「児発菅が辞めそうで困っています」という相談を多く頂きます。
経営者や責任者に対して直接退職の意向を示すときは職場に対するなんらかの不満があって、それに耐えきれなくなった状態であることが多いため、引き留めもなかなか難しいかもしれません。
なんとか説得できたとしても、数カ月後には退職してしまうことが多いです。
ここでは事業所としてできる取り組みや注意するべきポイントについて解説しました。
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児童発達支援管理責任者・サービス管理責任者を辞めたいと言われたら…
まずは理由を聞いてみてください。
身体的な理由、家庭の事情、職場の人間関係、児発管・サビ管としての自信喪失、給与・待遇、会社に対する方針の違いなど、理由は様々かもしれません。
必ず現場に足を運んで他スタッフの話に聞いたり、作業負担の偏りが発生していないか、職務に対するスキルを取得する機会を設けられていたかなど、退職の意向を示すにいたったと考えられる要素を、まずは洗い出してみてください。
職場環境改善の取り組み
対策1:特定処遇改善加算の導入
もし貴社がまだ特定処遇改善加算を導入していなければ、検討してみてください。
サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者としてのキャリアパスが描ければ、もう一度やる気を出してもらえるかもしれません。
事業所規模やサービス種別によって入金額は異なりますが、待遇改善が期待できます。
対策2:職場環境の改善
複数の店舗がある場合は人事異動をしてみたり、他に要件を満たす職員がいるならば(本人の了承を踏まえて)配置転換することも視野にいれます。
今後の再発を防ぐことにも繋がりますし、話を聞くことで気持ちがリフレッシュして、事業所にとどまってくれる可能性もあります。
対策3:業務効率改善
事業所規模が小さい場合、児発管等が実質的に管理者業務まで行っていることも多いです。
通常の個別支援計画作成業務、利用者や保護者のアセスメント、スタッフ指導、関係機関との交流に加えて請求業務、シフト作成、活動の企画、現場作業などまで行っているケースもよく目にします。
たとえば有料のカイポケ、knowbe、hug、福祉ソフトなどの請求業務システムを活用すると業務効率の改善を期待できるかもしれません。
また、一部業務は他正社員やパートスタッフでも取り組めるように切り分けを行っていくことも大切なポイントです。
しかしそれでもどうにもならずに退職の意思が確定した場合には、以下に沿った手続きが必要になります。
人員欠如減算についてのまとめはこちら
みなし規定延期についてはこちら
サビ管・児発管が辞める前に抑えておくべきポイント
サビ管・児発菅が退職した月の翌月末までに、次の候補者を見つけなければ3割減算が発生するため、すみやかに後任者を探してください。
あわせて、退職した日以降は個別支援計画書の更新ができなくなるため、更新対象となる利用者から順に「個別支援計画未作成3割減算」が始まります。
そのため、なんとしてでも後任の児童発達支援管理責任者・サービス管理責任者を探さなければなりません。
退職理由によっては「やむを得ない理由にもとづくみなし期間の適用」が使えるかもしれませんので併せて説明致します。
やむを得ない事由にもとづくみなしサービス管理責任者・児童発達支援管理責任者について
病気、死亡、その他止むをえない事由がある場合は、行政からやむを得ない理由によると認められてから1年間は猶予期間が与えられます。
猶予期間が得られると「実務経験・資格要件」を満たした職員を児発管等として配置できるようになります。
たとえば名古屋市の場合は以下のように定められています。
① 研修の受講枠(定員)の都合により、受講できなかった場合
あらかじめ産休が見込まれるため、事業所が研修受講に努めたが、受講枠の都合に
より受講できず、児童発達支援管理責任者が欠けた場合、発生日から起算して 1 年間
は、実務経験者であるものについて、研修修了の要件を満たしているものとみなす。
ただし、事業所および児童発達支援管理責任者からの申立書を提出すること。② 児童発達支援管理責任者が予期せぬ事由(急な病気・けが、事故、急な自己都合退
職、死亡、失踪)により欠如した場合
上記の事由により、児童発達支援管理責任者が欠けた場合、発生日から起算して1
年間は、実務経験者であるものについて、研修修了の要件を満たしているものとみな
す。ただし、病気・けが、事故については診断書の提出、退職については事業者およ
び当該児童発達支援管理責任者から申立書を提出すること。事業者として真に回避で
きない事態と認められる場合に限り認めるものとする。
(引用:児童発達支援管理責任者欠如減算の算定開始時期の取扱について(名古屋市)
どこまでの範囲が予期せぬ理由と認められるかは、各自治体の裁量によります。
ただし、職場の人間関係など、よくある(あってほしくないですが)理由の場合は「予期せぬ理由」として認められにくいです。
やむを得ない事由による退職だと認められた場合
一般的には申立書を提出したのち1週間~2週間程度で回答がきます。
もし確かにやむを得ない理由だと認められた場合には、1年間は正規の児童発達支援管理責任者・サービス管理責任者、相談支援従事者初任者研修受講者でなくとも、代役を立てられるようになります。
サビ管・児発管研修を受講していない、所定の年数が経過した職員、所定の介護・福祉関係の資格保有者が対象となります。
条件の詳細は以下の記事でカバーできます。あわせてご参考ください。
児童発達支援管理責任者・サービス管理責任者の退職が確定したとき
サビ管 / 児発管未配置減算を適用させなければならないため、変更届(原則退任後10日以内)、加算届(減算開始となる月に合わせて)を提出してください。
新しいサビ管 / 児発管が見つかれば、その月から個別支援計画未作成減算は回避されます。
人欠減算の詳細フローはこちら
日頃からのリスクヘッジ策
経営者様方が行っている実際の取り組み事例をご紹介します。
- 地域の経営者会に加入して、他事業所に助けてもらえる関係を構築する
- 代表者自身が資格をとる(最も確実)
- 実務経験だけ不足する職員は、先んじて研修を受講する、候補者が常に在籍している状態にする
- 職場の人間関係をよくするよう現場環境を改善する(現場の声を聞く、事業所としてのビジョンを示す、業務負担を軽減させる、待遇の改善に努めるなど)
- 求人は定期的に打ち続けておく(足りないから入れる、は“補充”である。定期的に“採用”を続ける、など)
退職する本人から次の職場で使うための「実務経験証明書の提出が求められるかもしれません。本人から切りだしにくい話だと思いますので、一言確認してみてください。
実務経験証明書の発行方法は以下の記事にまとめています。
児童発達支援管理責任者・サービス管理責任者が退職するときのまとめ
退職月の翌月末までに次の担当者が見つかれば人員欠如減算は回避できます。
個別支援計画は、児発管不在になることで更新ができなくなるため、対象となる利用者から順に減算が適用されます。
退職理由によってはやむを得ない理由による1年間のみなし児発管・サビ管の規定が適用される可能性もあります。
しかし、もちろんことですが退職されなければそれがベストです。
管理手法は様々ですが、会社としてのビジョンが明確で、タテ・ヨコの風通しがよく、キャリアパス設計が明確であれば退職の可能性を少しでも減らすことができます。
貴社事業運営の参考になれば幸いです。
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