開業前の記事

会社設立登記の基本を理解して、士業サービスを効果的に活用する

本記事を読むことで、会社登記の基本と士業に依頼する場合のポイントを理解できます。ご自身で手続きを行うか、司法書士の先生に依頼するかの判断材料になれば幸いです。

本記事は定款作成記事の後編になります。

 

株式会社設立の登記書類を作成するには

会社の登記簿とは

 

 

最終的なゴールは、あなたの会社の「登記事項証明書」を作成することです。

履歴事項全部証明書(りれきじこう-ぜんぶ-しょうめいしょ)や、登記簿謄本(とうきぼ-とうほん)とも呼ばれます。安全な取引を実現するために、法律で必要な事項が定められています。

登記簿は、法務局やウェブ上で、誰でも自由に閲覧することができます。所定の手続きによって郵送取得することもできます。

参考:登記情報提供サービス(要新規登録)

 

登記事項証明書は、許認可書類の作成や、銀行口座の開設など、至る場面で使います。

 

書類の提出先を確認する

法務局が提出先です。地域によって担当が決まっており、愛知県の場合は以下のとおりです。

庁名 担当地域
名古屋法務局(本局)

〒460-8513
名古屋市中区三の丸2-2-1(名古屋合同庁舎第1号館)
電話:052(952)8111

名古屋市(全域),西春日井郡豊山町,清須市,北名古屋市,日進市,長久手市,愛知郡東郷町,豊明市,春日井市,瀬戸市,犬山市,小牧市,尾張旭市,丹羽郡,一宮市,江南市,稲沢市,岩倉市,津島市,愛西市,弥富市,あま市,海部郡,半田市,常滑市,東海市,大府市,知多市,知多郡
岡崎支局

〒444-8533
岡崎市羽根町字北乾地50-1(岡崎合同庁舎)
電話:0564(52)6415

岡崎市,額田郡幸田町,豊橋市,田原市,豊川市,蒲郡市,刈谷市,碧南市,安城市,知立市.高浜市,豊田市,みよし市,西尾市,新城市,北設楽郡(設楽町,東栄町,豊根村)

(参考)名古屋法務局管轄地域一覧

 

書類作成に必要なこと

スケジュールをチェックする

主なスケジュールは、以下のとおりです。書類作成から登記完了までで2週間~3週間をみておきましょう。定款作成とあわせて約1か月程度かかります。

 

事前に用意した方が良いもの

登記書類作成の前に、以下のものを揃えておきましょう。

  1. 出資金を通帳に振り込み直すこと(定款手続き完了後)
  2. 通帳の両面表紙、最新ページのコピーをとること(資本金振込後。各ページ1枚ずつ分けて印刷する)
  3. 会社印(会社の代表印になります)
  4. 個人印(印鑑証明と同一のもの)
  5. 印鑑証明(役員全員の分を1枚ずつ)
  6. 登記すべき事項を記載したCD-R
  7. 会社定款(定款認証時に取得)
  8. 登録免許税用の印紙:15万円
  9. 8を貼るための白紙(A4用紙1枚)

【登録免許税について】正確には資本金の額×0.7%が費用として発生します。資本金の額が約2200万円までなら、下限である15万円で済みます。

 

登記書類を作成する

必要書類についてはリンク先より取得できます。役員会の設置/非設置、どちらを選択するかで必要な書類が変わります。wordで取得できるので、必要な事項を記入しましょう。

(参考)法務局 商業・法人登記申請書類一覧

なお、具体的な記入例については、下記より確認できます。

株式会社発起設立申請書

参考として、必要書類を一覧でリストアップしました。登記書類作成のため参考にしてください。最も基本的なケースです(取締役1名。取締役会、監査役非設置)。

  1. 登記申請書
  2. 登録免許税の収入印紙を貼付したA4用紙
  3. 登記すべき事項を記載したCD-R
  4. 会社の定款
  5. 発起人の決定書
  6. 取締役の就任承諾書
  7. 印鑑証明書(役員全員の分)
  8. 払い込みを証する書面
  9. 印鑑届出書

※「登記すべき事項を記載したCD-R」とは、必要な事項を、あらかじめテキストメモなどで作成したデータを保存したCDのことを指します。
法務省のウェブページより、作成例を取得できます(参考 法務省:登記事項の作成例一覧)。あとから分かりやすいように、テプラなどで会社名を書いて貼り付けておきましょう。

 

法務局に行く前にチェックしておくこと

法務局へ行く前に、最低限以下のことを確認しましょう。

  1. 各申請書に必要な印が押してあること
  2. 登録免許税分の現金を持っていること
  3. 添付書類が全て揃っていること
  4. 払い込み証明書に通帳のコピーが添付されていること
  5. 本店の具体的な所在地に間違いがないこと
  6. 印鑑届出書があること
  7. 会社実印を用意してあること
  8. 個人の実印を用意してあること(書類修正用など)

 

法務局で行うこと

印紙売り場で印紙代を購入します。購入した印紙はすぐに手持ちの用紙に貼って紛失しないようにしましょう。

担当窓口に書類を提出し、その場でチェックを受けます。書類を受け付けた日が会社設立登記日となります。

申請が終わったら、登記完了予定日を確認しましょう。その場で確認し忘れても、後日問い合わせで確認することもできます。登記が完了したら、登記簿謄本や印鑑証明を取得できるようになります。

【印鑑証明について】法務局に出向いたときに、あわせて印鑑カードの発行もしましょう。印鑑カード交付申請書を受け取って必要事項を記入し、会社の実印を押印して提出します(初回無料)。)

 

司法書士の報酬相場は?

「やることたくさんあるのに、なんか面倒そうだな」そう感じた方は、司法書士の先生に依頼をするという選択肢もあります。

そこで、士業に支払う費用はいくらぐらいになるのか。相場観をもっておきましょう。「会社設立 司法書士 報酬」で検索したグーグル1ページ目を参考にすると、0円~10万円の幅となります。なぜこれだけ広がっているかというと、サービス内容が大きく変わるためです。

あくまで一例ですが、報酬額ごとにサービス内容を分けると、以下のとおりになります。

報酬額 サービス内容
①0円~2,3万円 ①税理士先生による顧問契約のセット(顧問料1万円~3万円/月+決算料15万円、など)

②書面内容を定型とすることで手間を減らしている

③毎月○名様限定

④所定の条件を満たす人のみ(融資申請業務の提案)

⑤全国対応による薄利多売

⑥一部書類のみ作成によるコストダウン(定款作成 / 定款認証 / 登記書類作成 /など )

②6、7万円~10万円 ①定款作成~登記簿書類の作成までの一括請負(事前相談~アフターフォローまで含む)

「どのサービスが良くて、どのサービスが悪い」ということではありません。あなたがどの部分までお願いするかによって受けるべきサービスが変わってくるからです。

ただし、ウェブ上では「格安サービスをうたう事務所が多く目につく」傾向にあることだけは覚えておきましょう。あなたの周りにいる、一般的な士業事務所の報酬相場は②に落ち着くかと予想されます。

 

コストパフォーマンスの良い士業の選びかたは?

「会社設立自体よく分からないんだから、どんなサービスを受ければいいか分かるわけがない」そう考えるかたもいるでしょう。

いくつか考えてみました。

 

 

①はじめて会社を立ち上げる場合で、税理士先生の当てもなにもない場合

税理士事務所への依頼をお薦めします。会社設立費用自体は0円~1万円など破格のケースが多いです。税理士を探す手間が省けるうえ、司法書士費用まで請け負ってくれる事務所もあるようです。

1つだけ注意しておきたいのは、経理作業を全部放り投げられるとは限らないことです。この場合、日々の帳簿付けは自社で行います。あなたが経理のどの部分までをお願いしたいかを明確にしておくことが、失敗しない税理士事務所を選ぶコツです。

 

②税理士先生が既にいる、自社で経理を行うなどの場合

司法書士事務所への依頼をお薦めします。報酬自体は数万円ほどかかりますが、税理士先生への顧問費用を支払う必要がないため、年間コストを低く抑えられます。

 

③可能な限り費用を安く抑えたい場合

1人会社や小資本でビジネスを始める場合、軌道にのるまでは自身で経理を行うという選択肢もあります。この場合は

  1. 定款のみ自分で作る
  2. 登記書類のみ自分で作る

のどちらかが選択肢に上がります。それぞれの書類作成の特徴は以下のとおりです

  1. 定款 ⇒ 事業によっては記載しなければならない項目が定められているため、失敗は許されない(※1)。どのような形態の会社にするか、ある程度想像しながら作成しなければならない点が難しい。作業工程は比較的少ない。
  2. 登記書類 ⇒ 定款で決定された内容を書式に当てはめていくのみ、という点では定款作成よりは難易度が下がる。ただし作業工程は多い。初めて作成するにあたっては労力を要する。

行政書士に定款作成・許認可のコンサルタントを依頼して許認可取得へ向けての段取りを進めていき、登記書類の作成は自社で行ってコストダウンさせる、という方法を取るケースもあります。

もちろん定款作成~登記書類作成までをご自身で行う、という選択肢もあります。

※1. あとから変更もできますが、登録免許税費用3万円と手続きの手間が発生します。司法書士先生に依頼した場合はその分の費用も発生します。

 

④すべて任せる

予算の範囲内であれば、いっそ全て任せてしまうという手もあります。一括して司法書士先生や行政書士に依頼してしまったほうが余分なことを気にせず本業に集中できる、というメリットもあります。

 

このように、あなたの置かれた状況によって、選択すべきサービスは大きく異なります。自社で解決するか、士業に頼むかの判断材料になれば幸いです。

 

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