省,介護保険, 個別機能訓練計画書(様式3-3)の記載例。参考)
届出様式
行政の届出様式は、以下のとおりです。
(個別計画訓練支援加算届出より一部引用)
詳細な運用方法(留意事項通知)
個別計画訓練支援加算の運用における詳細なポイントは以下のとおりです。
- 個別計画訓練支援加算にかかる訓練は、個別支援計画の一環として行うことに注意すること
- 自立訓練を受けようした日に算定でき、必ず個別訓練実施計画にもとづいた支援まで必須ではないこと
個別計画訓練支援の具体的な手順
実際の業務において行うべき業務は、以下のとおりです。
個別訓練実施計画の原案を作成する
- 社会福祉士、精神保健福祉士または公認心理士が暫定的に、訓練をとおして解決すべき課題の把握(アセスメント)およびモニタリングを行う
- 支援期間においては、カンファレンスを行い、多職種協働によって、認定調査項目中における「応用日常生活動作」「認知機能」「行動上の障害」にかかる個別訓練実施計画の原案を作成する
- 作成した個別訓練実施計画の原案については利用者または家族に説明し同意を得る
個別訓練実施計画を作成する
- おおむね2週間以内および毎月ごとに 社会福祉士、精神保健福祉士、公認心理師であるスタッフが、アセスメントとそれに基づく評価を行う
- のち、多職種協働でカンファレンスを行い、 個別訓練実施計画を作成する
- ただし、計画書そのものの作成ではなく「個別訓練実施計画 原案の変更」をもって、有効な計画書とすることもできる
- 支援内容に変更がない場合であっても、原案を個別訓練実施計画として運用することができる
- 作成した計画書については利用者またはその家族に説明し同意を得ること
- カンファレンスの結果、必要と判断された場合には、関係する相談支援事業所の相談支援専門員や、他の障害福祉サービス事業所に対して、情報共有を行うこと
- 利用を終了する前には、関連スタッフによって終了前カンファレンスを行うこと。
- できる限り関係機関のスタッフの参加を求めること
- 利用終了時には 関係機関に対しても必要な情報提供を行うこと はあ
整備しておくべき記録書類等
事業運営で抑えたいポイントは以下のとおりです。支援記録、利用記録を適切に残しておく必要があります。
社会福祉士等による面談記録、モニタリング記録の整備
- 利用者の生活状況など、アセスメントを行った記録を残しておくこと
個別訓練実施計画
- 所定の項目に基づいて、計画書(原案)を作成すること
作成した原案は利用者等から同意を得ること(署名・押印等)
カンファレンスの記録
- 2週間以内および毎月ごとの社会福祉士等の主催による会議録の保管
- 関係機関も交えた場合は、参加者の記録、配布した資料の保管
よくあるご質問(厚生労働省QandA等)
いただいたご質問や厚生労働省QAの概要です。
ある事業所から、同一敷地内以外の障害福祉事業所に利用した場合は
個別計画訓練支援加算の算定ができます。
https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/service/dl/qa02.pdf
まとめ「個別計画訓練支援加算」
- 原則として、利用開始のち30日以内の算定であること
- サービス提供実績記録票、日報、面談記録などを整備すること
主に日中系の障害福祉サービスで設定されている個別計画訓練支援加算についての解説でした。
算定要件、記録書類とも比較的軽微であるため積極的に算定したい加算の1つだと考えております。
以上につきまして、御社事業運営の参考になれば幸いです。
参考資料
- 中央法規,障がい者総合支援法事業者ハンドブック2021「報酬編」434 他
- 障害支援区分に係る市町村審査会による審査及び判定の基準等に関する省令https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=426M60000100005
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