「儲かるという話を聞いて開業したは良いけど、なかなか利用者が集まらず、いっそ事業所を畳もうかと思っている」
開業後の事業者様から、こういった相談を受けることがあります。
経費として毎月何十万、百万円単位で資金が溶けていく事業であるため「諦めなければ、いつかきっと集まりますよ!」と、根拠のない精神論で答えることもできません。
ただ、よくよくお話を伺うと質問の意図は「事業所を潰したくない。どうしたら良い?」であるケースが多いため、顧問契約を頂いたうえで対策を練っていきます。
開業前の方にとっても、「どうしたら利用者様が集まるのか」は気になるテーマのうちの1つではないでしょうか。
この場合はまず「どうしたら施設を潰さずに済むのか?」を、経営者様とともに考えていくことになります。
撤退ラインおよび理論上の売上上限=目標値、損益分岐となる売上額を把握したうえで、目標とする契約者数を設定します。
「とりあえずたくさんの人に来てもらえば良いですよね」と言われることもありますが、きちんと単価を把握したうえで目標数値を設定しなければ、契約者数が増えても状況はそこまで改善されなかった…ということになりかねません。
また、1人あたりの平均回数を設定することで「週にこれだけの回数来所してもらい、そうするためにはこのようなカリキュラムを組んで…」と運営体制を見直すこともできます。
相談員さんが利用計画案を作成する際にも、こちらから利用回数を提案しやすくなるメリットもあります。
推定報酬額を把握することで、月経費や組織体制の見直しも視野にいれて計画を立てることにも繋がります。
次に、集客に向けた計画を考えます。
利用者様が集まらない施設には、必ず相応の理由があります。
- 体験には来てくれるけど、それ以降の契約に繋がらない
- 相談支援事業所からの紹介がない
- 見学・相談者対応を現場スタッフに頼りきっている
- チラシをばらまいて、営業活動をやった気になっている 等
枚挙にいとまがありませんが、「全ては社長自身が、自事業所が地域の障がい当事者やその家族に対して、どのような位置づけにあるのか明確にしていない」ことが原因だと、弊所は考えます。
明確化されていないからこそ、営業活動でのアプローチ方法がぼやけてしまい、効果が上手く現れません。
「うちは軽度発達障がいの児童に対してSSTを…」や「楽しみながら作業訓練を…」ということは言えるかもしれません。
とても大事なことですが、他事業所と似たり寄ったりになってはいないでしょうか。
そうであっては、やはり事業所を選ぶ側にとっても違いが分からず、それは障がい者本人や保護者、相談員の方々にとっても不利益なことに繋がります。
対して、社長自身が考え抜いた言葉で、事業所の定義づけをできている事業所様はやはりサービスの質も、事業所の活気も全然違います。
もちろん、これまで福祉業界に携わったことがなかった人や、現場実務に関わったことのない社長からしたら「どんな事業所にしていきたいかなんて、こっちが知りたいくらいだ」と思うかもしれません。
だからこそ、まずは現状把握から始めます。
ご自身の目で施設を見て回り、利用者や保護者様方と関わる、スタッフから意見を直接聞く、日頃お世話になっている相談支援事業所にご挨拶に伺うなど、様々なアプローチが考えられます。
「忙しくて時間がとれない…」という場合でも、本当に事業を継続する気があるのであれば、腹心の部下に動いて頂いてでもなんとしてでも、集客不振の原因究明に取り組むことをお薦めします。
単に開業するだけであれば、施設を構えて人を雇い、申請書類さえなんとかすればできてしまいます。
それだけで良かった時代の感覚のまま事業経営を続けるのは、本当に難しいことだと感じています。
「開業すれば問い合わせが来る時代はもう終わった」ものだと思って頂いたほうが、集客に取り組む際の感覚としては調度良いです。
地域福祉のお困りごとを、どうしたら自社が解決できるのか?
集客面に不安がある方は、こういった点から一度事業を見直してみてはいかがでしょうか。
次店舗の開設を考えている方や、これから福祉事業所の開設を検討している方のご参考になれば幸いです。
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