制度解説

障害福祉事業専門行政書士から見た、放課後等デイサービス

放課後等デイサービス

身体、精神、知的障がいをもつ小・中・高校生が、学校を卒業したあとに待ち受ける社会生活を送るために必要な能力を習得するための事業です。

習い事をして、特技を身に着けることそのものが療育目的ではありません。

「社会に出たあとの生活スキルを身に着けること」を主軸に沿えて、各事業者様ごとに特色ある取り組みを行っています。

保護者の育児に対する負担を軽減し、家庭での養育方法に関する相談、助言まで行うことが想定されています。

 

事業として継続していくためには

事業の質を向上することに努め、地域とのネットワークを強化することにあります。

「国は放課後等デイサービスを潰そうとしている」と経営者様方はよく仰りますが、私の意見は若干異なります。

正しくは「国は本当に質の高い事業所を守ろうとしている」です。

「質の高さ」とは、個別支援計画を適切に運用しているか?の1点につきます。

課題把握、目標設定、実行、見直し、継続 / 更新、この繰り返しが機能して、適切な成長に繋ぐことのできる事業所が生き残っていきます。

そのうえで「複数施設を経営する」「他障害福祉サービスと組み合わせる」「継続的な情報発信を行う」「業務効率を見直す」などして、事業全体から安定的に利益を上げていくのが王道的戦略です。

 

放課後等デイサービス経営のデメリット・難しさ

放課後等デイサービスならではの、運営の難しさを記述します。

人が集まらない、報酬改定による給付金変動などは、別記事として作成予定です。

1.事業所ごとの違いが分かりにくい

どこが良い事業所で、どこがそうでないかが分かりにくいため、結局「保護者的にとって使い勝手の良い事業所」に預けるだけになりがちです。

「土・祝にイベントをやっているけど飽きられてきた」「保護者からの無理難題を受けるのに限界がきた」という声を多く聞きます。

個別支援計画を適切に運用するだけだと、一見「地味」に見えますが、相談支援員や社会福祉協議会、保護者などから「あの施設はきちんと療育に取り組んでいる」ということを理解してもらうことがポイントだと感じています。

たとえ今は「イベント型放デイ」であっても、自施設において、どのように子どもたちの成長をサポートできるかを、社長一丸となって考える「本質追及型放デイ」への移行を意識してください。

 

2.新規参入者のレベルが上がってきている

放デイ乱立となったこの時世でも参入する事業者様は、特に療育に自信のある方々が多いです。

30年4月以降の開業であっても、半年で3施設展開、開業当初から予約率100%など、もの凄い成果を出しています。

「施設を開けていれば、そのうち問い合わせがくる」の時代ではなくなりつつあります。

(資格を持っていれば仕事に困らなかった、一昔前の行政書士と同じ流れです)

「レスパイト型と専門型で共存を図る」「地域の勉強会に参加して専門性を高めていく」「支援内容・サービス提供地域を見直す」などして、今一度施設の将来を考えてみてください。

 

3.バタバタ事業所になってしまう

(送迎地域 / 保護者 / 障害特性 / 年齢 / 提供療育)など、様々な観点から事業所としての特徴を打ち出し、構造変革を図ることをお薦めします。

100%稼働を超えるようになってくると、ある程度の利用者様傾向や得意とする療育が見えてきます。

専門特化することで、事業所主体での事業運営を行うことでスタッフ負担を減らし、提供療育の質の向上に専念します。

すぐに業態変更することは難しいですので、年度、長期休み明けなど、タイミングを定めて実行することをお薦めします。

対象となりえない利用者様からの問い合わせがきたときには、他施設の紹介も視野に入れてください。

この点をどうしても勿体なく感じるなら、施設立ち上げをご検討ください。

「来る者拒まず」でなんでも受けることでパンクしてしまう点は、行政書士が来た仕事をなんでも請け負っているとパンクする構図と似ています。

(弊所も相続、外国人ビザなどの案件が来ても他事務所様にご紹介しています)

 

事業として採算を合わせるためには

「開所日数×定員数/日×1人あたり平均単価数」で、入金額はざっくりと計算できます。

給付金に左右される事業であるため、以下の3点が重要なポイントです。」

  1. 使い捨て人件費をかけないこと
  2. 減算を回避すること
  3. 算定できる加算は、きっちり算定すること

事業所の方針が定まっていないと、大量の利用者を大量の職員で受け入れる運営体制になりがちになります。

職員の定着率が低くなると、人員基準未達のリスクが高まります。

①職員の定着率改善 ⇒ ②減算回避 ⇒ ③加算の算定 / 運営体制の安定

と言うように、上記3点は一連の流れで繋がっています。

 

許可基準

最低3名で開業できます(例:管理者・児童発達支援管理責任者、社員児童指導員、保育士

ただし、実務として考えると社員1名、もしくはパート職員2名は、上乗せで確保しておきたいです。

「送迎が大変だ」「支援の質をもっと高めたい」理由は様々ですが、利用時間帯は職員5~6名体制をとっている事業所様も多いです。

人員
基準
児童指導員
保育士
(障害福祉サービス経験者)
・1人以上は常勤(×専従)
・10名まで⇒2人以上
・11~15名⇒3人以上
・機能訓練担当職員を、合計数に含められる
・利用時間帯において、頭数の半数以上は児童指導員または保育士
児童発達支援管理責任者 1人は必ず常勤・専従であること
機能訓練担当職員 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、心理指導担当職員等
管理者 原則、専従(支障がなければ事業所、職種の兼務可)
設備
基準
・指導訓練室(定員数×3㎡以上等)、相談スペース、事務スペース、トイレ、手洗い場
・パソコン、電話、FAX、プリンター、鍵付き書庫、消防指導設備(消火器、誘導灯、火災報知器)、その他事業運営に必要なもの

 

その他申請のためのポイント

開業につまずかないために、あらかじめ抑えておくべき事項の一例です。

規定は様々なため、必ず役所手引きをご確認ください

  • 物件の基準チェック(都市計画法、建築基準法、消防法、総量規制の有無など)
  • 施設開業の住民同意
  • 協力医療機関との契約
  • 就業規則の作成
  • 雇用契約書、履歴書、秘密保持誓約書、資格証の整備

 

基本入金・支出額の計算例

区分2の10名事業所が24日開所(平日20日(3時間以上受入れ)、土曜日4日開所)で100%稼働の場合です。

(児童指導員を1名追加して、送迎を行った場合の計算)

入金額計算

区分2(サービス時間3時間):609単位×10名×20日 = 121,800単位
区分2(土曜日):726単位×10名×4日 = 29,040単位
有資格者配置:平日9単位×10名×20日 休日12単位×10名×20名 = 4,200単位
児童指導員等加配加算155単位×10名×24日 = 37,200単位
送迎加算:108単位×10名×24日 =  25,920単位

218,160単位 × 地域単価10円 = 2,181,600/月

 

加算・減算一覧

「算定できる加算はきっちり算定し、返金処分は0で運用する」ことが、給付金事業のポイントです。

算定できそうな加算があれば、ハンドブック等によってご確認ください。

加算の導入にあたって、どうしても不安な点があれば問い合わせをご検討ください。

加算・減算名 条件 加算・減算額
児童指導員等配置加算 児童指導員等を配置している場合 平日 休日
9 12
定員超過利用減算 ①1日の定員数の15名を超えた場合
②直近3ヶ月の受入れ平均で12.5名を超えた場合
30%減算
児発管欠如減算 児発管不在となって、2ヶ月経過以降 1~4か月 5ヵ月~
30%減算 50%減算
個別支援計画未作成減算 ①個別支援計画書を作成していない場合
②児発管不在となった月からの計画更新
1~2ヶ月 3ヶ月~
30%減算 50%減算
自己評価結果等未公表減算 自己評価を未公表の場合
(31年4月から開始)
15%減算
開所時間減算 学校休業日の営業時間が6時間未満 X<4時間 4≦X<6時間
30%減算 15%減算
身体拘束廃止未実施減算 身体拘束記録を行っていない場合 5/日
児童指導員等加配加算 人員基準+1名追加 ⇒ Ⅰ
さらに1名追加 ⇒Ⅱを上乗せ(区分1施設のみ)
理学療法士等:209/日
児童指導員等:155/日
その他指導員:  91/日
看護職員加配加算 看護職員の配置状況によって算定 80~800/日
家庭連携加算 家庭を訪問して、保護者、児童に対して相談援助を実施。月2回まで X<1時間 1時間≦X
187/回 280/回
事業所内相談支援加算 事業所等で相談援助を行った場合。月1回まで 35/回
訪問支援特別加算 児童が連続して5日間通所しなかった場合の家庭訪問による相談援助。月2回まで X<1時間 1時間≦X
187/回 280/回
利用者負担上限額管理加算 事業所が利用者負担上限額管理を行った場合 150/月
福祉専門職員配置等加算 ①常勤の児童指導員等が介護福祉士等の資格をもっている
②常勤職員の比率が75%以上もしくは3年以上の常勤者が30%以上など
Ⅰ:15/日
Ⅱ:10/日
Ⅲ:  6/日
欠席時対応加算 利用者が欠席した場合に算定。原則月4回まで 94/日
特別支援加算 理学療法士等により、機能訓練計画等を実施した場合 54/日
強度障がい児支援加算 強度行動障害支援研修等を受講した職員が、該当児童を支援した場合 155/日
医療連携体制加算 医療機関等との連携により、看護職員が事業所を訪問して、所定の指導等を行った場合 1000~100/日
送迎加算 居宅等~学校、事業所間での送迎を行った場合 54/片道
延長支援加算 営業時間8時間以上であり、開始、終了前後時間に児童を支援した場合 X<1時間:61/日
1≦X<2時間:92/日
2時間≦x:123/日
関係機関連携加算 学校、就学、就職先と連携して個別支援計画を作成(月1回 / 就職先1回) 200/月 or 1回
保育・教育等移行支援加算 支援の結果、学童等に通うことになった場合 500/回
福祉・介護職員処遇改善加算 キャリアパス要件Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、職場環境等要件の算定状況によって、総給付額に上乗せ Ⅰ:8.1%
Ⅱ:5.9%
Ⅲ:3.3% 等

 

中・長期展開(案)

1事業所あたりの入金額に上限があるため、たとえば以下のような事業展開が考えられます。

  • 児童に対する療育の質の強化による、他事業所との差別化(児童の特性に配慮した事業所作り)
  • 重症身心障がい児向け事業所、強度行動障害児専門の事業所の設立(要支援スキルの向上、人員採用)
  • 廃業予定の事業所の譲り受け(M&A)
  • 保育所等訪問支援、相談支援事業所、ショートステイ等併設による支援の幅の拡充
  • 事業所ごとに対象児童を分ける、サービス内容(就労、学習等)を分けた店舗展開
  • (多機能型)児童発達支援事業を単独10名定員で独立させる
  • 民間事業、就労移行支援事業所と提携した就労訓練・就労体制の構築
  • 就労移行支援事業との多機能型展開(人員配置特例の活用)
  • 移動支援事業との組み合わせ(市町村の判断によります)
  • 自費事業の立ち上げ(公費に頼らない、モノ作り、加工・販売、ウェブサービス等、民間サービスの開発)

 

お問い合わせ

放課後等デイサービスの開業・運営に関するご相談はこちらからお受けしております。

サービスガイダンスは無料ですので、以下のフォームより、お気軽にお問い合わせください。

「自分たちで調べたい」という方はお問い合わせ一覧から、弊所サービスをご確認ください。






ヒアリングシートの添付など

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